医療保険の名義変更はできる?契約者変更・改姓・受取人変更の手続き方法と注意点
「結婚して姓が変わったが、医療保険の名義変更は必要なのか」「離婚後に元配偶者が契約者の保険はどうすればよいのか」「親が契約した医療保険を自分名義に変えたい」――結婚・離婚・相続などのライフイベントに伴い、医療保険の名義に関する手続きが必要になることがあります。
医療保険で一般に「名義変更」と呼ばれる手続きには、大きく分けて「契約者の変更」「改姓・改名に伴う氏名変更」「保険金受取人や指定代理請求人の変更」の3種類があります。
それぞれ手続きの目的や必要書類が異なるため、単に姓を変更するだけなのか、保険契約上の権利を別の人へ移すのかを区別することが重要です。
とくに契約者の変更は、保険料の支払義務、契約を解約する権利、受取人を変更する権利、解約返戻金を受け取る権利などの移転を伴います。契約内容によっては、贈与税や相続税などの税務上の確認が必要になる場合もあります。
この記事では、医療保険の名義変更が必要になる主なケース、3種類の手続きの違い、必要書類、結婚・離婚・相続時の注意点、法人契約から個人契約へ変更する場合の考え方を解説します。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 医療保険の名義変更とは? | 契約者変更・氏名変更・受取人変更などがある | 変更する対象によって、権利関係、必要書類、税務上の影響が異なります。 |
| 契約者を変更できる? | 保険会社の承諾と関係者の同意を得て変更できる場合がある | 変更できる人の範囲や必要な同意は保険会社・商品によって異なります。 |
| 結婚で姓が変わったら? | 保険会社へ改姓・氏名変更を届け出る | 住所、口座名義、受取人などもあわせて確認すると手続き漏れを防げます。 |
| 離婚時の名義変更は? | 契約者・受取人・氏名・口座などを一括して確認する | 元配偶者が契約者や受取人のままだと、解約や保険金受取を巡る問題につながる可能性があります。 |
| 親が契約者の保険を自分名義にするには? | 親から子への契約者変更を申し込む | 保険契約の経済的価値が移転する場合は、税務上の確認が必要です。 |
| 契約者が亡くなった場合は? | 保険契約上の権利を承継する手続きを行う | 契約者と被保険者が別人の場合は、相続人などが契約を引き継げる場合があります。 |
| 名義変更で税金はかかる? | 単なる改姓では通常課税されないが、契約者変更では確認が必要 | 解約返戻金などの経済的価値が移転する契約では、贈与税や相続税の問題が生じることがあります。 |
| 法人契約から個人へ変更できる? | 保険会社が認める場合は変更できる | 法人・個人それぞれの経理処理と税務上の評価額を確認する必要があります。 |
この記事でわかること
- 医療保険の名義変更が必要になる主なケース
- 契約者変更、改姓・改名、受取人変更の違い
- 契約者変更の手続き方法と一般的な必要書類
- 結婚・離婚・相続時に確認したい保険契約の項目
- 契約者変更に伴う贈与税・相続税の注意点
- 法人契約の医療保険を個人へ移す場合の考え方
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結婚・離婚・相続など、ライフイベントに伴う保険の名義変更では、複数の手続きが必要になる場合があります。変更漏れがないか、専門スタッフが一緒に確認します。
医療保険の名義変更とは?3つの種類を整理する
医療保険に関する「名義変更」という言葉は、複数の異なる手続きをまとめて表していることがあります。
最初に、誰のどの情報を変更する必要があるのかを確認しましょう。
契約者の変更
契約者の変更とは、保険契約上の権利と義務を、現在の契約者から別の人や法人へ移す手続きです。
契約者には、一般に次のような権利や義務があります。
- 保険料を支払う義務
- 契約内容を変更する権利
- 保険契約を解約する権利
- 保険金受取人を変更する権利
- 解約返戻金を受け取る権利
- 契約者貸付を利用する権利
契約者を変更すると、単に保険証券に記載された名前が変わるだけでなく、契約を管理する権限そのものが移ります。
親が契約している子どもの医療保険を子ども本人へ移す場合、離婚後に元配偶者から被保険者本人へ移す場合、法人契約を役員や従業員へ移す場合などが該当します。
改姓・改名に伴う氏名変更
結婚、離婚、養子縁組などで姓や名前が変わった場合は、保険会社に登録されている氏名を変更します。
この手続きでは、契約者や被保険者そのものが別人になるわけではありません。保険契約上の権利や義務は変わらず、同じ人の登録氏名だけを変更します。
氏名変更の対象になる可能性があるのは、次の人です。
- 契約者
- 被保険者
- 保険金・給付金受取人
- 指定代理請求人
同じ人が契約者と被保険者を兼ねている場合でも、保険会社の登録上は複数の項目を変更する必要がある場合があります。
受取人・指定代理請求人の変更
医療保険の入院給付金や手術給付金は、被保険者本人が受取人に設定されていることが一般的です。
ただし、死亡保障が付いている医療保険では死亡保険金受取人が設定されています。また、被保険者本人が給付金を請求できない場合に備え、指定代理請求人が登録されている契約もあります。
結婚や離婚、家族関係の変化があったときは、次の登録が現在の状況に合っているか確認しましょう。
- 死亡保険金受取人
- 給付金受取人
- 指定代理請求人
- 保険会社からの連絡先
受取人を変更できる範囲や必要な同意は、保険会社や契約内容によって異なります。
契約者を変更する手続きの方法と必要書類
医療保険の契約者を変更する場合は、保険会社へ契約者変更を申し込みます。
契約者の変更は、現在の契約者が一方的に自由に行えるとは限りません。保険会社の承諾や、被保険者など関係者の同意が必要になる場合があります。
契約者変更に必要な条件
一般に、次の条件を確認されます。
- 現在の契約者が変更に同意している
- 新しい契約者が変更を承諾している
- 被保険者の同意が得られている
- 新しい契約者が保険会社所定の範囲に該当する
- 契約が有効に継続している
- 保険料の未払いなどがない
新しい契約者になれる人の範囲は、被保険者本人、配偶者、親、子などに限定されている場合があります。
一方で、何親等以内であれば必ず契約者になれるという共通ルールがあるわけではありません。保険会社や商品によって取扱いが異なるため、手続き前に確認してください。
一般的な手続きの流れ
- 保険証券や契約内容のお知らせで現在の契約関係を確認する
- 保険会社のコールセンター、営業担当者、代理店へ連絡する
- 契約者変更が可能か確認する
- 保険会社所定の変更書類を取り寄せる
- 現在の契約者、新しい契約者、被保険者などが署名する
- 本人確認書類などを添付して提出する
- 保険会社の承諾後、変更完了の通知を受け取る
- 保険料の支払方法や口座名義を確認する
手続き完了までの期間は、保険会社、提出方法、書類の内容によって異なります。オンラインで完結できる場合もあれば、郵送手続きが必要な場合もあります。
一般的に必要になる書類
契約内容によって異なりますが、次のような書類を求められることがあります。
- 保険会社所定の契約者変更請求書
- 現在の契約者の本人確認書類
- 新しい契約者の本人確認書類
- 被保険者の同意書
- 保険証券
- 新しい保険料振替口座の届出書
- 戸籍謄本や戸籍抄本
- 印鑑登録証明書
- 法人の登記事項証明書
本人確認書類には、運転免許証、マイナンバーカード、在留カードなどが利用できる場合があります。
保険証券を紛失していても手続きできる場合があるため、見当たらない場合は保険会社へ相談しましょう。
契約者変更後に確認すること
契約者の変更が完了したら、次の項目も確認してください。
- 保険料の引き落とし口座
- クレジットカードの名義
- 保険会社に登録されている住所
- 電話番号とメールアドレス
- 死亡保険金受取人
- 指定代理請求人
- 生命保険料控除証明書の送付先
契約者だけを変更し、支払口座の変更を忘れると、保険料が引き落とせず契約が失効するおそれがあります。
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結婚・改姓時の氏名変更手続き
結婚や離婚などで姓が変わった場合は、保険会社に登録されている氏名を変更します。
改姓しても保険契約が自動的に無効になるわけではありません。しかし、登録名と本人確認書類、銀行口座、給付金の振込先などの名義が一致していないと、給付金請求や契約内容の変更に時間がかかる可能性があります。
氏名変更の手続き方法
保険会社によって、次のような方法が用意されています。
- 契約者専用のマイページ
- スマートフォンアプリ
- コールセンター
- 保険会社の営業担当者
- 保険代理店
- 郵送
オンラインで完結する場合もありますが、本人確認書類や新旧の氏名を確認できる書類の提出が必要になる場合もあります。
必要になる可能性がある書類
- 氏名変更届
- 新しい氏名が記載された本人確認書類
- 新旧の氏名が確認できる戸籍抄本など
- 保険証券
- 新しい名義の口座情報
必要書類は保険会社によって異なるため、先に問い合わせてから準備するとスムーズです。
結婚時にあわせて確認したい項目
結婚に伴う手続きでは、氏名だけでなく、次の登録も確認しましょう。
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 保険料の引き落とし口座
- クレジットカード名義
- 死亡保険金受取人
- 指定代理請求人
独身時代に親を死亡保険金受取人や指定代理請求人にしていた場合でも、結婚したからといって自動的に配偶者へ変更されるわけではありません。
現在の家族構成や希望に合っているかを確認し、必要に応じて変更してください。
離婚時に必要な名義変更と注意点
離婚時は、氏名変更だけでなく、契約者、保険料負担者、受取人、指定代理請求人などをまとめて確認する必要があります。
医療保険の契約関係によっては、元配偶者の同意がなければ契約者を変更できない場合があります。離婚成立後に連絡が取りにくくなる可能性があるため、できれば離婚協議中に保険の取扱いも話し合いましょう。
元配偶者が契約者になっている場合
たとえば、夫が契約者、妻が被保険者になっている医療保険を、離婚後も妻が継続したいとします。
この場合、契約者を夫のままにしておくと、契約上の権利は原則として夫に残ります。
元配偶者が契約者のままの場合、次のような問題が起こる可能性があります。
- 元配偶者が契約を解約する
- 保険料の支払いを停止する
- 保険料未払いで契約が失効する
- 契約内容を変更される
- 住所変更などの手続きが進めにくい
- 契約内容を確認できない
被保険者本人が保険を継続するのであれば、契約者変更と保険料の支払方法の変更を検討しましょう。
死亡保険金受取人を確認する
死亡保障が付いている医療保険では、元配偶者が死亡保険金受取人として登録されたままになっていることがあります。
離婚しただけでは、受取人が自動的に変更されるとは限りません。
契約上の受取人が元配偶者のままで被保険者が亡くなった場合、契約内容に基づき元配偶者へ保険金が支払われる可能性があります。
子ども、親、現在の配偶者などへ変更したい場合は、保険会社所定の手続きを行ってください。
指定代理請求人も変更する
指定代理請求人とは、被保険者本人が病気などによって給付金を請求できない場合に、本人に代わって請求できる人です。
元配偶者が指定代理請求人になっている場合は、離婚後の関係を踏まえて変更を検討しましょう。
離婚時の確認項目
- 契約者は誰か
- 被保険者は誰か
- 死亡保険金受取人は誰か
- 指定代理請求人は誰か
- 保険料を誰が支払っているか
- 引き落とし口座は誰のものか
- 改姓手続きが必要か
- 住所や連絡先が正しいか
- 解約返戻金があるか
離婚に伴って契約者を変更すると、契約の経済的価値の移転として税務上の確認が必要になる場合があります。
親が契約者の保険を自分名義に変更するケース
子どもが幼い頃に、親が契約者、子どもが被保険者として医療保険へ加入していることがあります。
子どもが成人し、自分で保険料を支払うようになったときは、親から子への契約者変更を検討できます。
親から子へ変更する手続き
基本的な流れは、通常の契約者変更と同じです。
- 親である現在の契約者が保険会社へ連絡する
- 親から子への変更が可能か確認する
- 契約者変更書類を取り寄せる
- 親と子が必要事項を記入する
- 本人確認書類などを提出する
- 子名義の口座やクレジットカードを登録する
- 変更完了後の契約内容を確認する
子ども本人が被保険者であっても、契約者が親である限り、子どもだけの判断で契約者を変更することは通常できません。
保険料の支払いも変更する
契約者変更後も親名義の口座から保険料を支払うと、実際の保険料負担者と契約者が異なる状態になります。
将来の給付金・死亡保険金にかかる税金は、誰が保険料を負担していたかによって変わることがあります。
契約者を子へ変更する場合は、保険料の引き落とし口座も子名義へ変更し、実際の負担関係を明確にしておきましょう。
解約返戻金がある契約は税務上の確認が必要
親から子へ契約者を変更した場合、保険契約上の財産的な権利が移転します。
解約返戻金や積立金などの経済的価値がある契約では、その価値の移転が贈与に該当する可能性があります。
一方、掛け捨て型の医療保険や無解約返戻金型の医療保険では、契約者変更時点の経済的価値が小さい場合もあります。
ただし、「医療保険だから税金は絶対にかからない」とは限りません。解約返戻金の有無、保険料払込状況、契約内容を確認し、金額が大きい場合は税理士へ相談しましょう。
契約者が亡くなった場合の手続き
医療保険の契約者が亡くなった場合の取扱いは、契約者と被保険者が同じ人か、別の人かによって異なります。
契約者と被保険者が別人の場合
たとえば、親が契約者、子が被保険者である医療保険で、契約者である親が亡くなった場合です。
被保険者である子は生存しているため、医療保険の保障を継続できる可能性があります。ただし、亡くなった契約者が持っていた契約上の権利を、誰が承継するかを決める必要があります。
一般には、保険契約に関する権利も相続財産として扱われ、相続人による手続きが必要になります。
保険会社へ連絡し、次の内容を確認しましょう。
- 契約を継続できるか
- 誰が新しい契約者になれるか
- 相続人全員の同意が必要か
- どのような相続書類が必要か
- 保険料の支払方法をどう変更するか
一般的に必要になる書類
- 保険会社所定の承継・名義変更書類
- 契約者の死亡を確認できる書類
- 戸籍謄本など相続関係を確認できる書類
- 遺産分割協議書
- 相続人の本人確認書類
- 新しい契約者の口座情報
- 印鑑登録証明書
必要書類は、相続人の人数、遺言書の有無、保険契約の内容などによって異なります。
契約者と被保険者が同じ人の場合
契約者と被保険者が同一人物で、その人が亡くなった場合、医療保障の対象となる被保険者も死亡しているため、医療保険契約は原則として終了します。
死亡保障や死亡給付金が付いている場合は、受取人が保険金を請求します。
死亡保障が付いていない場合でも、入院給付金や手術給付金の未請求分がないか確認しましょう。死亡前の入院や手術について、相続人などが請求できる場合があります。
保険料の未払いに注意する
契約者が亡くなった後も口座が利用できるとは限りません。口座凍結や残高不足によって保険料を支払えず、契約が失効する可能性があります。
契約者の死亡がわかったら、できるだけ早く保険会社へ連絡してください。
失効後に復活できる商品もありますが、復活手続きでは被保険者の健康状態について再告知を求められることがあります。
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結婚・離婚・相続など、ライフイベントに伴う保険の名義変更では、複数の手続きが必要になる場合があります。変更漏れがないか、専門スタッフが一緒に確認します。
医療保険の名義変更で税金はかかる?
医療保険の名義に関する手続きをしたからといって、必ず税金がかかるわけではありません。
税務上の取扱いは、単なる氏名変更なのか、保険契約上の経済的価値が別の人へ移転する契約者変更なのかによって異なります。
改姓・改名だけなら通常は課税されない
結婚や離婚などによって氏名が変わり、同じ人の登録名を修正するだけであれば、保険契約上の権利は別の人へ移転していません。
そのため、一般に、改姓・改名に伴う氏名変更だけで贈与税や所得税が生じることはありません。
契約者変更時の税務
契約者を別の人へ変更すると、解約権や解約返戻金を受け取る権利などが移転します。
解約返戻金などの経済的価値がある契約では、その移転について贈与税などの確認が必要になる場合があります。
ただし、契約者を変更した時点で直ちに課税されるか、将来の解約・満期・保険事故発生時に課税関係を整理するかは、契約内容、保険料負担者、税務上の取扱いによって異なります。
税金を判断するときは、名義だけでなく、次の関係を確認する必要があります。
- 契約者は誰か
- 被保険者は誰か
- 保険料を実際に負担した人は誰か
- 給付金・保険金受取人は誰か
- 契約変更時の解約返戻金はいくらか
- 将来誰が解約返戻金や保険金を受け取るか
年間110万円の基礎控除だけで判断しない
個人から個人への贈与には、暦年課税における年間110万円の基礎控除があります。
ただし、他にも同じ年に贈与を受けている場合は合算して判定します。また、契約者変更時の具体的な課税時期や評価方法については、契約状況によって判断が分かれることがあります。
解約返戻金が大きい契約や、貯蓄性の高い医療保険、死亡保障を組み合わせた保険は、自己判断せず税理士へ確認しましょう。
契約者が亡くなった場合の相続税
契約者と被保険者が異なる保険で契約者が亡くなった場合、保険契約に関する権利が相続財産として評価されることがあります。
一般に、相続開始時点で解約したと仮定した場合の解約返戻金相当額などを基に評価する場合があります。
実際の評価方法は契約内容によって異なるため、保険会社から必要な証明書を取得し、税理士へ確認してください。
法人契約の医療保険を個人名義へ変更する方法
法人が契約者となり、役員や従業員を被保険者として加入している医療保険を、退職時などに個人へ移すケースがあります。
ただし、法人から個人への契約者変更ができるかどうかは、保険会社と商品によって異なります。
法人から個人への変更の基本的な流れ
- 法人から個人へ契約者を変更できる商品か確認する
- 変更時点の保険契約の評価額を確認する
- 法人内で譲渡方法や退職金としての取扱いを決定する
- 必要に応じて取締役会や株主総会の決議を行う
- 保険会社所定の契約者変更手続きを行う
- 法人と個人の税務・経理処理を行う
- 変更後の保険料負担者と口座を変更する
無償で移せるとは限らない
法人が保険料を支払った契約を、役員や従業員へ無償または著しく低い価額で移すと、経済的利益の供与と判断される可能性があります。
役員や従業員側では、給与、賞与、退職所得などとして課税関係が生じる場合があります。
法人側でも、資産計上額、譲渡価額、保険契約の評価額との差額について経理処理が必要になる可能性があります。
退職金として現物支給する場合
法人から退職する役員や従業員へ、医療保険契約を退職金の一部として現物支給する設計が検討されることがあります。
この場合でも、名義変更を行えば自動的に有利な税務処理になるわけではありません。
次の項目を確認する必要があります。
- 保険契約の適正な評価額
- 法人の資産計上額
- 解約返戻金
- 退職金の適正額
- 役員退職金規程
- 株主総会などの決議
- 退職所得として認められるか
- 法人側の損金算入の可否
役員退職金が不相当に高額と判断された場合は、一部が法人の損金として認められない可能性があります。
解約返戻金が少なくても税金がゼロとは限らない
解約返戻金がない、または少額の終身医療保険であっても、保険料がすでに払い込まれており、将来の医療保障を受けられる権利には一定の経済的価値があると判断される場合があります。
税務上の評価方法は、保険契約の内容、契約時期、払込期間、法人の経理処理などによって異なります。
「解約返戻金がゼロだから無償で移しても課税されない」と自己判断するのは避けましょう。
法人から個人への名義変更を検討するときは、契約している保険会社から評価に必要な資料を取り寄せ、顧問税理士と確認したうえで進めてください。
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結婚・離婚・相続など、ライフイベントに伴う保険の名義変更では、複数の手続きが必要になる場合があります。変更漏れがないか、専門スタッフが一緒に確認します。
医療保険の名義変更でよくある失敗
氏名だけ変更して口座名義を変更していない
保険会社の登録氏名を変更しても、保険料の引き落とし口座やクレジットカードの名義が旧姓のままだと、支払いに問題が生じる場合があります。
改姓時は、保険契約と支払方法をセットで確認しましょう。
離婚後も元配偶者が契約者のまま
被保険者が自分であっても、契約者が元配偶者であれば、契約管理に関する権限が元配偶者に残る場合があります。
離婚後も保障を継続したいときは、離婚協議中に契約者変更の同意を得ておくことが重要です。
受取人と指定代理請求人を確認していない
契約者や氏名だけ変更し、死亡保険金受取人や指定代理請求人が元配偶者、死亡した親族などのままになっていることがあります。
ライフイベントの際は、すべての登録関係者を確認しましょう。
変更前に契約を解約してしまう
名義変更が難しいからといって、現在の契約を先に解約し、新しい医療保険へ入り直そうとするのは注意が必要です。
新しい保険では、現在の年齢や健康状態を基に改めて審査されます。持病や治療歴がある場合は、新しい保険へ加入できない可能性があります。
新契約が成立する前に旧契約を解約すると、保障がない期間が生じるおそれがあります。
税金を確認せず契約者を変更する
契約者変更は、保険契約上の権利を移す手続きです。
解約返戻金のある契約、親から子へ移す契約、法人から個人へ移す契約などは、事前に税務上の影響を確認しましょう。
名義変更前の確認チェックリスト
保険会社へ連絡する前に、次の内容を整理しておくと手続きがスムーズです。
- 保険会社名
- 証券番号
- 現在の契約者
- 被保険者
- 給付金受取人
- 死亡保険金受取人
- 指定代理請求人
- 変更したい人と変更後の関係
- 改姓の有無
- 住所変更の有無
- 保険料の支払口座
- 解約返戻金の有無
- 契約者貸付の利用状況
- 保険料の未払いがないか
- 税理士への確認が必要か
複数の保険へ加入している場合は、契約ごとに契約者・被保険者・受取人が異なることがあります。
一つの保険を変更しただけで安心せず、加入中のすべての生命保険、医療保険、がん保険、個人年金保険などを確認しましょう。
まとめ
医療保険で一般に「名義変更」と呼ばれる手続きには、主に次の3種類があります。
- 契約上の権利と義務を別の人へ移す契約者変更
- 結婚・離婚などに伴う改姓・改名の届出
- 死亡保険金受取人や指定代理請求人などの変更
改姓・改名は、同じ人の登録氏名を変更する手続きです。保険契約上の権利が別人へ移るわけではないため、通常は贈与税などの対象にはなりません。
一方、契約者変更では、保険料を支払う義務だけでなく、解約権、受取人変更権、解約返戻金を受け取る権利などが移ります。
そのため、現在の契約者、新しい契約者、被保険者などの同意に加え、保険会社の承諾が必要になる場合があります。
結婚で姓が変わった場合は、氏名変更だけでなく、住所、口座名義、死亡保険金受取人、指定代理請求人なども確認しましょう。
離婚時は、元配偶者が契約者や受取人のままになっていないかを確認することが重要です。元配偶者が契約者のままだと、契約の解約や保険料の未払いによって保障が継続できなくなる可能性があります。
親が契約者になっている医療保険を子ども本人へ移す場合は、親から子への契約者変更を行います。保険料の引き落とし口座も変更し、誰が実際に保険料を負担しているかを明確にしておきましょう。
契約者が亡くなり、被保険者が別人である場合は、保険契約に関する権利の相続手続きが必要になることがあります。保険料未払いによる失効を防ぐため、早めに保険会社へ連絡してください。
契約者変更に伴う税金は、契約者名だけでなく、実際の保険料負担者、解約返戻金、将来の保険金受取人などを踏まえて判断されます。
とくに、解約返戻金のある契約、親から子への変更、相続による承継、法人から個人への変更では、贈与税、相続税、所得税などの確認が必要になる場合があります。
法人契約の医療保険を退職時に個人へ移す場合も、解約返戻金が少ないという理由だけで税負担が生じないとは限りません。法人側の経理処理、契約の評価額、退職金としての適正額などを税理士と確認しましょう。
名義変更は、現在の契約を維持したまま家族関係や支払関係を整理できる重要な手続きです。
新しい保険へ入り直す前に、まず現在の契約で名義変更ができるかを確認してください。現在の健康状態によっては、新しい保険へ加入できない場合があるため、変更手続きが完了する前に既存契約を解約しないことが大切です。
「自分の場合は氏名変更だけでよいのか」「契約者や受取人も変更すべきかわからない」「税金が発生しないか心配」という場合は、保険証券や契約内容のお知らせを用意し、保険会社や保険の専門スタッフへ相談しましょう。