保険・お金のコラム

団信のがん告知はどう書く?既往歴がある場合とがん団信の注意点を解説

住宅ローンを申し込むとき、がんに関する告知は2つの場面で問題になります。ひとつは、過去にがんの治療を受けた人が団信に加入できるかという場面。もうひとつは、これからがん団信に加入する人が保障の条件を確認する場面です。

どちらも「告知」という言葉で語られますが、確認すべき中身は異なります。前者は過去の治療歴をどう書くかという話であり、後者は将来がんになったときに保障されるかという話です。

この記事では、既往歴がある場合の告知の書き方、上皮内がんの扱い、これから加入する人が見るべき条件、そして返済中に診断された場合の対応までを順に整理します。

確認したいポイント 結論 詳細
がんの既往があると通らない? 経過年数と現在の状態で変わる 治療がいつ終わったか、再発や転移がないかが見られます。完治から3年で告知対象外になる場合もあります。
告知では何を書く? 部位・診断日・治療内容を書く がんの部位、診断された時期、手術や薬物療法の内容、現在の通院状況まで求められます。
上皮内がんも告知が必要? 質問文に該当するかで判断する 治療期間や手術の有無で決まります。がん団信の保障では対象外とされることが多い点も別問題です。
これから加入するなら? 免責90日と保障範囲を確認する 加入から90日間は保障されず、上皮内がんが対象外の商品もあります。加入前の確認が必要です。

この記事でわかること

  • がんの既往歴が団信の告知でどう問われ、何を書く必要があるのか
  • 完治からの経過年数が判断にどう関わるのかという考え方
  • 上皮内がんや早期がんの、告知と保障それぞれの場面での扱い
  • これからがん団信に加入する人が確認すべき免責期間と保障範囲
  • 返済中にがんと診断された場合に、団信と公的な制度で何が使えるか
がんの既往がある場合の住宅ローンもご相談いただけます
部位や治療の内容、経過年数によって取れる方法は変わります。複数の商品を扱う立場から、現実的な進め方をお伝えします。

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がんと団信の告知の基本

まず、告知書のどこでがんが問われ、何が見られているのかを整理します。

告知書でがんはどう問われるか

一般的な団信の告知書では、過去3年以内に、所定の病気で手術を受けたか、または2週間以上にわたって医師の診察や治療、投薬を受けたことがあるかが問われます。この所定の病気のなかに、がん(悪性新生物)が含まれています。

加えて、最近3か月以内に医師の診察や検査を受け、治療や投薬を受けたことがあるかという質問もあります。定期的な検診で通院している場合、こちらに該当することがあります。

告知の項目や期間は商品によって異なります。同じ団信という名前でも、金融機関や引受をする保険会社が変われば内容が違うため、申込先ごとの確認が必要です。

判断されるのは病名ではなく経過

がんという病名だけで結果が決まるわけではありません。部位、進行度、治療の内容、治療が終わってからの年数、再発や転移の有無を含めて判断されます。

ごく初期の段階で治療が終わり、その後の検診でも異常がない状態と、治療中または治療が終わって間もない状態とでは、まったく別の判断になります。前者であれば道が開ける余地があります。

がんは、生存率が向上している病気でもあります。国立がん研究センターの集計では、2018年にがんと診断された人の5年相対生存率は男女計で64.8%とされています。

参照:国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

がんは身近な病気になっている

国立がん研究センターの集計では、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性61.1%、女性50.1%とされています。おおよそ2人に1人という水準です。

住宅を購入する年代でも、既往歴がある人は特別な存在ではありません。金融機関や保険会社にとっても、日常的に扱っているケースです。過去の治療歴を理由に相談をためらう必要はありません。

完治から3年という区切り

告知の質問は「過去3年以内」と期間が区切られています。つまり、治療が終わってから3年以上が経過していれば、この項目には該当しなくなるということです。

実務では5年という数字が語られることもありますが、これは保険会社が公表した基準ではありません。引受の基準が公開されることは基本的になく、部位や治療内容によって見方も変わります。

目安の年数にとらわれて申し込みを先送りするより、自分の状況が質問文に当てはまるかを確認するほうが確実です。年齢が上がると返済期間や完済時年齢の制約も出てくるため、待つことの費用も含めて考えます。

既往歴がある場合の告知の書き方

該当する場合、何をどこまで書くのかを整理します。

部位・診断日・治療内容を整理する

記入するのは、がんの部位、診断された時期、受けた治療の内容、治療が終わった時期、現在の通院の状況です。手術を受けたのであれば、その時期と術式も書きます。

あいまいな書き方をすると確認に時間がかかり、手続きが長引きます。診療明細、手術の記録、検査結果などを手元に置き、正確な日付を書けるように準備しておきます。記憶があいまいな場合は、治療を受けた医療機関に確認します。

治療が続いている場合

薬物療法やホルモン療法を続けている場合、治療中として扱われます。この状態では、通常の団信もワイド団信も難しくなるのが一般的です。

この場合は、団信への加入が任意とされているフラット35を検討するという方向になります。団信なしで借りる場合の備え方は、後の見出しで扱います。

経過観察中・定期検診中の場合

治療は終わったが、半年に一度の検査を続けているという状態もあります。この場合、直近の受診が「最近3か月以内の診察や検査」に該当するかどうかがまず問題になります。

経過観察であること、異常が見つかっていないことが分かる資料を添えると、状態を説明しやすくなります。検査結果や、主治医の意見書を用意しておく方法もあります。

検診で要精密検査と言われた段階

がん検診で再検査を指示され、まだ診断が確定していない段階のこともあります。この場合も、告知書の質問文に照らして判断します。

治療も投薬も受けていなければ「2週間以上の治療」には該当しません。ただし、最近3か月以内に医師の診察や検査を受け、治療や投薬をすすめられたかという項目に該当する可能性があります。判断に迷ったら、記入する前に金融機関の担当者に確認します。

事実と違う告知をしてはいけない

がんの既往を書かなければ通るのではないか、と考えたくなる場面かもしれません。しかし、事実と違う告知は告知義務違反にあたります。

発覚すれば契約が解除される可能性があり、その場合、保険金は支払われません。残された家族がローンの残債をそのまま背負うことになります。がんは、経過によっては正しく告知しても道が開ける病気です。書かずに通すという選択は避けます。

告知に添える資料の準備も、事前にご相談いただけます
どの資料を用意すれば経過を説明しやすいかは、部位や治療内容によって変わります。申し込みの前に整理しておくと、審査にかかる時間を短くできます。

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上皮内がん・早期がんはどう扱われるか

判断に迷いやすいのが、上皮内がんや早期のがんです。告知の場面と保障の場面で扱いが分かれるため、分けて整理します。

上皮内がんとは何か

上皮内がんは、がん細胞が上皮の内側にとどまり、基底膜を越えて広がっていない段階を指します。子宮頸部や大腸などで見つかることがあり、上皮内新生物とも呼ばれます。

基底膜を越えているかどうかが、上皮内がんと浸潤がんを分ける境目です。転移の可能性が低いとされ、治療も限定的な範囲で済むことが多い段階です。

告知の場面での扱い

告知が必要かどうかは、病名ではなく質問文に該当するかで決まります。手術を受けたのであれば「3年以内の手術」に該当しますし、2週間以上の治療を受けたのであればその項目に該当します。

上皮内がんだから書かなくてよい、ということにはなりません。ただし、告知したうえでの判断は、浸潤しているがんとは異なります。経過が良好であれば、引き受けられる可能性は相対的に高くなります。

がん団信の保障では対象外のことが多い

ここが混同されやすい点です。これから加入するがん団信の側では、上皮内がんや非浸潤がん、大腸の粘膜内がん、悪性黒色腫以外の皮膚がんは、保障の対象外とされている商品が多くあります。

つまり、上皮内がんと診断されてもローン残高はゼロになりません。一方で、金融機関によっては一時金として一定額が支払われる商品もあります。

告知の場面では対象になり、保障の場面では対象外になる。この違いを理解しておかないと、加入後に想定と違う結果になります。契約前に、その商品の「がんの定義」を必ず確認します。

がんの定義や保障範囲は、商品ごとに読み解けます
同じ「がん団信」でも、対象になる状態と対象外になる状態は商品によって違います。契約前に条件を確認しておくことをおすすめします。

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通らなかった場合の選択肢

通常の団信で断られた場合の方法を整理します。持病全般に共通する内容のため、ここでは要点に絞ります。

ワイド団信とフラット35

ワイド団信は、通常の団信より引受の基準を緩めた商品です。治療が終わって一定の年数が経ち、再発がない状態であれば、引き受けられる可能性が出てきます。金利には年0.2%から0.3%程度の上乗せがある例が多く見られます。

もう一つが、団信への加入が任意とされているフラット35です。治療が続いている場合や、経過年数が短い場合の現実的な選択肢になります。新機構団信に加入しない場合、金利は年0.2%引き下げられます。

参照:住宅金融支援機構【フラット35】「ご加入の手続・ご注意点」
https://www.flat35.com/danshin_menu/shin-danshin/tetuduki.html

既往歴があっても検討できるがん団信

近年は、がんの既往歴がある人でも加入を検討できるがん団信も登場しています。取り扱っている金融機関は限られますが、選択肢として確認する価値があります。

条件は商品によって異なり、部位や経過年数に制限が設けられていることもあります。どの金融機関が扱っているかを含めて、事前に調べておきます。

団信なしで借りる場合の備え

団信に加入せずに借りる場合、契約者が亡くなってもローンは消えません。残された家族が返済を続けるか、住宅を売却して返済に充てるかを選ぶことになります。

代わりに個人で生命保険に加入する方法もありますが、生命保険にも告知があるため、団信で断られた場合は同じ結果になることもあります。引受の基準を緩めた商品を含めて探すことになります。

これから加入する人が確認すべき条件

ここからは、がんの既往がなく、これからがん団信に加入する人向けの内容です。

がん団信は通常の団信より基準が厳しい

がんを保障の対象に含む団信は、保障が手厚い分、通常の団信より引受の基準が厳しくなるのが一般的です。がん団信で断られても、通常の団信であれば加入できる場合があります。

フラット35でも、新3大疾病付機構団信に加入できない場合に、新機構団信へ切り替えて加入できることがあるとされています。健康状態に不安があるなら、まず基本的な団信で通ることを優先します。

90日の免責期間がある

がん保障には、責任開始日からその日を含めて90日間の免責期間が設けられているのが一般的です。この期間内にがんと診断確定されても、保障は受けられません。

また、責任開始日より前にがんと診断確定されていた場合も対象外です。加入の直前に検診を受け、結果が出るのを待っている状態であれば、この点を確認しておきます。

上乗せ金利と保障の範囲

がん団信には、診断されるとローン残高がゼロになる100%保障型と、半分になる50%保障型があります。上乗せ幅は商品によって異なり、年0.1%から0.2%程度の例が見られます。50%保障のものは上乗せなしとする金融機関もあります。

上乗せ金利を払う場合、同じ保障を民間のがん保険で用意したときの保険料と比べておきます。団信は残債を消すもの、がん保険は治療費や生活費を補うもので、目的が違います。片方があればもう片方が不要という関係ではありません。

がん団信とがん保険の使い分け

がん団信が消すのはローンの残債です。一方、がん保険が備えるのは治療費や、収入が減ったときの生活費です。同じ「がんに備える」でも、お金が向かう先が違います。

すでにがん保険に加入しているなら、団信の保障と重複していないかを確認します。逆に、がん団信に入っているからがん保険は不要、という判断も適切ではありません。残債が消えても、治療費と生活費は別に必要になるためです。

また、がん団信の保障はローンの返済期間中に限られます。完済後や老後のリスクに備えたい場合は、別に用意しておく必要があります。

加入後は変更できない

団信のプランは、本審査の承認以降は変更できないケースがあります。融資が実行された後は、プランの変更も中途解約もできないのが一般的です。

選び直しがきかないため、申し込みの段階で保障範囲と上乗せ金利を比べておく必要があります。借入額が大きいほど、上乗せの総額も大きくなります。

がん団信と民間のがん保険、どちらが有利かを比べられます
上乗せ金利の総額と、同じ保障を保険で用意した場合の保険料。数字を並べれば、どちらが自分の状況に合うかが見えてきます。

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返済中にがんと診断された場合

すでにローンを返済している途中で診断されることもあります。何が使えるのかを整理します。

一般の団信では支払対象になりにくい

がん保障が付いていない通常の団信で支払われるのは、死亡または所定の高度障害状態になった場合です。がんと診断されただけでは、支払いの対象になりません。

治療をしながら働いている状態も、休職して療養している状態も、高度障害には該当しないのが一般的です。つまり、返済は自分で続けることになります。

がん団信に加入していた場合

がん保障が付いた団信であれば、所定のがんと診断確定された時点でローン残高がゼロ、または半分になります。毎月の返済という固定費がなくなるため、治療に専念しやすくなります。

ただし、上皮内がんなど保障の対象外とされる状態もあります。加入している団信の約款で、どの状態が対象になるのかを確認します。

働けない期間の収入を補う

会社員として健康保険に加入していれば、業務外の病気で働けない期間について傷病手当金を受け取れます。連続する3日間を含めて4日以上仕事を休んだ場合が対象です。

1日あたりの金額は、支給を開始する日以前の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2に相当する額です。支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月とされています。

参照:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html

治療費については高額療養費制度があり、自己負担には上限が設けられています。使える制度を先に確認したうえで、不足する部分を保険で補うという順序で考えます。

治療費は高額療養費制度で上限が設けられている

公的医療保険には高額療養費制度があり、1か月に支払う医療費の自己負担には上限が設けられています。上限額は所得の区分と年齢によって決まります。

あらかじめ限度額適用認定証を用意しておけば、窓口での支払いを上限額までに抑えられます。まず公的な制度でどこまで賄えるかを確認し、不足する部分を保険で補うという順序で考えると、過剰な備えを避けられます。

なお、先進医療や差額ベッド代、通院の交通費はこの制度の対象外です。制度の内容は改正されることがあるため、最新の情報を確認してください。

返済が苦しくなったら延滞する前に相談する

収入が減って返済が難しくなった場合、最も避けたいのは連絡をしないまま延滞することです。延滞が続くと、一括での返済を求められる段階に進む可能性があります。

返済が厳しくなりそうだと分かった時点で、借入先の金融機関に相談します。返済期間を延ばす、一定期間は元金の返済を据え置くといった条件の変更に応じてもらえる場合があります。

まとめ

がんに関する団信の告知は、既往歴がある人と、これから加入する人とで確認すべき内容が異なります。前者は過去の治療歴をどう書くか、後者は将来の保障がどこまで及ぶかという話です。

既往歴がある場合、判断されるのは病名ではなく、部位、治療の内容、治療が終わってからの年数、再発や転移の有無です。治療が終わってから3年以上が経過していれば、告知の項目に該当しなくなることもあります。

上皮内がんは、告知の場面では質問文に該当すれば書く必要があり、保障の場面では対象外とされている商品が多くあります。この違いを混同しないよう、契約前にがんの定義を確認します。

これから加入する場合は、90日の免責期間、上皮内がんの扱い、上乗せ金利の総額を比べます。融資の実行後はプランを変更できないのが一般的なので、申し込みの段階で決めきることが必要です。

がんと住宅ローンの関係は、状況に応じて整理できます
既往歴がある場合の進め方、がん団信の選び方、民間のがん保険との組み合わせまで対応しています。まずは無料相談か、保険料シミュレーションからご確認ください。

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