保険・お金のコラム

心筋梗塞でも保険に加入できる?入れる保険の種類と治療費・選び方を解説

心筋梗塞を経験した後、「もう保険には入れないのでは」と不安を感じている方は少なくありません。確かに、心筋梗塞の既往歴がある方は通常の医療保険や生命保険への加入が難しくなるのは事実です。

 

しかし、心筋梗塞後でも加入できる保険は存在します。引受基準緩和型医療保険や無選択型保険など、持病や既往歴がある方向けの保険商品が近年充実しており、治療から一定期間が経過していれば申し込みできるケースも増えています。

 

厚生労働省のデータによると、心筋梗塞を含む虚血性心疾患の平均入院日数は約8.6日ですが、カテーテル治療の医療費は約100万円、バイパス手術では約300万円以上にのぼります。退院後の心臓リハビリテーションや再発予防の通院も長期にわたるため、経済的な備えは欠かせません。

 

この記事では、心筋梗塞後の方が加入できる保険の種類や選び方、治療費の実態、既に加入している保険からの給付金、活用できる公的制度まで、必要な情報をまとめています。

 

確認したいポイント 結論 詳細
心筋梗塞後でも保険に加入できる? 引受基準緩和型なら加入の可能性あり 通常の医療保険は困難ですが、告知項目が少ない引受基準緩和型や無選択型なら申し込めるケースがあります。
加入できる保険にはどんな種類がある? 緩和型・無選択型・少額短期保険が中心 心筋梗塞の既往がある方は、引受基準緩和型医療保険、無選択型、少額短期保険が主な選択肢です。
心筋梗塞の治療費はいくらかかる? カテーテル治療で自己負担約30万円前後 カテーテル治療の医療費は約100万円、バイパス手術は約300万円以上で、3割負担でも高額になります。
既加入の保険から給付金はもらえる? 医療保険や三大疾病保険から受け取れる 発症前に加入した保険から入院給付金・手術給付金・三大疾病一時金などを受け取れます。

 

この記事でわかること

・心筋梗塞後でも加入できる保険の種類と、それぞれの特徴や注意点

・心筋梗塞のカテーテル治療・バイパス手術・リハビリにかかる費用の目安

・既に加入している保険から受け取れる給付金の種類と請求のポイント

・高額療養費制度や傷病手当金など活用できる公的制度の概要

・心筋梗塞の再発リスクに備える保険選びのポイント

 

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心筋梗塞とはどのような病気か

 

保険の検討に入る前に、心筋梗塞がどのような病気なのかを理解しておきましょう。病気の仕組みや治療法を知ることで、必要な保障の内容が明確になります。

 

心筋梗塞の仕組みと原因

 

心筋梗塞は、心臓の冠動脈が血栓によって完全に詰まり、心筋(心臓の筋肉)に血液が供給されなくなることで心筋が壊死する病気です。日本人の死亡原因の第2位である心疾患の中でも、特に命に関わる危険性が高い疾患として知られています。

 

主な原因は動脈硬化です。高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、肥満、ストレスといった生活習慣病やリスク因子が動脈硬化を進行させ、冠動脈内にできたプラーク(脂肪のかたまり)が破れて血栓が形成されることで発症します。厚生労働省によると、喫煙者は非喫煙者に比べて虚血性心疾患の死亡リスクが1.7倍高いとされています。

 

心筋梗塞の治療法

 

心筋梗塞の治療は、一刻も早く詰まった冠動脈の血流を回復させることが最優先です。現在の主な治療法は以下の2つです。

 

カテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション:PCI)は、手首や足の付け根からカテーテル(細い管)を挿入し、詰まった冠動脈を広げてステント(金属製の網状の管)を留置する治療法です。体への負担が比較的軽く、入院期間はダメージが小さければ3〜4日、大きい場合で2〜3週間程度です。

 

冠動脈バイパス手術(CABG)は、開胸して詰まった冠動脈の先に新しい血管をつなぎ、血流を確保する手術です。複数の冠動脈が狭窄している場合や、カテーテル治療が難しいケースで選択されます。入院期間は2〜4週間程度で、その後も心臓リハビリテーションが必要になります。

 

心筋梗塞の後遺症と再発リスク

 

心筋梗塞で壊死した心筋は元に戻らないため、心臓のポンプ機能が低下する「心不全」が後遺症として残ることがあります。息切れや疲労感が続いたり、日常生活に制限が生じるケースもあります。

 

また、心筋梗塞は再発リスクが高い病気です。一度発症した方は動脈硬化が進行している可能性が高く、再発率は5年以内で約20〜30%とされています。再発予防のために降圧薬、抗血小板薬、スタチン(脂質改善薬)などの服薬を生涯にわたって続ける必要があり、長期的な医療費の負担も見込まれます。

 

心筋梗塞後に加入できる保険の種類

 

心筋梗塞の既往歴がある方は、通常の医療保険や生命保険への加入はほぼ困難です。しかし、持病がある方向けに設計された保険商品であれば加入できる可能性があります。ここでは主な3つの選択肢を紹介します。

 

引受基準緩和型医療保険

 

引受基準緩和型医療保険は、告知項目が2〜5項目程度に絞られた医療保険です。代表的な告知項目は、「過去3か月以内に入院・手術をすすめられたか」「過去2年以内に入院・手術をしたか」「過去5年以内にがんで診断・治療を受けたか」といった内容です。

 

心筋梗塞の治療から2年以上が経過しており、上記の項目に該当しなければ加入できる可能性があります。ただし、保険料は通常の医療保険の約1.5〜2倍と割高です。また、加入後1年間は給付金が半額になる「給付金削減期間」が設けられている商品もありますが、最近は削減期間のない商品も増えていますので比較して選びましょう。

 

重要なのは、加入前の持病(心筋梗塞)やその関連疾患による再入院・手術も保障対象に含まれるかどうかです。心筋梗塞は再発リスクが高いため、持病の悪化も保障する商品を優先的に選ぶことをおすすめします。

 

無選択型医療保険

 

無選択型医療保険は、健康状態の告知や医師の診査が一切不要で加入できる保険です。引受基準緩和型にも加入できなかった方の選択肢として検討されます。

 

ただし、保険料は緩和型よりもさらに割高で、保障範囲も限定的です。既往症に起因する入院・手術は保障対象外とする商品や、契約日から90日間は保障が開始されない免責期間がある商品もあるため、契約条件を細かく確認することが不可欠です。

 

少額短期保険

 

少額短期保険は、保険期間が1〜2年と短く保険金額の上限も低めですが、引受基準が比較的ゆるやかなため心筋梗塞の既往がある方でも加入できる商品があります。保険料が安い反面、保障内容は限定的です。メインの保障ではなく既存の保障を補完する位置づけで検討するのがよいでしょう。更新型が多く、更新ごとに保険料が上がる可能性がある点にも注意してください。

 

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心筋梗塞の治療費はどのくらいかかるのか

 

心筋梗塞は治療費が高額になりやすい病気です。治療法によって費用が大きく異なるため、保険で備えるべき金額の目安を把握しておきましょう。

 

治療法別の費用の目安

 

治療法 医療費(保険適用前) 3割負担 平均入院日数
カテーテル治療(PCI) 約100万〜175万円 約30万〜52万円 約3日〜3週間
冠動脈バイパス手術 約300万〜500万円 約90万〜150万円 約2〜4週間
心臓リハビリ(通院・月額) 約3万〜8万円 約1万〜2.4万円 —

 

※高額療養費制度を利用すれば月ごとの自己負担額はさらに軽減されます。上記は概算のため、実際の金額は医療機関や治療内容により異なります。

 

カテーテル治療は体への負担が軽い一方で、ステントの種類(薬剤溶出性ステントなど)によって費用が変動します。バイパス手術は費用が高額になりますが、高額療養費制度を利用すれば月額の自己負担を8万〜9万円程度に抑えられる場合があります。

 

退院後にかかる継続的な費用

 

心筋梗塞は退院後も長期にわたって通院と投薬を続ける必要があります。再発予防のための降圧薬、抗血小板薬、スタチンなどの薬代は月額3,000〜8,000円程度(3割負担)が一般的です。加えて、定期的な検査(心電図、血液検査、心エコーなど)の費用も発生します。

 

心臓リハビリテーションは、退院後も外来で継続することが推奨されています。公的医療保険の適用期間内(発症から150日)であれば1〜3割負担で受けられますが、それ以降は自費または介護保険での対応になる場合があります。

 

これらの費用は生涯にわたって発生するため、トータルで見ると大きな経済的負担になります。民間の医療保険で入院・手術費用に備えつつ、継続的な通院費用は公的制度と家計のやりくりで対応するのが現実的なプランです。

 

既に加入している保険から受け取れる給付金

 

心筋梗塞を発症する前に医療保険や生命保険に加入していた方は、加入中の保険から各種給付金を受け取れる可能性があります。請求漏れがないよう、保険証券を確認しましょう。

 

医療保険からの給付金

 

一般的な医療保険に加入していれば、心筋梗塞による入院に対して「入院給付金」が、カテーテル治療やバイパス手術に対して「手術給付金」が支払われます。手術給付金は手術の種類によって入院日額の10〜40倍が支給されるのが一般的です。

 

心筋梗塞のカテーテル治療は入院日数が短い(3日〜3週間)ため、入院日額型の保険では受取総額が少なくなる可能性があります。一方、入院一時金タイプの保険であれば短期入院でもまとまった金額を受け取れるため、心筋梗塞への備えとしては有利です。

 

三大疾病保険(特定疾病保障保険)からの給付金

 

三大疾病保険に加入している場合、心筋梗塞は「急性心筋梗塞」として支払い条件に該当すれば、まとまった一時金(100万〜300万円など)を受け取れます。

 

ただし、支払い条件は保険会社ごとに異なります。従来型は「急性心筋梗塞を発症し、60日以上労働の制限を必要とする状態が続いた場合」という厳しい条件が多いですが、最近の商品は「急性心筋梗塞で入院した場合」や「手術を受けた場合」に緩和されているものもあります。契約内容を確認し、該当するかどうか早めに保険会社に問い合わせましょう。

 

就業不能保険・傷病手当金との併用

 

就業不能保険に加入している場合は、心筋梗塞の後遺症や療養で働けなくなった期間について給付金が支払われる可能性があります。会社員の方は健康保険から傷病手当金(標準報酬日額の3分の2、最長1年6か月)も受給できますので、就業不能保険と傷病手当金を併用して収入減少に備えましょう。

 

保険金の請求権には3年の時効があるため、心筋梗塞と診断されたら早めに保険会社へ連絡し、必要書類を確認して請求手続きを進めてください。

 

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公的制度を活用して医療費を軽減する方法

 

心筋梗塞の治療費は高額になりやすいですが、公的制度を活用すれば自己負担を大幅に軽減できます。使える制度を漏れなく把握しておきましょう。

 

高額療養費制度

 

高額療養費制度を利用すれば、1か月の医療費の自己負担額が上限を超えた場合に超過分が払い戻されます。たとえば70歳未満で年収約370万〜770万円の方であれば、月額の自己負担上限は約8万円前後です。カテーテル治療やバイパス手術の費用が高額でも、この制度を利用すれば自己負担を大きく抑えられます。

 

入院前に「限度額適用認定証」を申請するか、マイナ保険証によるオンライン資格確認を利用すれば、窓口での支払いが上限額までに抑えられるため、高額な立替払いを避けることができます。

 

医療費控除

 

年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告により所得税の一部が還付されます。心筋梗塞の入院費用、手術費用、薬代、通院の交通費なども対象になります。領収書は日頃から保管しておくことで確定申告がスムーズに進みます。

 

障害年金

 

心筋梗塞の後遺症により心臓の機能が著しく低下した場合や、ペースメーカーや人工弁を装着した場合は、障害年金を受給できる可能性があります。ペースメーカーや人工弁の装着は原則として障害等級3級以上に認定されます。初診日から1年6か月経過後に申請が可能ですので、該当する方は年金事務所に相談しましょう。

 

心筋梗塞後の保険選びで重視すべきポイント

 

心筋梗塞を経験した方が新たに保険を検討する際は、以下のポイントを意識して選びましょう。

 

持病の悪化・再発も保障対象に含まれるか

 

引受基準緩和型医療保険の中には、加入前からの持病による入院・手術も保障する商品と、持病は対象外とする商品があります。心筋梗塞は再発リスクが高い病気のため、再発による入院・手術も保障される商品を優先的に選ぶことが重要です。

 

三大疾病特約の付加を検討する

 

引受基準緩和型医療保険の中には、三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に対する特約を付けられる商品もあります。心筋梗塞の再発や、関連する心疾患(心不全、狭心症など)に対する備えを手厚くしたい方は、三大疾病特約の付加を検討しましょう。

 

入院一時金タイプと入院日額タイプの違い

 

心筋梗塞のカテーテル治療は入院日数が短い傾向にあるため、入院日額タイプでは受取金額が少なくなる可能性があります。入院一時金タイプであれば日数に関係なくまとまった金額を受け取れるため、心筋梗塞への備えとしては有利です。一方、合併症による長期入院に備えるなら日額タイプも検討に値します。

 

理想的には、入院一時金と入院日額を組み合わせることで、短期入院にも長期入院にも対応できるプランを設計するのがよいでしょう。

 

複数社に申し込んで比較する

 

保険会社ごとに引受基準は異なるため、A社で断られてもB社では加入できるケースは珍しくありません。最低3社以上に同時に申し込み、最も有利な条件を提示した会社を選ぶのが賢明です。保険の専門家に相談すれば、複数社の見積もりを一括で取得できるため効率的です。

 

告知は正確に行う

 

心筋梗塞の既往歴を隠して保険に加入することは告知義務違反に該当し、保険金が支払われない原因になります。心筋梗塞の発症時期、治療内容(カテーテル治療かバイパス手術か)、入院期間、後遺症の有無、現在の服薬状況などを正確に申告しましょう。正しい告知が確実に保障を受け取るための大前提です。

 

心筋梗塞の再発予防と保険の関係

 

心筋梗塞は再発リスクの高い病気です。日常的な再発予防の取り組みは、健康を守るだけでなく、保険加入の選択肢を広げることにもつながります。

 

再発予防のために欠かせない取り組み

 

心筋梗塞の再発を防ぐためには、処方された薬(抗血小板薬、スタチン、降圧薬など)を確実に服用し続けることが最も重要です。自己判断で服薬を中断すると再発リスクが急激に高まるため、医師の指示に従って治療を継続しましょう。

 

また、禁煙、減塩、適度な運動、適正体重の維持、ストレス管理といった生活習慣の改善も再発予防に直結します。特に喫煙は冠動脈疾患の最大のリスク因子のひとつであり、禁煙だけでも再発リスクを大幅に低減できるとされています。

 

健康管理の継続が保険加入の選択肢を広げる

 

心筋梗塞後に適切な治療と生活習慣の改善を続け、再発なく経過していれば、引受基準緩和型医療保険の告知項目に該当しない可能性が高まります。「過去2年以内に入院・手術をしていない」という条件は、治療から時間が経過するほどクリアしやすくなります。

 

日々の健康管理を続けることが、保険の選択肢を広げる最良の方法です。定期的な通院と検査を怠らず、主治医と連携して再発リスクをコントロールしていきましょう。

 

発症前の備えが最も有効

 

心筋梗塞は突然発症する病気であり、発症してからでは保険の選択肢が大幅に狭まります。高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙といったリスク因子を抱えている方は、健康なうちに医療保険や三大疾病保険に加入しておくことを強くおすすめします。発症前なら通常の保険に加入でき、保険料も抑えられます。

 

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まとめ

 

心筋梗塞を経験した後でも、保険に加入する道は閉ざされていません。引受基準緩和型医療保険、無選択型医療保険、少額短期保険など、心筋梗塞の既往がある方でも申し込みできる保険商品は複数あります。

 

保険選びでは、持病の再発が保障対象に含まれるか、三大疾病特約を付加できるか、入院一時金タイプと日額タイプのどちらが自分に合っているかを総合的にチェックしましょう。また、発症前に加入していた保険からの給付金請求も忘れずに行ってください。

 

心筋梗塞は治療費が高額になりやすく、退院後の通院・投薬も長期にわたります。高額療養費制度、傷病手当金、障害年金といった公的制度を最大限に活用しつつ、民間の保険で不足分を補うのが現実的な備え方です。

 

何よりも大切なのは、健康状態が良いうちに行動することです。一人で悩まず、まずは保険の専門家に相談してみてください。

 

出典:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/index.html)