お宝保険とは?予定利率が高い契約の見分け方と解約前の注意点を解説
親が入ってくれていた保険、あるいは社会人になったころに勧められて契約した保険。何十年も前の契約が手つかずのまま残っている家庭は少なくありません。
その古い契約が、今では手に入らない条件を持っていることがあります。予定利率が高い時期に結ばれた貯蓄性のある保険は、俗にお宝保険と呼ばれます。保険料が割安で、戻ってくる金額も大きくなる契約です。
この記事では、お宝保険がどういうものかという定義から、自分の契約が該当するかの見分け方、解約を避けたほうがよい理由、保険料が負担になったときの対処法までを整理します。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| お宝保険とは何のこと? | 予定利率が高い時期の契約 | 1980年代から1996年3月ごろまでに契約した、貯蓄性のある保険を指す通称です。 |
| どうやって見分ける? | 契約日・保険種類・予定利率 | 保険証券で契約日と種類を確認し、予定利率は保険会社に照会すれば分かります。 |
| 解約すると損をする? | 同じ条件では入り直せない | 予定利率は契約時点で固定されるため、解約すると高い利率の権利を失います。 |
| 保険料が払えないときは? | 解約以外の方法を先に検討 | 払済保険への変更や減額、契約者貸付で契約を残したまま負担を軽くできます。 |
この記事でわかること
- お宝保険という言葉が指す契約の条件と、そう呼ばれるようになった背景
- 契約日・保険種類・予定利率という3つの視点からの見分け方
- 解約や転換を避けたほうがよい理由と、失うことになる権利の中身
- 保険料が負担になったときに、契約を残しながら負担を軽くする5つの方法
- 満期保険金や解約返戻金を受け取るときの税金と、契約者変更の注意点
| 手元の古い証券、内容を確認できていますか 契約日と保険種類が分かれば、それが今の商品より有利な条件かどうかを判断できます。証券を持ち込んでいただければ、その場で内容を確認できます。>> 保険のプロに無料で相談する >> 保険料シミュレーションを試す |
お宝保険とは何を指すのか
お宝保険は業界の通称で、法律上の定義がある言葉ではありません。一般的には、予定利率が高かった時期に契約された貯蓄性のある保険を指して使われます。
該当しやすいのは、終身保険、養老保険、個人年金保険、学資保険といった、解約返戻金や満期保険金が発生するタイプの商品です。
掛け捨ての定期保険や医療保険は、貯蓄の要素が小さいため予定利率の影響をあまり受けません。同じ時期の契約でも、お宝保険と呼ばれる対象にはなりにくくなります。
予定利率が保険料と返戻金を決めている
予定利率とは、保険会社が契約者に約束する運用利回りのことです。保険会社は預かった保険料を運用するため、あらかじめ見込んだ運用収益の分だけ保険料を割り引いています。
予定利率が高ければ、それだけ大きく割り引けるため保険料は安くなります。同じ保険金額でも、高い予定利率の時期に契約したほうが負担は軽く済みます。
そして重要なのが、予定利率は契約した時点の水準で固定され、その後の金利変動によって変わらないという点です。契約から30年たっても、当時の利率が適用され続けます。
予定利率が高かった時期の水準
金融庁の資料によると、養老保険の一般的な水準として、昭和60年度から平成元年度(1985年度から1989年度)は6%、平成2年度から平成4年度(1990年度から1992年度)は5.5%という予定利率が用いられていました。
その後、平成5年度から平成7年度(1993年度から1995年度)にかけて4.75%、3.75%と段階的に引き下げられ、平成8年度(1996年度)以降は標準予定利率に基づく水準へと移行しています。
現在販売されている平準払いの貯蓄性商品の予定利率は、これらと比べるとかなり低い水準です。当時の契約が有利だと言われるのは、この差があるためです。
保険会社にとっては逆ざやの原因
契約者にとって有利な条件は、保険会社から見れば負担になります。約束した予定利率を実際の運用利回りが下回る状態を逆ざやといいます。
バブル崩壊後の低金利が長く続いたため、多くの保険会社が高予定利率の契約を抱えたまま運用に苦しむことになりました。2000年前後に破綻した生命保険会社が出た背景にも、この構造があります。
そのため、古い契約の見直しや新商品への切り替えを勧められることがあります。提案の内容が自分にとって有利かどうかは、冷静に確かめる必要があります。
金利が上がっている今、あらためて論点になる理由
長く続いた低金利からの転換を受けて、生命保険各社が予定利率を引き上げる動きが出ています。一時払いの終身保険や個人年金保険を中心に、条件が改善した商品も登場しています。
そこで問題になるのが、古い契約を解約して新しい商品に移るべきかどうかという判断です。新しい商品の利率が上がったとはいえ、1990年代前半の水準に並ぶところまではきていません。
予定利率は保険会社ごと、商品ごとに異なり、改定も随時行われます。比較する際は、加入中の契約の予定利率と、検討している商品の最新の条件を並べて確認してください。
自分の契約がお宝保険かを見分ける方法
判断に必要なのは3つの情報です。契約日、保険の種類、そして予定利率。この順番で確認していけば、おおよその見当がつきます。
手元に保険証券があれば、多くの情報はそこに記載されています。見当たらない場合は、保険会社に問い合わせれば再発行や内容の照会ができます。
契約日を確認する
まず見るのは契約日、または保障が始まった日です。1996年3月以前の契約であれば、高い予定利率が適用されている可能性があります。
さらに1993年より前の契約であれば、より高い水準が適用されている可能性が高くなります。契約日が古いほど条件が良い傾向にあると考えてよいでしょう。
ただし、途中で契約内容を変更していると条件が変わっている場合があります。契約日だけで即断せず、次の確認に進んでください。
保険の種類を確認する
次に、その契約が貯蓄性のある商品かどうかを見ます。終身保険、養老保険、個人年金保険、学資保険であれば、予定利率の恩恵を受けやすいタイプです。
定期保険や医療保険、がん保険などの保障中心の商品は、同じ時期の契約でも予定利率の影響は限定的です。この場合は、現在の商品と保障内容を比べて判断することになります。
よくあるのが、終身保険を主契約として定期保険特約や医療特約を付けた、いわゆる定期付終身保険という形です。主契約部分は有利でも、特約部分は別の扱いになる点に注意してください。
予定利率を照会する
保険証券に予定利率が記載されていることもありますが、記載がない契約も少なくありません。その場合は保険会社のコールセンターや担当者に問い合わせれば確認できます。
問い合わせの際は証券番号を手元に用意しておくと手続きが早く進みます。契約者本人からの照会が原則となるため、家族の契約を調べる場合は本人に連絡してもらう必要があります。
予定利率が3%を超えているようであれば、現在の水準と比べてかなり有利な契約だと判断できます。
予定利率と実際の利回りは同じではない
注意したいのは、予定利率がそのまま受け取れる利回りになるわけではないという点です。
払い込んだ保険料のすべてが運用に回るわけではなく、保障にあてられる部分や保険会社の事業費が差し引かれています。予定利率5%の契約でも、払込総額に対する実際の増え方はそれより低くなります。
それでも現在の商品と比べれば有利であることに変わりはありません。ただし数字を過大に見積もらないよう、返戻金の実額で判断してください。
証券が見つからないときの調べ方
古い契約ほど、証券が手元にないという事態が起こります。まず確認したいのは、保険会社から毎年届く「ご契約内容のお知らせ」や、生命保険料控除証明書です。ここに証券番号や保険種類が記載されています。
通帳やクレジットカードの明細に保険料の引き落としが残っていれば、そこから保険会社を特定できます。会社名が分かれば、コールセンターで契約の有無を照会できます。
契約者が亡くなっていて契約の存在自体が分からない場合は、生命保険協会の生命保険契約照会制度を利用できます。加盟している各社に対して、契約の有無をまとめて照会できる仕組みです。
| 予定利率が分かったら、次は比較です 今の契約と現在の商品では、保険料も戻ってくる金額も条件が異なります。数字を並べて比較したうえで、続けるべきかどうかを一緒に判断できます。>> 保険のプロに無料で相談する >> 保険料シミュレーションを試す |
解約や乗り換えを慎重に判断すべき理由
お宝保険に該当する契約は、一度手放すと同じ条件では二度と手に入りません。予定利率は契約時点で固定されるため、解約はその権利を放棄することを意味します。
加えて、年齢が上がっていることや健康状態の変化によって、新しく加入すること自体が難しくなっている場合もあります。
転換制度は予定利率がリセットされる
転換とは、今の契約の責任準備金や積立部分を新しい契約の一部に充てる仕組みです。下取りに例えられることがあります。
転換をすると新しい契約として扱われるため、予定利率は転換時点の水準に切り替わります。保険料が上がったように見えないよう設計されていても、有利だった利率は失われます。
保障が手厚くなる、保険料が変わらないといった説明を受けても、予定利率がどうなるかは必ず確認してください。契約前に交付される書面に記載があります。
特約の更新で保険料が上がることがある
定期付終身保険では、特約部分が10年や15年ごとに自動更新される設計になっていることがあります。更新のたびに、その時点の年齢で保険料が計算し直されるため、負担が急に増えます。
保険料が高いと感じる原因が特約部分にあるなら、主契約を残したまま特約だけを外す、あるいは減らすという方法があります。主契約の予定利率には影響しません。
この見極めをせずに契約全体を解約してしまうと、有利な部分まで一緒に失うことになります。
契約者貸付の利率は契約によって異なる
解約返戻金の範囲内でお金を借りられる契約者貸付という制度があります。急に資金が必要になったときの選択肢です。
ただし予定利率が高い契約は、貸付利率も高く設定されているのが一般的です。借りている間は複利で利息がつくため、長期間そのままにすると負担が膨らみます。
借りたお金は全額でも一部でもいつでも返済できます。利用する場合は、返済の見通しを立ててから申し込んでください。
保険料が負担になったときの選択肢
保険料の支払いが続けられないという理由で解約を考えているなら、その前に契約を残したまま負担を軽くする方法を検討してください。
保険会社によって取り扱いは異なりますが、代表的な方法は次の5つです。
払済保険への変更
以後の保険料の払い込みをやめ、その時点の解約返戻金をもとに保障額を減らした保険に変更する方法です。
保険期間は変えずに、保険金額が下がるという形になります。多くの場合、契約時の予定利率は引き継がれるため、貯蓄性を保ったまま支払いを止められます。
ただし付いていた特約は原則として消滅します。医療保障を特約で確保している場合は、その扱いを確認してから判断してください。
延長保険への変更
こちらも保険料の払い込みをやめる方法ですが、保険金額を変えずに保険期間を短くするという点が払済保険と異なります。
死亡保障の金額を維持したい場合に向いています。一方で、終身だった保障が一定期間で終わることになるため、貯蓄性を重視している契約には向きません。
どちらを選ぶかは、その契約に何を求めているかによって変わります。
保険金額の減額
契約を一部だけ解約し、保険金額を下げることで保険料を減らす方法です。契約自体は継続するため、残した部分の予定利率はそのまま維持されます。
減額した分に対応する解約返戻金は、その時点で受け取れます。まとまった資金が必要な場合にも使える方法です。
必要な保障額が加入時より下がっているなら、無理なく続けられる水準まで減らすという判断は合理的です。
自動振替貸付
保険料の払い込みが一時的にできなかったとき、解約返戻金の範囲内で保険会社が保険料を立て替えてくれる仕組みです。
契約を失効させずに済む点が大きな利点ですが、立て替えられた金額には利息がつきます。一時的な資金繰りの問題であれば有効な手段です。
立て替えが続いて解約返戻金を超えると契約は失効します。状況が改善したら早めに返済してください。
失効しても復活できる場合がある
保険料の未払いによって契約が失効しても、一定期間内であれば復活の手続きができることがあります。多くの保険会社では3年以内が目安です。
復活する場合は、未払いだった保険料をまとめて払い込み、改めて健康状態の告知や診査を受けます。健康状態によっては復活が認められないこともあります。
復活が認められれば、契約時の予定利率がそのまま続きます。失効に気づいたら、期限内に保険会社へ相談してください。
| 続けるための方法を、一緒に探しませんか 解約する前にできることは複数あります。家計の状況と契約内容を照らし合わせて、どの方法が現実的かを整理します。>> 保険のプロに無料で相談する >> 保険料シミュレーションを試す |
お宝保険でも見直しを検討する場面
有利な契約だからといって、あらゆる状況で持ち続けるべきとは限りません。契約を残すことが家計の負担になっているなら、判断は変わります。
見直しの検討対象になる代表的な場面を挙げます。
保険料の負担が生活を圧迫している
前章の方法をすべて検討しても支払いが続けられないなら、解約という選択もあり得ます。払い続けられずに失効するより、計画的に整理するほうが結果は良くなります。
ただし解約は最後の手段です。減額や払済への変更で解決できないか、必ず先に確認してください。
複数の契約がある場合は、有利な契約を残して条件の劣る契約から整理するという順序で考えます。
保障内容が今の必要性と合っていない
30年前に契約した保険は、当時の家族構成を前提に設計されています。子どもが独立していれば、大きな死亡保障は不要になっているかもしれません。
また、古い契約では入院給付金の支払開始が5日目からといった条件になっていることがあります。入院日数が短期化している現在の医療事情には合わない設計です。
この場合は、貯蓄性のある主契約を残しつつ、医療保障だけを別の商品で確保するという組み合わせが考えられます。
保険会社の経営状況が気になる
保険会社が破綻した場合、生命保険契約者保護機構によって責任準備金の原則90%までが補償されます。ただし予定利率が引き下げられる可能性があり、契約条件がそのまま維持されるとは限りません。
過度に心配する必要はありませんが、契約している会社のソルベンシー・マージン比率や格付けを確認しておくことはできます。決算情報は各社のウェブサイトで公開されています。
複数の会社に契約を分散させておくという考え方もあります。
相続の備えとして活かせる場合もある
古い終身保険を持っている場合、相続対策として使える余地があります。死亡保険金には500万円に法定相続人の数を掛けた金額まで非課税となる枠があるためです。
預貯金として持っているより、保険金として遺したほうが相続税の負担が軽くなることがあります。加えて保険金は受取人固有の財産となるため、遺産分割の対象から外れ、まとまった現金をすぐに用意できます。
受取人の設定が現在の家族構成と合っているかは、この機会に確認しておいてください。何十年も前のまま更新されていないケースは珍しくありません。
受け取るときの税金と契約者変更の注意点
満期や解約でお金を受け取る段階になると、税金の問題が出てきます。古い契約ほど増えた金額が大きく、課税対象になりやすい点に注意が必要です。
受け取り方によって扱いが変わるため、事前に確認しておいてください。
満期保険金や解約返戻金は一時所得
保険料を負担した人と受取人が同じで、一時金として受け取る場合は一時所得になります。
計算は、受取総額から払い込んだ保険料を差し引き、さらに特別控除50万円を引いた金額の2分の1が課税対象です。50万円の控除枠があるため、増えた金額がそれ以下なら課税されません。
給与所得者の場合、給与と退職所得以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。判定は2分の1にした後の金額で行います。
出典:国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」
年金形式で受け取る場合は雑所得
個人年金保険を年金形式で受け取る場合は、公的年金等以外の雑所得として扱われます。毎年の年金額から、その年に対応する払込保険料を差し引いた金額が所得になります。
受け取り方を一時金にするか年金にするかで、税負担が変わることがあります。他の所得の状況によって有利不利が分かれるため、受け取り前に試算しておくと安心です。
保険会社に問い合わせれば、それぞれの受け取り方での金額を提示してもらえます。
契約者を変更するときは贈与税に注意
親が契約者で子が被保険者という学資保険などでは、契約者を子に変更したいという相談が出てきます。手続き自体は可能です。
名義を変更した時点ではすぐに課税されないことが多いものの、実際に満期金や解約返戻金を受け取る段階で課税関係が生じます。誰がいつ保険料を負担したかによって、贈与税の対象になる部分が出てくるためです。
金額が大きくなる契約では、変更前に税務署や税理士へ確認しておくと後の負担を避けられます。
| 受け取り方まで含めて設計しませんか せっかく有利な条件で貯めたお金でも、受け取り方によって手元に残る金額は変わります。税金の扱いも含めて、全体を整理します。>> 保険のプロに無料で相談する >> 保険料シミュレーションを試す |
まとめ
お宝保険とは、予定利率が高かった時期に契約された貯蓄性のある保険を指す通称です。目安となるのは1996年3月以前の契約で、終身保険や養老保険、個人年金保険が該当しやすくなります。
予定利率は契約時点で固定されるため、現在では手に入らない条件が続いています。解約や転換をすればその権利は失われ、同じ条件で入り直すことはできません。
保険料が負担になっているなら、払済保険への変更、延長保険への変更、減額、契約者貸付、自動振替貸付といった方法で、契約を残したまま負担を軽くできる場合があります。解約を決める前に確認してください。
まずは保険証券を取り出し、契約日と保険の種類を確認するところから始めましょう。予定利率が分からなければ保険会社に照会できます。判断に迷う部分があれば、契約内容を持ち込んで専門家に相談してみてください。
| 古い契約こそ、専門家と一緒に確認を 何十年も前の契約は、内容を読み解くだけでも手間がかかります。保険証券を持ち込んでいただければ、続けるべきか整理すべきかを一緒に判断できます。>> 保険のプロに無料で相談する >> 保険料シミュレーションを試す |