保険・お金のコラム

高脂血症でも保険に入れる?告知のポイントと加入しやすい保険の選び方を解説

「高脂血症と診断されたら生命保険に入れないのか」「コレステロール値が高いと保険の審査に通らないのか」――健康診断でコレステロールや中性脂肪の異常を指摘され、保険加入に不安を感じている方は多いでしょう。

結論として、高脂血症(脂質異常症)と診断されていても、コレステロール値や中性脂肪値が治療によって安定していれば、通常の生命保険や医療保険に加入できる可能性があります。

保険会社によって引受基準は異なりますが、投薬治療中であっても、直近の検査値や治療状況、合併症の有無などを総合的に判断し、通常の条件または特別条件付きで引き受けられるケースがあります。

ただし、脂質異常症は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクを高める要因の一つです。そのため、保険会社は検査値だけでなく、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙歴なども含めて慎重に審査します。

この記事では、高脂血症の方が保険に加入する際の告知のポイント、審査で確認される項目、保険種類ごとの加入しやすさ、通常の保険に加入できなかった場合の対処法まで詳しく解説します。

確認したいポイント 結論 詳細
高脂血症でも保険に入れる? 検査値や治療状況が安定していれば加入できる可能性がある LDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、合併症などが判断材料になります。
告知では何を伝える? 診断名・検査値・投薬内容・合併症などを正確に申告する 直近の検査結果を具体的に記載すると、現在の状態が伝わりやすくなります。
審査で重視される数値は? 検査値だけでなく、年齢や他の危険因子も含めて総合判断される 保険会社ごとに基準は異なるため、一律の加入基準はありません。
投薬治療中でも加入できる? 投薬によって状態が安定していれば加入できる可能性がある 薬を服用している事実だけでなく、治療経過と直近の検査値が重視されます。
加入しやすい保険の種類は? 通常型から検討し、難しい場合に緩和型などを比較する 最初から保険料の高い引受基準緩和型を選ぶ必要はありません。
高脂血症だと保険料は上がる? 審査結果によっては保険料割増などの条件が付く場合がある 条件の内容は保険種類や保険会社によって異なります。
なぜ保険を検討する必要がある? 心疾患や脳血管疾患などによる治療費・収入減少への備えが必要 医療費だけでなく、休職や就業不能による家計への影響も確認します。
加入できない場合はどうする? 治療継続・複数社比較・引受基準緩和型の検討が主な対処法 数値や治療状況が改善した後に、通常型へ再申込みできる場合もあります。

この記事でわかること

  • 高脂血症(脂質異常症)でも生命保険に加入できる可能性
  • 告知書に記載する診断名、検査値、治療内容などのポイント
  • LDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールと保険審査の関係
  • 通常型、引受基準緩和型、無選択型などの違い
  • 脂質異常症の方が確認しておきたい心疾患・脳血管疾患への保障
  • 通常の保険に加入できなかった場合の対処法

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高脂血症でも生命保険に入れる?

高脂血症、現在の正式な呼称では脂質異常症と診断されていても、生命保険や医療保険へ一律に加入できなくなるわけではありません。

保険会社は、脂質異常症という診断名だけで加入可否を決めるのではなく、次のような情報を総合的に確認します。

  • LDLコレステロールの数値
  • HDLコレステロールの数値
  • 中性脂肪の数値
  • 診断を受けた時期
  • 通院期間と通院頻度
  • 投薬の有無と薬の種類
  • 治療後の検査値の推移
  • 高血圧や糖尿病などの合併症
  • 心筋梗塞や脳梗塞などの既往歴
  • BMIや肥満の程度
  • 喫煙状況
  • 年齢

脂質異常症だけで、治療によって検査値が安定し、心疾患や脳血管疾患などの合併症がなければ、通常の生命保険や医療保険に加入できる可能性があります。

一方、検査値が非常に高い場合、医師から治療を勧められているにもかかわらず受診していない場合、複数の生活習慣病を併発している場合などは、審査が慎重になることがあります。

審査結果は、主に次のいずれかになります。

  • 特別な条件なしで加入できる
  • 保険料の割増などの条件付きで加入できる
  • 一定期間経過後の再申込みを案内される
  • 今回の申込みでは加入できない

同じ検査値であっても、保険会社や保険商品によって審査結果が異なることがあります。1社の審査結果だけで、すべての保険へ加入できないと判断しないことが大切です。

高脂血症(脂質異常症)とは?保険加入との関係

脂質異常症とは、血液中の脂質の値が一定の基準から外れている状態です。

以前は、血液中の脂質が高い状態をまとめて「高脂血症」と呼んでいました。しかし、HDLコレステロールが低い状態も治療の対象になるため、現在は「脂質異常症」という名称が一般的に使用されています。

脂質異常症には、主に次の種類があります。

  • LDLコレステロールが高い高LDLコレステロール血症
  • 中性脂肪が高い高トリグリセリド血症
  • HDLコレステロールが低い低HDLコレステロール血症

LDLコレステロールは、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれます。数値が高い状態が続くと、血管の壁にコレステロールがたまり、動脈硬化が進行する原因になります。

HDLコレステロールは、一般に「善玉コレステロール」と呼ばれます。血管内にたまった余分なコレステロールを回収する働きがあるため、低すぎる場合には動脈硬化のリスクが高まると考えられています。

中性脂肪は、身体を動かすためのエネルギー源になりますが、過剰な状態が続くと、動脈硬化や急性すい炎などのリスクに影響することがあります。

脂質異常症は自覚症状がほとんどないことが多く、健康診断や血液検査で初めて指摘されるケースが少なくありません。

症状がないからといって放置すると、動脈硬化が進行し、次のような病気につながる可能性があります。

  • 狭心症
  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 末梢動脈疾患

保険会社が脂質異常症を確認するのは、将来の入院、手術、就業不能、死亡などのリスクを判断するためです。

ただし、適切な治療や生活習慣の改善によって状態が管理されていれば、未治療で数値が高い状態とは異なる評価を受ける可能性があります。

家族性高コレステロール血症の場合

家族性高コレステロール血症は、遺伝的な要因により、若い頃からLDLコレステロールが高くなりやすい病気です。

一般的な脂質異常症よりも若年で動脈硬化が進行する可能性があるため、保険審査では、次のような項目が詳しく確認されることがあります。

  • 診断年齢
  • 未治療時のLDLコレステロール
  • 現在のLDLコレステロール
  • 使用している薬剤
  • 冠動脈疾患などの既往歴
  • 家族の心疾患歴
  • 頸動脈エコーなどの検査結果

家族性高コレステロール血症であっても、治療によって数値が管理され、心疾患などを発症していなければ、保険商品によっては加入を検討できる可能性があります。

告知書への記載ポイント

生命保険や医療保険に申し込む際は、保険会社所定の告知書に、現在の健康状態や過去の病歴などを回答します。

脂質異常症で通院や投薬をしている場合は、告知書の質問内容と対象期間を確認し、該当する事項を正確に申告してください。

告知が必要になる主な項目

保険会社や商品によって質問内容は異なりますが、主に次のような情報を確認される可能性があります。

  • 診断名
  • 診断された年月
  • 健康診断で異常を指摘された年月
  • 医療機関を受診した年月
  • 現在の治療内容
  • 服用している薬の名称
  • 通院頻度
  • 直近のLDLコレステロール
  • 直近のHDLコレステロール
  • 直近の中性脂肪
  • 治療前の検査値
  • 高血圧や糖尿病などの合併症
  • 入院や手術の有無
  • 心疾患や脳血管疾患の既往歴

「コレステロールが高い」「薬を飲んでいる」といった曖昧な説明だけでは、現在の状態が保険会社へ十分に伝わらない場合があります。

告知書に記入欄がある場合は、医療機関の検査結果に基づき、具体的な数値を記載しましょう。

たとえば、次のように整理します。

「2024年6月に脂質異常症と診断。月1回通院。スタチン系薬剤を服用中。2026年5月の検査結果はLDLコレステロール148mg/dL、HDLコレステロール58mg/dL、中性脂肪180mg/dL。高血圧、糖尿病、心疾患の合併なし」

ただし、数値や病名は自己判断で記載せず、健康診断結果、血液検査結果、処方内容などを確認してください。

健康診断で指摘されただけの場合

医療機関で脂質異常症と診断されていなくても、健康診断で次のような指摘を受けている場合は、告知の対象になる可能性があります。

  • 要再検査
  • 要精密検査
  • 要治療
  • 要受診
  • 経過観察

告知書で健康診断の異常指摘について質問されている場合は、指摘内容と、その後に再検査や受診をしたかどうかを正確に回答します。

受診を勧められているにもかかわらず放置している場合、現在の状態を確認できないため、審査が進みにくくなることがあります。

健康診断で要受診や要精密検査を指摘された場合は、保険申込みのためだけでなく、健康管理のためにも医療機関を受診しましょう。

直近の検査結果を準備する

保険会社から、健康診断結果や血液検査結果の提出を求められる場合があります。

申込み前に、次の資料を準備しておくと手続きを進めやすくなります。

  • 直近の健康診断結果
  • 血液検査結果
  • お薬手帳
  • 処方薬の一覧
  • 主治医の診断書
  • 通院期間がわかる資料

保険会社から求められていない書類を必ず提出する必要はありません。追加資料を提出できるかどうかは、保険会社や保険代理店へ確認してください。

告知義務違反は避ける

脂質異常症の診断歴や投薬歴を告知すると加入できないのではないかと考え、事実を記載しないことは避けてください。

告知書で質問されている内容について、事実と異なる回答をしたり、治療歴を意図的に記載しなかったりすると、告知義務違反に該当する可能性があります。

告知義務違反が認められた場合、次のような問題につながるおそれがあります。

  • 保険契約を解除される
  • 保険金や給付金が支払われない
  • 支払済みの保険料が十分に戻らない
  • 必要なときに保障を受けられない

保険金や給付金の請求時には、保険会社が医療機関の診療記録や投薬歴などを確認する場合があります。

過去の病歴を隠して申し込むのではなく、告知書の質問に正確に回答したうえで、加入できる商品を探すことが重要です。

保険審査で確認される数値と判断材料

保険審査では、LDLコレステロールや中性脂肪などの検査値が確認されます。

ただし、保険会社の引受基準は一般に公開されておらず、「LDLコレステロールが何mg/dL以下なら必ず加入できる」といった共通の基準はありません。

検査値だけでなく、次の要素を含めて総合的に判断されます。

  • 年齢
  • 性別
  • BMI
  • 喫煙歴
  • 血圧
  • 血糖値やHbA1c
  • 肝機能
  • 腎機能
  • 心電図の異常
  • 家族歴
  • 治療期間
  • 検査値の推移
  • 合併症の有無

LDLコレステロール

LDLコレステロールが高い状態は、動脈硬化性疾患のリスク要因として評価されます。

同じLDLコレステロールの数値でも、次のような違いによって保険審査の判断が変わることがあります。

  • 未治療で数値が高い
  • 投薬によって数値が下がっている
  • 数年間ほぼ同じ数値で安定している
  • 血圧や血糖値も高い
  • 心疾患の既往歴がある

治療前の数値が高くても、治療によって現在の数値が改善し、一定期間安定していれば、その経過を含めて判断される可能性があります。

中性脂肪

中性脂肪は、食事、飲酒、運動不足、肥満、糖尿病などの影響を受けます。

検査前の食事状況によって数値が変動することもあるため、保険会社から空腹時の検査結果を求められる場合があります。

中性脂肪が高い場合は、脂質異常症だけでなく、糖尿病、肝機能障害、飲酒習慣なども確認されることがあります。

HDLコレステロール

HDLコレステロールが低い場合も、動脈硬化のリスク要因として評価されます。

LDLコレステロールが極端に高くなくても、HDLコレステロールが低く、喫煙や肥満、高血圧などが重なると、総合的なリスクが高いと判断される可能性があります。

複数の危険因子がある場合

保険審査では、一つの検査値だけでなく、複数の危険因子が重なっていないかが重要です。

たとえば、次のような状態では審査が慎重になる可能性があります。

  • 脂質異常症と高血圧がある
  • 脂質異常症と糖尿病がある
  • 脂質異常症に加えて喫煙している
  • BMIが高く、肝機能にも異常がある
  • 狭心症や脳梗塞の既往歴がある

反対に、脂質異常症以外の異常がなく、治療によって状態が安定している場合は、通常型の保険を検討できる可能性があります。

投薬治療中でも保険に入れる?

スタチン系薬剤などの脂質を下げる薬を服用していても、それだけで生命保険や医療保険へ加入できなくなるわけではありません。

保険審査では、薬を服用しているかどうかだけでなく、次の点が確認されます。

  • 何の薬を服用しているか
  • 服用を開始した時期
  • 副作用の有無
  • 服用後の検査値
  • 検査値が安定している期間
  • 医師の指示どおりに通院しているか
  • 他の病気を併発していないか

投薬によって検査値が安定していれば、未治療で数値が高い状態よりも現在のリスクを判断しやすくなります。

一方、医師から治療を指示されているにもかかわらず、自己判断で薬を中断している場合や、定期検査を受けていない場合は、状態が十分に管理されていないと判断される可能性があります。

治療期間が短い場合

投薬を始めた直後は、薬の効果や検査値の安定性をまだ確認できないことがあります。

この場合は、直ちに加入不可とされるだけでなく、一定期間治療を継続し、再検査を受けてから再度申し込むよう案内される場合があります。

再申込みを検討する際は、次の情報を整理しておきましょう。

  • 治療開始前の検査値
  • 治療開始年月
  • 使用している薬剤
  • 直近の検査値
  • 過去数回分の検査値の推移
  • 合併症の有無

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高脂血症の方が検討できる保険の種類

脂質異常症の方が保険を選ぶ場合は、最初から引受基準緩和型保険を選ぶのではなく、まず通常型の生命保険や医療保険に申し込めるかを確認するのが基本です。

通常型への加入が難しい場合に、引受基準緩和型や無選択型を段階的に検討します。

通常型の生命保険・医療保険

通常型の保険は、一般的な健康状態の告知や診査を行う保険です。

引受基準緩和型などと比べて、保険料が低く、保障内容の選択肢も広い傾向があります。

脂質異常症で投薬治療中であっても、次のような状態であれば、通常型を検討できる可能性があります。

  • 検査値が安定している
  • 定期的に通院している
  • 高血圧や糖尿病などの合併症がない
  • 心筋梗塞や脳梗塞の既往歴がない
  • 医師から入院や手術を勧められていない

1社で加入できなかった場合でも、別の保険会社では異なる結果になることがあります。

引受基準緩和型保険

引受基準緩和型保険は、通常型よりも健康状態に関する告知項目が少なく、持病がある方も申し込みやすい保険です。

脂質異常症で通院や投薬をしていても、告知書の質問に該当しなければ加入できる可能性があります。

ただし、引受基準緩和型保険には、次のような注意点があります。

  • 通常型より保険料が高い傾向がある
  • 選べる保障額が限定されることがある
  • 付加できる特約が少ない場合がある
  • 契約後一定期間の給付額を減額する商品がある
  • 解約返戻金が少ない、またはない場合がある

近年は、契約初年度から給付金を全額受け取れる商品もあります。商品によって保障内容が異なるため、複数の商品を比較しましょう。

無選択型保険

無選択型保険は、健康状態についての告知や医師の診査を原則として行わずに申し込める保険です。

引受基準緩和型にも加入できない方にとって選択肢になる場合がありますが、一般的に次のような制約があります。

  • 保険料が高い
  • 保障額が小さい
  • 契約後一定期間は病気による死亡保障が制限される場合がある
  • 入院給付金などの保障内容が限定される

無選択型保険は、通常型と引受基準緩和型を検討した後の選択肢として考えましょう。

がん保険

脂質異常症の方でも、がん保険へ加入できる可能性があります。

ただし、がん保険にも健康状態の告知があり、過去のがん、ポリープ、肝疾患、健康診断での異常などが審査対象になる場合があります。

脂質異常症とがんとの関係だけで、必ず審査が緩くなるとは限りません。商品ごとの告知内容を確認してください。

三大疾病保険

三大疾病保険は、一般に、がん、急性心筋梗塞、脳卒中など所定の疾病を保障する保険です。

脂質異常症は心疾患や脳血管疾患のリスク要因になるため、三大疾病保険では通常の死亡保険やがん保険より審査が慎重になる場合があります。

また、三大疾病保険は商品によって保険金の支払条件が異なります。

診断されただけで一時金が支払われるとは限らず、所定の手術、入院、労働制限状態、後遺症などが条件になる場合があります。

加入可否だけでなく、どのような状態で保険金を受け取れるかも確認しましょう。

特別条件が付く場合

通常型の生命保険や医療保険へ加入できる場合でも、審査結果によっては特別条件が付くことがあります。

代表的な特別条件には、次のようなものがあります。

  • 保険料の割増
  • 保険金額の制限
  • 特定疾病や特定部位の不担保
  • 保障開始までの待機期間

保険料の割増

保険料の割増とは、通常の保険料に一定額を加えて契約する条件です。

死亡保険では、健康状態に応じて保険料が割増されることがあります。

割増期間が保険期間全体に及ぶのか、一定期間だけなのかは契約内容によって異なります。

特定部位不担保

特定部位不担保とは、特定の身体部位や特定の病気について、一定期間または保険期間中、保障の対象外とする条件です。

ただし、脂質異常症に対して、必ず心臓や脳が部位不担保になるとは限りません。特別条件の付け方は、保険会社、保険種類、告知内容によって異なります。

特別条件付きで契約する場合は、次の点を必ず確認しましょう。

  • 何が保障対象外になるか
  • 不担保期間は何年間か
  • 保険料の割増額はいくらか
  • 条件が将来解除される可能性があるか
  • 他社ではより良い条件がないか

条件付きで加入できるからといって、必ずしもその契約が最適とは限りません。複数社の審査結果と保障内容を比較して判断しましょう。

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高脂血症の方が保険で備えたいリスク

脂質異常症は、それ自体で直ちに入院や手術が必要になるとは限りません。

しかし、動脈硬化が進行すると、心疾患や脳血管疾患などを発症し、治療費や収入減少が家計へ影響する可能性があります。

保険を検討するときは、病名だけでなく、発症した場合に家計へどのような負担が生じるかを考えましょう。

入院・手術への備え

心筋梗塞や脳梗塞などを発症すると、入院、手術、検査、リハビリなどが必要になることがあります。

公的医療保険が適用される治療には、原則として自己負担割合が定められ、高額療養費制度も利用できます。

そのため、医療保険を検討するときは、医療費の総額ではなく、高額療養費制度を利用した後に残る自己負担や、制度の対象外となる費用を確認することが重要です。

公的医療保険の対象外となる可能性がある費用には、次のようなものがあります。

  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事代
  • 先進医療の技術料
  • 通院交通費
  • 家族の見舞いや付き添いにかかる費用
  • 日用品や衣類

長期療養と収入減少への備え

脳血管疾患などでは、退院後もリハビリや通院が続き、すぐに仕事へ復帰できない場合があります。

医療保険の入院給付金だけでは、退院後の収入減少を補えないことがあります。

会社員であれば傷病手当金、自営業者であれば預貯金や就業不能保険なども含めて、働けない期間への備えを確認しましょう。

死亡後の家族の生活費への備え

家族を扶養している場合は、死亡保険や収入保障保険によって、残された家族の生活費を準備することも重要です。

必要な死亡保障額は、脂質異常症の有無ではなく、次のような家計状況から計算します。

  • 配偶者の収入
  • 子どもの人数と年齢
  • 住宅ローンの団信加入状況
  • 遺族年金
  • 預貯金
  • 教育費
  • 葬儀費用

三大疾病保障の支払条件を確認する

脂質異常症の方が三大疾病保険を検討する場合は、加入できるかだけでなく、保険金の支払条件を確認してください。

たとえば、急性心筋梗塞や脳卒中について、次のような条件が設定されている場合があります。

  • 所定の手術を受けた場合
  • 所定の日数以上入院した場合
  • 一定期間以上、労働制限状態が続いた場合
  • 所定の後遺症が継続した場合

同じ三大疾病保険でも支払条件は異なります。保障範囲と保険料のバランスを比較しましょう。

保険に加入できない場合の3つの対処法

通常型の生命保険や医療保険へ加入できなかった場合でも、すぐに保障を諦める必要はありません。

主に次の3つの方法を検討できます。

対処法1:治療を継続してから再申込みする

検査値が高い、治療を開始したばかり、再検査の結果が出ていないといった理由で加入できなかった場合は、治療を継続し、状態が安定してから再度申し込む方法があります。

再申込みに向けて、次の情報を整理しましょう。

  • 治療前の検査値
  • 治療開始時期
  • 直近の検査値
  • 過去数回分の検査値の推移
  • 服用中の薬
  • 合併症の有無
  • 主治医の治療方針

食事、運動、禁煙、適正体重の維持などは、脂質異常症の改善に重要です。ただし、自己判断で薬を中断したり、極端な食事制限をしたりせず、主治医の指示に従ってください。

いつ再申込みできるかは、保険会社や審査結果によって異なります。保険代理店や保険会社へ確認しましょう。

対処法2:複数の保険会社を比較する

保険会社ごとに引受基準が異なるため、ある会社で加入できなくても、別の会社では通常条件または特別条件付きで加入できる場合があります。

比較するときは、加入可否だけでなく、次の点も確認してください。

  • 保険料
  • 保障内容
  • 保険料割増の有無
  • 不担保条件の内容
  • 保障期間
  • 保険金・給付金の支払条件
  • 解約返戻金の有無

ただし、複数社へ申し込む場合も、すべての告知書へ同じ事実を正確に記載する必要があります。

対処法3:引受基準緩和型保険を検討する

通常型への加入が難しい場合は、引受基準緩和型保険を検討できます。

引受基準緩和型は告知項目が少ないため、脂質異常症で投薬治療中でも加入できる可能性があります。

ただし、通常型より保険料が高い傾向があるため、次の順番で検討することが重要です。

  1. 通常型へ加入できるか確認する
  2. 特別条件付きの通常型を比較する
  3. 引受基準緩和型を比較する
  4. 必要に応じて無選択型を検討する

引受基準緩和型へ加入した後、治療によって状態が改善し、通常型へ加入できるようになった場合は、契約の見直しを検討できます。

ただし、新しい保険の保障が開始する前に現在の保険を解約すると、無保険期間が発生する可能性があります。

新しい契約が成立し、保障開始日を確認してから、現在の契約を見直しましょう。

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保険へ申し込む前に準備したいこと

脂質異常症の方が保険の申込みをスムーズに進めるためには、健康状態に関する情報を事前に整理しておくことが大切です。

直近の検査結果を確認する

次の数値を確認し、検査年月と一緒に整理しておきましょう。

  • LDLコレステロール
  • HDLコレステロール
  • 中性脂肪
  • 総コレステロール
  • 血圧
  • 空腹時血糖
  • HbA1c
  • 肝機能
  • 腎機能

数値がわからない場合は推測せず、健康診断結果や医療機関の検査結果を確認してください。

治療内容を整理する

告知書へ正確に記載できるよう、次の情報も準備します。

  • 診断年月
  • 初診年月
  • 医療機関名
  • 通院頻度
  • 薬の名称
  • 服用開始年月
  • 過去の薬の変更歴
  • 医師から受けている指示

他の病気や健康診断の異常も確認する

保険審査では脂質異常症だけでなく、他の病気や検査異常についても告知が必要になる場合があります。

次のような項目を含め、告知書の質問に該当する内容がないか確認しましょう。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂肪肝
  • 肝機能障害
  • 腎機能障害
  • 不整脈
  • 心電図異常
  • 肥満
  • 喫煙歴
  • 入院歴
  • 手術歴

必要な保障を先に決める

加入できる保険を探す前に、どのようなリスクへ備えたいのかを整理しておきましょう。

主な保障の目的は、次のとおりです。

  • 入院や手術の自己負担に備える
  • 三大疾病の治療費に備える
  • 働けない期間の収入減少に備える
  • 死亡後の家族の生活費に備える
  • 葬儀費用に備える

目的を決めずに加入できる商品だけを選ぶと、必要な保障が不足したり、不要な保険料を支払ったりする可能性があります。

まとめ

高脂血症、現在の名称では脂質異常症と診断されていても、生命保険や医療保険へ一律に加入できなくなるわけではありません。

投薬や生活習慣の改善によって検査値が安定し、高血圧、糖尿病、心疾患などの合併症がなければ、通常型の保険へ加入できる可能性があります。

保険審査では、LDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールだけでなく、年齢、BMI、血圧、血糖値、喫煙歴、治療期間、検査値の推移などを含めて総合的に判断されます。

保険会社の詳しい引受基準は一般に公開されておらず、すべての会社に共通する加入可能な数値はありません。

そのため、特定の数値だけを見て「保険に入れる」「保険に入れない」と判断せず、実際の告知内容に基づいて審査を受ける必要があります。

告知書には、次の内容を正確に記載しましょう。

  • 診断名
  • 診断された時期
  • 通院状況
  • 投薬内容
  • 直近の検査値
  • 合併症の有無
  • 健康診断での指摘内容

診断歴や投薬歴を隠すと、告知義務違反によって契約解除や保険金・給付金の不払いにつながる可能性があります。

病歴を隠すのではなく、医療機関の検査結果に基づいて正確に告知し、加入できる保険を探すことが重要です。

保険の種類は、まず通常型から検討します。通常型への加入が難しい場合は、特別条件付きの契約、引受基準緩和型、無選択型の順に比較しましょう。

通常型に加入できなかった場合でも、治療を継続して状態が安定した後に再申込みする方法や、引受基準の異なる複数の保険会社を比較する方法があります。

脂質異常症は自覚症状が少ない一方、動脈硬化を通じて心疾患や脳血管疾患のリスクに影響します。

保険を検討するときは、入院費だけでなく、長期療養による収入減少や、死亡後の家族の生活費も含めて必要な保障を考えましょう。

「自分の検査値で通常型へ加入できるかわからない」「複数社の条件を比較したい」という場合は、直近の健康診断結果、血液検査結果、お薬手帳などを準備し、複数の保険会社を扱う専門家へ相談すると比較しやすくなります。