保険・お金のコラム

配当付き終身保険とは?仕組み・配当金の受取方法・無配当との違いをわかりやすく解説

終身保険の中には、保険会社の運用成果に応じて「配当金」が受け取れるタイプがあることをご存じでしょうか。配当付き終身保険は、一生涯の死亡保障に加えて、運用益の還元を受けられる可能性がある保険です。

一方で、配当が保証されているわけではなく、無配当型と比べて保険料が割高になるなどの特徴もあります。低金利が長く続いた日本では配当がほとんど出ない時期もあり、「配当付き」という言葉の印象だけで選ぶと期待とずれてしまうこともあります。

この記事では、配当付き終身保険の仕組みから配当金の種類と受取方法、無配当終身保険との違い、税金の取り扱い、自分に合った保険の選び方までをわかりやすく解説します。

配当付き終身保険とは?配当金の仕組みを理解しよう

配当金とは「保険料の事後精算」

生命保険の配当金とは、保険会社が保険料を算出する際に使用した「予定率」と実際の運営結果との差から生じた余剰金(剰余金)を、契約者に還元する仕組みです。株式の配当とは異なり、保険の配当金は「保険料の事後精算」という性質を持っています。

保険料は「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」という3つの予定率をもとに計算されます。実際の死亡者数が予定より少なかった場合(死差益)、資産運用の成績が予定利率を上回った場合(利差益)、事業運営の経費が予定より少なかった場合(費差益)に余剰金が発生し、これが配当金として契約者に分配される可能性があります。

言い換えれば、配当金は「多めに預かっていた保険料の返金」に近いものです。利益の分配というより、余った分を精算して戻しているというイメージで捉えると、仕組みを誤解せずに理解できます。

配当付き終身保険の基本的な特徴

配当付き終身保険は、保障が一生涯続く終身保険に配当金の分配機能がついた保険です。保険料を払い込みながら死亡保障と高度障害保障を確保し、保険会社の運用状況が良好であれば配当金を受け取ることができます。

ただし、配当金はあくまで運用成果に連動するため、景気や金利環境によっては配当金がゼロになることもあります。配当金が確実にもらえるわけではないという点は、しっかり理解しておく必要があります。

なぜ無配当型が主流になったのか

かつての終身保険は配当付きが一般的でした。予定利率が高く、運用環境も良好だった時代には、配当金として実際に還元される金額も相応にあったためです。

しかし1990年代以降の金利低下によって、予定利率を上回る運用益を確保することが難しくなり、利差益による配当はほとんど発生しない状況が続きました。その結果、「出るかわからない配当のために保険料を高く払う」よりも「最初から保険料を抑える」ほうが合理的だという設計が広まり、現在は無配当型や低解約返戻金型の終身保険が主流となっています。

配当付き終身保険を検討する際は、この歴史的な背景を踏まえて「今の金利環境で配当が期待できるか」を冷静に見ることが大切です。

相互会社と株式会社で配当の考え方が異なる

生命保険会社には、契約者が社員(構成員)となる「相互会社」と、株主が出資する「株式会社」があります。

相互会社では剰余金が契約者(社員)への配当として還元される仕組みが基本にあり、伝統的に配当付きの商品を扱ってきました。一方、株式会社では剰余金の一部が株主への配当にも回るため、契約者配当の考え方が相互会社とは異なります。

どちらが有利と単純に言えるものではありませんが、配当付き終身保険を比較する際は、その保険会社の形態と配当方針も参考になります。

配当金の種類|3利源配当と利差配当の違い

3利源配当タイプ(毎年配当)

3利源配当タイプは、死差益・利差益・費差益の3つの利源すべてから生じた剰余金を配当金として分配する仕組みです。毎年決算のたびに配当金が計算され、原則として契約日から一定期間(通常2〜3年)経過後から配当金が支払われます。

3つの利源を対象としているため、配当金が発生する可能性が比較的高いのが特徴です。ただし、その分保険料も割高になる傾向があります。近年では3利源配当タイプの終身保険を取り扱う保険会社は減少しています。

5年ごと利差配当タイプ

5年ごと利差配当タイプは、資産運用による利差益のみを対象として、5年ごとに配当金の有無と金額を判定し、分配する仕組みです。現在の配当付き終身保険では、この「5年ごと利差配当」が最も一般的なタイプとなっています。

配当の対象が利差益に限定されているため、3利源配当タイプと比べて保険料はやや安く抑えられています。ただし、金利環境が低迷している時期は運用益が出にくく、配当金がゼロになるケースも珍しくありません。5年ごとの判定であるため、配当があるかどうかが分かるまでに時間がかかる点も特徴です。

無配当タイプ

配当の分配を行わない設計が無配当タイプです。剰余金の還元を前提にしないため、予定率を実態に近い水準に設定でき、保険料を抑えられます。現在販売されている終身保険の多くはこのタイプです。

配当付きと無配当は、どちらが優れているという関係ではありません。「不確実な還元に期待するか、確実に保険料を抑えるか」という設計思想の違いだと捉えるのが正確です。

自分の契約がどのタイプか確認する方法

すでに終身保険に加入している方は、保険証券や契約のしおりに記載された商品名を確認してください。「5年ごと利差配当付」「有配当」「無配当」といった表記が商品名や約款に含まれているのが一般的です。

判別しづらい場合は、保険会社のコールセンターに証券番号を伝えて、配当のタイプと過去の配当実績、積立配当金の現在の残高をまとめて確認するのが確実です。

配当金の受取方法は4つ

積立(最も一般的)

配当金を保険会社に積み立てておく方法です。積み立てた配当金には所定の利息がつき、いつでも引き出すことができます。死亡時や解約時には、保険金や解約返戻金とあわせて受け取ることも可能です。手間がかからず、自動的に積み立てられるため、最も多く選ばれている受取方法です。

買増

配当金を一時払いの保険料として充当し、保険金額を買い増していく方法です。配当金が発生するたびに保障額が少しずつ増えていくため、インフレによる保険金の実質的な目減りを緩和する効果が期待できます。追加の保険料支払いなしで保障が増える点がメリットです。

相殺

配当金と保険料を相殺する方法です。配当金の分だけ保険料の負担が軽減されるため、家計への負担を減らしたい方に適しています。ただし、配当金が保険料の金額を上回ることは通常ないため、保険料がゼロになるわけではありません。

現金支払

配当金を現金で受け取る方法です。配当金が発生するたびに指定口座に振り込まれます。すぐに使えるお金として受け取りたい方に向いていますが、長期的な資産形成の観点からは、積立や買増のほうが効率的な場合があります。

受取方法を選ぶときの考え方

配当金を「今の家計に回したいか」「将来の保障や資産に回したいか」で考えると選びやすくなります。当面の負担を軽くしたいなら相殺や現金支払、将来の受取額や保障を厚くしたいなら積立や買増が適しています。

なお、配当金の受取方法は保険会社や契約内容によって選択できるものが限られている場合があります。また、後から変更できる場合もあるため、契約前と契約後の両方で確認しておきましょう。

配当付き終身保険と無配当終身保険の違い

保険料の違い

配当付き終身保険は、将来の配当金の分配に備えて保険料にある程度の余裕を持たせて設定されているため、同じ保障内容の無配当終身保険と比べて保険料が高めに設定されているのが一般的です。

一方、無配当終身保険は配当を分配しない前提で設計されており、予定率を実態に近い水準で設定できるため、保険料を安く抑えられています。「配当が出るかわからないなら、最初から保険料が安いほうがいい」と考える方には無配当型が適しています。

トータルリターンの違い

配当付き終身保険のトータルリターン(払い込んだ保険料に対する受取総額の割合)は、配当金の有無と金額によって大きく変動します。運用環境が良好であれば無配当型を上回る可能性がありますが、配当金がゼロまたは少額の場合は、保険料が高い分だけ無配当型より不利になることもあります。

低金利環境が長期間続いた日本では、配当金がほとんど支払われないケースが多く、結果的に無配当型のほうがコストパフォーマンスに優れているという見方もあります。将来の金利環境に対する見通しも含めて判断することが大切です。

保障内容そのものは変わらない

見落とされやすいのですが、配当の有無は死亡保険金額や高度障害保障の内容を左右するものではありません。契約した保険金額は、配当があってもなくても支払われます。

つまり配当は、保障の「本体」ではなく「上乗せの可能性」です。保険を選ぶときは、まず必要な保障額と保障期間を決め、そのうえで配当の有無を比較するという順番で考えましょう。

どちらを選ぶべきかの判断基準

配当付き終身保険が向いているのは、多少保険料が高くても将来の運用益による上乗せに期待したい方、長期で加入するため金利上昇局面でのメリットを享受したい方、保障と資産形成の両方を重視する方です。

無配当終身保険が向いているのは、保険料をできるだけ抑えたい方、確定した保障を重視し不確実な配当には期待しない方、保障と貯蓄を切り離して考えたい方です。現在の日本では無配当型が主流となっていますが、金利が上昇する局面では配当付きの優位性が見直される可能性もあります。

配当金にかかる税金

積み立てている間は非課税

配当金を保険会社に積み立てている間は、税金はかかりません。積立配当金は保険料の事後精算という性質を持っているため、積み立てている段階では課税の対象にはなりません。

保険金や解約返戻金と一緒に受け取ったときの税金

配当金を保険金や解約返戻金とあわせて受け取った場合は、配当金を含めた受取総額に対して税金がかかります。契約者と被保険者が同一で受取人が相続人の場合は相続税、契約者と受取人が同一の場合は所得税(一時所得)の対象となります。

一時所得の場合は、受取総額から払込保険料を差し引き、さらに50万円の特別控除を引いた金額の2分の1が課税対象となります。配当金が加わることで受取総額が増え、課税対象が変わる可能性があるため、受取時の税金は事前にシミュレーションしておくと安心です。

配当金を途中で引き出した場合

積み立てている配当金を途中で引き出した場合、引き出した金額が払込保険料の累計額以内であれば、税金はかかりません。引き出した金額が払込保険料の累計額を超える場合は、超えた部分が一時所得として課税される可能性があります。

ただし、一時所得には50万円の特別控除があるため、実際に課税されるケースは限定的です。不安な場合は税理士や保険会社に確認しましょう。

生命保険料控除の計算にも影響する

意外と知られていないのが、生命保険料控除への影響です。生命保険料控除の対象となる保険料は、その年に払い込んだ保険料から、その年に分配を受けた剰余金(配当金)の額を差し引いた金額が原則となります。

そのため、配当金を現金で受け取ったり保険料と相殺した年は、控除の対象額がその分だけ小さくなります。もっとも、実務上は保険会社が調整済みの金額を生命保険料控除証明書に記載してくれるため、証明書に書かれた金額をそのまま申告すれば問題ありません。自分で計算し直す必要はないと考えて差し支えありません。

配当付き終身保険を選ぶ際のポイント

配当実績を確認する

配当付き終身保険を検討する際は、その保険会社の過去の配当実績を確認しましょう。過去に配当がどの程度支払われていたか、直近で配当が出ているかどうかは、将来の配当の目安になります。ただし、過去の実績が将来の配当を保証するものではない点には注意が必要です。

保険料と保障内容を無配当型と比較する

同じ保障額で配当付き終身保険と無配当終身保険の保険料を比較し、差額がどの程度あるかを確認しましょう。保険料の差額を別の投資や貯蓄に回した場合のリターンと、配当金の期待値を比較することで、どちらが自分にとって有利かを判断しやすくなります。

保障内容(死亡保険金額、高度障害保障、特約の有無など)も配当の有無とは別に比較検討することが大切です。配当に目を奪われて保障内容の比較を怠らないようにしましょう。

保険会社の健全性をチェックする

配当金は保険会社の運用成果に依存するため、保険会社の財務健全性も重要なチェックポイントです。ソルベンシー・マージン比率(保険会社の支払い余力を示す指標。200%以上が健全性の一つの目安とされます)や格付け、総資産規模などを確認し、長期にわたって安定した運用が期待できる保険会社を選びましょう。

終身保険は数十年にわたる長期契約となるため、保険会社の経営基盤の安定性は保障の継続性に直結します。なお、万一保険会社が破綻した場合には生命保険契約者保護機構による補償の仕組みがありますが、契約条件が変更される可能性はあります。

「配当」という言葉に引っ張られないこと

配当付き終身保険を検討するうえで最も注意したいのは、「配当がもらえる保険」という言葉の印象に判断を左右されないことです。配当は多めに払っていた保険料の精算であり、配当が出ないことは損失を意味しません。

判断すべきなのは「必要な保障を、納得できる保険料で、確実に一生涯確保できるか」です。配当はあくまで、その後についてくる可能性のある要素と位置づけましょう。

すでに加入している配当付き終身保険をどうするか

古い契約は解約せず残すのが原則

1990年代半ばまでに契約した終身保険は、予定利率が現在よりはるかに高く設定されている場合があります。こうした契約は解約すると同じ条件で入り直せないため、原則として残すことをおすすめします。

配当がほとんど出ていないという理由で解約を考える方もいますが、判断材料にすべきは配当ではなく、契約全体の条件(予定利率、保障額、解約返戻金の推移)です。まずは保険証券で契約日と予定利率を確認しましょう。

保険料負担が重いときの選択肢

保険料の払い込みが負担になっている場合、解約以外の方法で対応できることがあります。以後の保険料払い込みを止めて保障額を減らす「払済保険への変更」、保障額を下げて保険料を軽くする「減額」、一時的な資金需要に対応する「契約者貸付」などが代表的です。

積立配当金がある場合は、それを引き出して当面の資金に充てるという方法も考えられます。いずれも契約内容によって可否が異なるため、保険会社に確認したうえで比較してください。

積立配当金の残高を確認する

配当金を積立にしている方は、現在いくら積み立てられているかを一度確認しておきましょう。長期間契約している場合、まとまった金額になっていることもあります。

残高は保険会社から届く「ご契約内容のお知らせ」やマイページで確認できます。相続の場面では遺族が把握できていないことも多いため、家族と情報を共有しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q. 配当金は必ずもらえますか?

いいえ、配当金は保証されているものではありません。保険会社の運用成果や経営状況によって、配当金がゼロになる年もあります。配当付き終身保険は「配当が出る可能性がある保険」であり、「配当が確実にもらえる保険」ではないことを理解しておきましょう。

Q. 配当金はいくらくらいもらえますか?

配当金の金額は、保険金額、加入期間、保険会社の運用成果によって大きく異なります。一般的に、保険金額が大きく加入期間が長いほど配当金も多くなる傾向がありますが、低金利環境では期待ほどの金額にならないケースが多いのが実情です。具体的な配当金額の見通しは保険会社の担当者に確認しましょう。

Q. すでに加入している配当付き終身保険を無配当に変更できますか?

配当付きから無配当への変更は、原則としてできません。保険の種類を変更したい場合は、現在の契約を解約して新たに無配当終身保険に加入するか、払済保険に変更するなどの方法を検討する必要があります。ただし、解約や変更にはデメリットもあるため、保険の専門家に相談してから判断することをおすすめします。

Q. 配当金の受取方法は後から変更できますか?

多くの保険会社では、契約後に受取方法を変更できます。ただし変更できる範囲や手続きの方法は保険会社や商品によって異なるため、コールセンターに確認してください。

Q. 配当金を受け取ると死亡保険金は減りますか?

減りません。契約した死亡保険金額は配当金の受け取りとは別に確保されています。買増を選んだ場合は、逆に保険金額が増えていきます。

Q. 配当金がゼロだったら損をしたことになりますか?

損をしたわけではありません。配当がないということは、予定していた死亡率・運用利回り・経費の水準どおりに運営されたということです。ただし、無配当型より高い保険料を払っていた分については、結果として割高だったと評価できる面はあります。

Q. 積立配当金はいつでも引き出せますか?

一般的には所定の手続きでいつでも引き出せます。ただし引き出すと、その後に付く利息や、保険金・解約返戻金と一緒に受け取れる金額はその分減ります。使う予定がないのであれば、積み立てたままにしておくほうが有利になることが多いです。

まとめ|配当付き終身保険は仕組みを理解して選ぼう

配当付き終身保険は、一生涯の死亡保障に加えて保険会社の運用益の還元を受けられる可能性がある保険です。ただし、配当金は保証されたものではなく、無配当型と比べて保険料が割高になるという特徴があります。5年ごと利差配当と3利源配当の違い、配当金の受取方法、税金の取り扱いなど、仕組みを正しく理解したうえで、自分のライフプランに合った保険を選ぶことが大切です。

配当付きと無配当のどちらが自分に合っているか判断に迷う場合は、ぜひ専門家にご相談ください。保険料や保障内容の比較はもちろん、将来の金利環境も踏まえた最適なプランをご提案いたします。