保険・お金のコラム

団信は肝機能障害でも通る?告知で書く数値と再検査を受けるべき理由

健康診断で肝機能の数値を指摘され、住宅ローンの団体信用生命保険(団信)が通るか気になっている。この状況で相談に来られる方は少なくありません。

肝機能障害という言葉は、病名ではなく状態を指します。数値が上がっている原因は、脂肪肝、飲酒、ウイルス性肝炎、胆道系の異常、薬の影響などさまざまです。この原因が何かによって、団信の判断は大きく変わります。

この記事では、告知で書く内容、要再検査を放置したままにしないほうがよい理由、原因別の見られ方、数値を改善してから申し込むという選択肢までを整理します。

確認したいポイント 結論 詳細
数値が高いと団信は通らない? 原因と程度によって変わる 肝機能障害は病名ではなく状態です。何が原因で数値が上がっているかで判断が分かれます。
告知では何を書く? GOT・GPT・γ-GTPの数値を書く 数値に加えて、診断名、通院や服薬の状況まで求められます。健診結果を手元に用意します。
再検査を受けていない場合は? 受けたほうが有利になりうる 原因が不明のままだと、重い病気を前提に判断されることがあります。検査で原因をはっきりさせます。
数値が下がれば通る? 改善してから申し込む選択もある 肝機能の数値は原因によって変わる余地があります。落ち着いてから申し込む判断もできます。

この記事でわかること

  • 肝機能障害が団信の審査でどう扱われ、何が判断を分けるのか
  • 告知書で求められる検査値と、民間の団信とフラット35での告知項目の違い
  • 健診で要再検査となったまま放置している場合に起きうること
  • 脂肪肝、飲酒、ウイルス性肝炎など原因別の見られ方
  • 数値を改善してから申し込むという判断と、通らなかった場合の選択肢
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肝機能障害は団信でどう見られるか

まず、審査のどこで何が判断されているのかを整理します。

ローンの審査と団信の審査は別

住宅ローンの審査で見られるのは、年収、勤続年数、他の借入の状況、物件の担保としての価値などです。健康状態そのものは、ローン本体の審査項目ではありません。

健康状態が関わるのは団信の審査です。多くの金融機関が団信への加入を融資の条件にしているため、団信に入れないと結果としてローンが組めない、という流れになります。

肝機能障害は病名ではなく状態

糖尿病や高血圧と違い、肝機能障害はそれ自体が診断名ではありません。血液検査でAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPといった数値が基準を超えている状態を指す言葉です。

そのため、団信の審査では「肝機能障害」という記載だけでは判断できません。何が原因で数値が上がっているのかが分からなければ、保険会社も評価のしようがないという構造になっています。

ここが、他の持病と大きく異なる点です。数値を書くだけでなく、原因を説明できるかどうかが結果を左右します。

なぜ肝機能が重く見られるのか

肝臓は症状が出にくい臓器とされ、数値の異常を放置すると、慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進行することがあります。返済期間が数十年に及ぶ住宅ローンでは、この進行の可能性が見られます。

逆にいえば、原因が特定されていて、進行する見込みが低い状態であることを示せれば、判断は変わり得ます。数値が高いという事実だけで一律に決まるものではありません。

他の生活習慣病と重なりやすい

肝機能の数値は、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病を背景に上がることがあります。そのため、健診で肝機能だけでなく、血糖値や血圧、コレステロールも同時に指摘されているケースは珍しくありません。

この場合、それぞれについて告知が必要になります。単独で指摘されている場合と、複数が重なっている場合とでは見られ方が変わるため、健診結果の全体を見て準備します。

検査値の目安

健診で使われる基準値は、AST(GOT)がおおむね7から38、ALT(GPT)が4から44、γ-GTPが男性で80以下、女性で30以下とされることが多くなっています。ただし基準値は検査機関によって異なります。

なお、保険会社が引受の基準を公表することはありません。インターネット上には目安の数値が出回っていますが、公表された基準ではなく、原因や年齢、他の病気の有無を含めて総合的に判断されます。

告知で書く内容

肝機能に関する告知では、数値そのものを求められます。何を用意すべきかを確認します。

検査値を書く欄がある

民間の金融機関で団信を引き受けている保険会社では、肝機能障害や肝炎に該当する場合、GOT、GPT、γ-GTPの値を記入するよう案内しているところがあります。高血圧なら血圧値、糖尿病なら血糖値やHbA1cというように、病気ごとに求められる数値が決まっている形です。

直近の健康診断の結果や人間ドックの結果表を手元に用意し、正確な数値を書きます。過去数回分の推移が分かる形にしておくと、改善しているのか悪化しているのかを示せます。

診断名と治療の状況を書く

医療機関を受診しているのであれば、そこで付いた診断名を書きます。脂肪肝、アルコール性肝障害、慢性肝炎など、原因が分かる記載があるかどうかで説明のしやすさが変わります。

通院の頻度、服薬しているか、生活面の指導を受けているかもあわせて記入します。薬を飲んでいる場合は、お薬手帳を見ながら名称を正確に書きます。

民間の団信とフラット35で告知項目が違う

見落とされやすいのが、告知書の様式が一つではないという点です。民間の金融機関が使う告知書では細かい検査値の記入を求めるものがある一方、フラット35の機構団信の告知書では、そうした数値の欄が設けられていないという違いがあります。

同じ状態でも、どの告知書に記入するかで求められる情報の粒度が変わります。申し込む先ごとに、何を聞かれるのかを確認しておきます。

事実と違う告知をしてはいけない

数値のことを書かなければ通るのではないか、と考えたくなるかもしれません。しかし、事実と違う告知は告知義務違反にあたります。

発覚すれば契約が解除される可能性があり、その場合、保険金は支払われません。残された家族がローンの残債をそのまま背負うことになります。肝機能障害は原因によって道が開ける状態でもあるため、正しく告知して判断を受けるほうが確実です。

告知に必要な資料の準備からご相談いただけます
どの検査結果を用意し、どこまで書けば説明しやすいかは状況によって変わります。申し込みの前に整理しておくと、審査にかかる時間を短くできます。

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要再検査を放置したままにしない

肝機能の相談で最も多いのが、健診で指摘されたが再検査に行っていないというケースです。ここは結果を左右する部分です。

原因が不明のままだと不利になりうる

再検査を受けていないと、数値が高い理由が分かりません。この状態で告知すると、保険会社がその数値から考えられる最も重い病気を前提に判断することがあるとされています。

軽い脂肪肝が原因だったとしても、それを示す資料がなければ、ウイルス性肝炎の可能性も含めて評価される形になります。結果として、通るはずだったものが通らないという事態が起こり得ます。

再検査を受けて原因がはっきりすれば、説明できる材料が増えます。手間はかかりますが、申し込みの前に済ませておく価値があります。

要再検査は告知の対象になるのか

健診で「要再検査」や「要精密検査」と指摘されている段階の扱いは、告知書の質問文によって変わります。治療も投薬も受けていなければ「2週間以上の治療」には該当しません。

ただし、最近3か月以内に医師の診察や検査を受け、治療や投薬をすすめられたかという項目に該当する可能性があります。実務上、要再検査以上の指摘を告知の対象としている保険会社が多いとされます。

判断に迷ったら、記入する前に金融機関の担当者に確認します。書かずに進めて後から告知漏れを指摘されるより、確認して正確に書くほうが結果的に早く進みます。

再検査では何を調べるのか

肝機能の精密検査では、AST・ALTの再測定に加えて、γ-GT、ALP、総ビリルビン、アルブミン、血小板数といった項目を確認します。あわせて腹部の超音波検査を行い、肝臓や胆嚢の状態を画像で見ることもあります。

必要に応じてB型・C型肝炎ウイルスの検査も行われます。これらを組み合わせることで、脂肪肝なのか、炎症が続いているのか、ウイルスが関わっているのかを切り分けます。

受診の際は、今回の健診結果と過去の結果、お薬手帳を持参すると、経過を踏まえた判断がしやすくなります。

肝炎ウイルス検査は無料で受けられることが多い

原因を切り分けるうえで重要なのが、B型・C型肝炎ウイルスの有無です。多くの市区町村や保健所では、肝炎ウイルス検査を無料で受けられる体制が整えられています。

会社や自治体の健康診断で受けられるところも増えています。実施の日程や場所、手続きは自治体によって異なるため、お住まいの保健所などに確認します。

参照:厚生労働省「肝炎ウイルス検査」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kanen/kangan/hepatitis_kensa.html

検査の結果が出てから、あらためてご相談いただけます
原因が分かれば、どの団信に申し込むべきかの見通しも立てやすくなります。結果を持って相談に来ていただくことをおすすめします。

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原因別に見た判断のポイント

原因によって、団信での見られ方は変わります。代表的なものを整理します。

脂肪肝

肥満や糖尿病、脂質異常症を背景に肝臓へ脂肪がたまる状態です。お酒をほとんど飲まない人でも起こり、近年は代謝と関連する脂肪肝を指す呼び方も使われるようになっています。

数値の上がり方が軽度で、炎症が進んでいないことが確認できていれば、比較的判断が分かれにくい部類とされます。ただし、糖尿病や高血圧を併発している場合は、それぞれについても告知が必要になり、総合的な見方になります。

飲酒が原因の肝機能障害

飲酒量が多い状態が続くと、脂肪肝や肝炎を起こし、AST、ALT、γ-GTPが上昇することがあります。γ-GTPだけが高い場合の代表的な原因の一つです。

この場合、節酒や禁酒の指導を受けているか、実際に数値が下がっているかが説明の材料になります。厚生労働省は、節度ある適度な飲酒の目安として1日平均で純アルコール20グラム程度という数字を示しています。主治医の指導に沿って取り組んだうえで、改善した数値を示すという進め方ができます。

B型・C型肝炎

ウイルス性の肝炎は、慎重に見られる原因です。厚生労働省の推計では、持続感染者はB型が110万人から120万人、C型が90万人から130万人とされています。

ただし、C型肝炎については、インターフェロンを使わない治療で治癒が期待できるようになり、医療費の助成制度も設けられています。治療が終わってウイルスが確認されなくなっている状態と、治療していない状態とでは、説明できる内容がまったく異なります。

参照:厚生労働省「肝炎とは」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/hepatitis_about.html

胆道系の異常や薬剤の影響

γ-GTPは胆道にも関わる数値のため、胆石や胆嚢の異常が背景にあることもあります。また、服用している薬の影響で数値が上がる場合もあります。

原因が特定され、経過を見るだけでよいと判断されているのであれば、その旨が分かる資料を添えます。胆嚢ポリープなどで経過観察を続けている場合も、良性であることと大きさに変化がないことを示せると説明しやすくなります。

肝硬変

肝硬変まで進行している場合、通常の団信もワイド団信も難しくなるのが一般的です。この場合は、団信への加入が任意とされているフラット35を検討する方向になります。

あわせて、団信なしで借りる場合の備えをどう用意するかを考えることになります。

数値を改善してから申し込むという選択

肝機能は、他の持病と比べて申し込み前に手を打てる余地が大きい分野です。

原因によっては数値が変わりうる

飲酒や食生活が背景にある場合、生活の見直しによって数値が下がることがあります。この点が、投薬を続けることが前提になる持病との違いです。

どの程度で改善するかは原因と個人差によります。自己判断で進めるのではなく、再検査を受けたうえで主治医の指導に沿って取り組みます。

いつ申し込むかを決める

数値が高いまま申し込んで断られるより、落ち着いてから申し込むほうが結果は変わりやすくなります。改善した数値が数回分の推移として残っていれば、説明の材料になります。

ただし、待っている間に金利や物件価格が変わる可能性もあります。年齢が上がると完済時年齢の制約も出てきます。待つことの費用も含めて判断します。

一度断られても再挑戦できる

団信の引受をしている保険会社は金融機関ごとに異なり、判断の基準にも差があります。一つで断られても、別のところでは通ることがあります。

また、数値が改善したのであれば、同じ金融機関にあらためて申し込む余地もあります。一度の結果で全体を判断しないことが、この分野では特に重要です。

通らなかった場合の選択肢

それでも通らなかった場合の方法を、要点に絞って整理します。持病全般に共通する内容です。

ワイド団信とフラット35

ワイド団信は、通常の団信より引受の基準を緩めた商品です。肝機能に指摘がある場合でも引き受けられることがあり、最初に検討すべき選択肢になります。金利には年0.2%から0.3%程度の上乗せがある例が多く見られます。

もう一つが、団信への加入が任意とされているフラット35です。新機構団信に加入しない場合、金利は年0.2%引き下げられます。保険料に相当する負担がなくなる一方、万一のときにローンが消える保障もなくなります。

参照:住宅金融支援機構【フラット35】「ご加入の手続・ご注意点」
https://www.flat35.com/danshin_menu/shin-danshin/tetuduki.html

団信なしで借りる場合の備え

団信に加入せずに借りる場合、契約者が亡くなってもローンは消えません。残された家族が返済を続けるか、住宅を売却して返済に充てるかを選ぶことになります。

代わりに個人で生命保険に加入する方法もありますが、生命保険にも告知があるため、団信で断られた場合は同じ結果になることもあります。引受の基準を緩めた商品を含めて探すことになります。

ワイド団信とフラット35、どちらが有利かを比べられます
上乗せ金利の負担と、団信なしで別に保障を用意する場合の保険料。数字を並べれば、どちらが合うかが見えてきます。

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返済中に肝疾患が進行した場合

すでにローンを返済している途中で状態が変わることもあります。

高度障害に該当しにくい

団信が支払われるのは、死亡または所定の高度障害状態になった場合です。通院や服薬をしながら働いている状態は、高度障害には該当しません。

肝硬変が進行した場合も、約款で定められた高度障害の定義に当てはまるかどうかで判断されます。働けなくなっても返済は続く、という状況が起こりうる点は理解しておく必要があります。

働けない期間は傷病手当金で補う

会社員として健康保険に加入していれば、業務外の病気で働けない期間について傷病手当金を受け取れます。連続する3日間を含めて4日以上仕事を休んだ場合が対象です。

1日あたりの金額は、支給を開始する日以前の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2に相当する額です。支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月とされています。

参照:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html

返済が苦しくなったら延滞する前に相談する

収入が減って返済が難しくなった場合、最も避けたいのは連絡をしないまま延滞することです。延滞が続くと、一括での返済を求められる段階に進む可能性があります。

返済が厳しくなりそうだと分かった時点で、借入先の金融機関に相談します。返済期間を延ばす、一定期間は元金の返済を据え置くといった条件の変更に応じてもらえる場合があります。

まとめ

肝機能障害は病名ではなく状態を指す言葉です。団信の審査で見られるのは数値そのものより、何が原因で数値が上がっているのかという点になります。

告知では、GOT、GPT、γ-GTPといった検査値と、診断名、通院や服薬の状況を書きます。民間の団信とフラット35では告知書の様式が異なるため、申込先ごとに何を聞かれるのかを確認します。

健診で指摘されたまま再検査を受けていない場合、原因が分からないことが不利に働くことがあります。検査を受けて原因をはっきりさせるほうが、説明できる材料は増えます。肝炎ウイルス検査は無料で受けられる自治体が多くあります。

原因によっては、生活の見直しで数値が変わることもあります。落ち着いてから申し込む、断られても別の金融機関に申し込むなど、取れる手は複数あります。一度の結果で諦める必要はありません。

肝機能の数値と住宅ローンの関係は、一緒に整理できます
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