保険・お金のコラム

パーキンソン病でも医療保険に入れる?加入できる保険の種類と公的支援を解説

パーキンソン病と診断されると、「もう医療保険には入れないのではないか」「これからの医療費が不安」と感じる方は多いのではないでしょうか。パーキンソン病は指定難病であり、通常の医療保険への加入は難しくなる傾向があります。

しかし、引受基準緩和型保険や無選択型保険など、持病があっても加入を検討できる保険は存在します。ただしタイプによって「パーキンソン病そのものによる入院が保障されるか」が大きく変わる点に注意が必要です。また難病医療費助成制度をはじめとする公的支援も充実しており、公的制度を土台に民間保険で不足を補う考え方が大切です。

本記事では、加入できる保険の種類と公的支援制度、加入時の注意点をわかりやすく解説します。

パーキンソン病だと通常の医療保険は加入が難しい

加入が難しくなる理由

結論として、すでにパーキンソン病と診断されている場合、通常の医療保険にそのまま加入するのは難しいのが一般的です。パーキンソン病は国が定める指定難病であり、慢性的に進行する病気であるため、保険会社は将来的に入院や手術などで保険金・給付金を支払う可能性が高いと判断しやすいためです。

医療保険の引受審査では、病名だけでなく、診断からの経過年数、症状の程度、服薬や通院の状況、入院や手術の有無などが総合的に見られます。同じ病名でも状態によって判断が変わるため、「診断されたら一律に断られる」というものではありません。

「どの保険にも入れない」わけではない

「通常の医療保険が難しい」ことと「どの保険にも入れない」ことは同じではありません。告知項目を絞った保険や告知が不要な保険など、加入のハードルを下げた選択肢があるため、診断を受けたからといって最初からあきらめる必要はありません。

一方で、加入しやすい保険には保険料や保障内容の面で必ず制約があります。「入れるかどうか」だけでなく「入って何が保障されるのか」まで確認することが、後悔しないための前提になります。

まずは通常の医療保険から検討する

順番として大切なのは、最初から加入しやすい保険に絞り込まないことです。通常の医療保険は保障内容が充実し保険料も割安なので、可能であればこちらが最も有利です。

症状が軽く、投薬で状態が安定していて入院や手術の経験がない場合には、部位不担保などの条件付きで加入できる可能性もあります。まずは通常の医療保険に申し込み、その結果を見てから次の選択肢に進むという流れが基本です。

パーキンソン病でも加入を検討できる医療保険の種類

パーキンソン病の方が検討できる保険には、主に次の3つのタイプがあります。加入のしやすさと保険料・保障内容にはトレードオフの関係があるため、まずは特徴を比較表で確認しましょう。

種類 告知 保険料 パーキンソン病による入院・手術
引受基準緩和型 告知項目が少ない 通常より割高 所定の要件を満たせば保障対象になりやすい。ただし加入から一定期間は給付金が削減される商品が多い
無選択型(告知不要) 告知不要 もっとも割高 加入前から患っている病気による入院・手術は保障対象外となるのが一般的
共済 商品により異なる 掛金が手頃 加入条件・保障内容は団体ごとに異なるため個別に確認が必要

 

引受基準緩和型(限定告知型)医療保険

健康状態に関する告知項目を少なくし、持病のある人でも加入しやすくした医療保険です。「過去◯年以内に入院・手術をしたか」など限られた告知項目に該当しなければ申し込めます。パーキンソン病で治療中でも検討できる場合があり、持病が悪化して入院・手術をした際も保障の対象になりやすい点が特徴です。その分、通常の医療保険より保険料は割増になります。

ただし、告知項目の内容は商品ごとに異なります。「公的介護保険の要介護認定を受けているか」といった項目がある商品では、認定を受けている場合に該当してしまうことがあります。また、加入から1年間は給付金が半額に削減される商品も多くあります。申込前に、告知項目と削減期間の両方を確認しましょう。

無選択型(告知不要)医療保険

健康状態の告知が不要で、誰でも申し込みやすい医療保険です。引受基準緩和型でも難しい場合の選択肢になりますが、保険料はもっとも割高で、保障内容も限定的です。

パーキンソン病の方が特に注意すべき点があります。無選択型医療保険では、加入前から患っている病気(既往症)やそれに関連する病気による入院・手術は保障の対象外とされるのが一般的です。つまり、加入できたとしてもパーキンソン病そのものによる入院や手術は保障されない可能性が高いということです。

保障されるのは、加入後に新たに発症した別の病気やケガが中心になります。それでも意味がないわけではありませんが、「パーキンソン病に備えるための保険」として期待すると目的から外れてしまいます。加入前の病気の扱い、加入直後の保障がない期間、給付金額の上限を、必ず約款やパンフレットで確認してください。

共済

都道府県民共済やこくみん共済などの共済も選択肢の一つです。掛金が手頃で、加入条件は団体ごとに異なります。要件を満たせば加入できる場合がありますが、保障内容や告知の取り扱いは商品によって異なるため、個別に確認が必要です。

共済も告知が不要というわけではなく、健康状態に関する質問が設けられているのが一般的です。また、加入できる地域や職域が限られるものもあります。掛金の安さだけでなく、保障される入院日数や期間、更新時の条件まで見ておきましょう。

3タイプで最も重要な違いは「持病による入院が保障されるか」

3つのタイプを比べるとき、保険料の高さ以上に重要なのが「パーキンソン病による入院・手術が保障対象になるか」という点です。引受基準緩和型は所定の要件を満たせば対象になり得ますが、無選択型は原則として対象外です。

ここを取り違えると、「保険料を払っているのに、いちばん備えたかった入院で給付金が出ない」という結果になります。検討の優先順位は、通常の医療保険 → 引受基準緩和型 → 無選択型の順が基本です。

パーキンソン病で医療保険に加入する際のポイント

複数の保険会社を比較する

引受基準(加入の判断基準)は保険会社ごとに異なります。ある会社で断られても、別の会社では加入できることもあります。1社の結果だけで判断せず、複数社を比較することが、加入できる保険を見つける近道です。

複数の保険会社を扱う代理店に相談すれば、申し込み前におおよその見通しを確認できる場合もあります。

告知は正確に行う

加入したいあまりにパーキンソン病であることを告知しないと、「告知義務違反」となり、いざというときに給付金が支払われない、契約が解除されるといった事態になりかねません。診断や治療の状況は正確に告知し、そのうえで入れる保険を探すことが結果的に最も確実です。

告知すべき内容は、診断名と診断時期、通院や服薬の状況、直近の症状の程度、入院や手術の有無などです。判断に迷う項目は書いておくほうが安全です。募集人の口頭説明ではなく、告知書に自分で正確に記載してください。

給付金の削減期間と免責期間を確認する

引受基準緩和型では、加入から1年間などの一定期間、給付金が半額に削減される商品が多くあります。無選択型では、加入から一定期間はそもそも保障が始まらない設定になっている商品もあります。

「いつから満額の保障になるのか」は、加入の可否と同じくらい重要な確認事項です。パンフレットの小さな注記に書かれていることも多いので、契約前に必ず確認しましょう。

すでに加入している保険は解約しない

パーキンソン病と診断される前に加入した医療保険をお持ちの場合、その契約は健康な状態で引き受けられた貴重な保障です。診断後は同じ条件で入り直すことはできません。

保険料の負担が重い場合でも、解約ではなく保障額の減額といった方法で対応できることがあります。新しい保険を検討する場合も、その契約が成立して保障が始まるまでは既存の契約を解約しないでください。

保険のプロ(FP)に相談する

持病がある場合の保険選びは複雑になりがちです。どの保険なら加入できそうか、公的支援でどこまで賄えるかを含め、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談すると、自分に合った選択肢を整理しやすくなります。

パーキンソン病で利用できる公的支援制度

民間の医療保険を検討する前に、まず押さえておきたいのが公的支援制度です。パーキンソン病は公的なサポートが手厚く、これらを活用することで自己負担を大きく抑えられます。

難病医療費助成制度

パーキンソン病は国が定める指定難病であり、要件を満たすと医療費の自己負担が軽減される難病医療費助成制度の対象になります。

対象となるのは、ホーエン・ヤールの重症度分類が3度以上で、かつ生活機能障害度が2度以上の場合です。これに該当しない場合でも、申請月以前の12か月以内に医療費総額(10割)が33,330円を超える月が3回以上あれば「軽症高額該当」として対象になります。症状が軽くても薬剤費が高額になっている場合は、この特例を確認する価値があります。

助成を受けると自己負担割合が軽減され、さらに所得に応じた月ごとの自己負担上限額が設定されます。申請には難病指定医が作成する診断書(臨床調査個人票)が必要で、都道府県や指定都市の窓口(保健所など)に提出します。

助成の対象にならない費用もある

難病医療費助成は、あくまでパーキンソン病とその関連する医療費が対象です。パーキンソン病以外の病気やけがの医療費は対象になりません。

また、公的医療保険が適用されない費用も対象外です。差額ベッド代や個室料、入院中の食事代、保険診療外の治療などは、助成を受けていても自己負担のままになります。この「対象外の費用」が、民間の医療保険を検討する意味を考えるうえでの出発点になります。

高額療養費制度

公的医療保険に加入していれば、1か月の医療費の自己負担が所得に応じた上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される高額療養費制度を利用できます。手術や入院で医療費が高額になっても、自己負担を一定額に抑えられます。ただし、入院中の食事代や差額ベッド代は対象外です。

事前に「限度額適用認定証」を用意しておけば、窓口での支払いを上限額までに抑えられます。マイナ保険証を利用する場合は、認定証がなくても限度額が適用される仕組みも整っています。

介護保険制度

40歳以上であれば、パーキンソン病は介護保険の特定疾病に該当し、要介護・要支援の認定を受けることで介護サービスを利用できます。訪問看護やリハビリ、在宅介護のサポートなどを、所得に応じた負担割合で受けられます。

介護保険は通常65歳から利用する制度ですが、特定疾病に該当する場合は40歳から64歳の方でも利用できます。パーキンソン病はこの特定疾病に含まれているため、若い年代で診断された方も対象になります。申請はお住まいの市区町村の窓口で行います。

障害年金・障害者手帳・障害福祉サービス

症状や障害の程度によっては、障害年金の対象となる場合があります。日常生活や就労に相当の支障が生じている場合が対象で、申請には医師の診断書や病歴・就労状況等申立書が必要です。手続きが複雑なため、年金事務所や社会保険労務士に相談するとよいでしょう。

身体障害者手帳の交付を受けられる場合は、税の控除や公共料金の割引など各種のサービスを利用できます。また、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスも、重症度分類にかかわらず対象になり得ます(利用には障害支援区分の認定が必要です)。なお65歳以上の場合は、介護保険のサービスが優先されるのが原則です。

働き方と収入面の支援

会社員や公務員の方が療養のために連続して3日以上仕事を休んだ場合、4日目以降について健康保険の傷病手当金を受けられます。支給額は標準報酬日額の約3分の2で、支給開始日から通算1年6か月までです。国民健康保険にはこの制度がないため、自営業の方は民間の保険での備えを検討する価値が高くなります。

就労の継続や再就職については、ハローワークに配置されている難病患者就職サポーターや、難病相談支援センターに相談できます。医療費の年間負担が大きい場合は、確定申告での医療費控除も忘れずに確認してください。

利用できる制度は状況によって異なるため、主治医や自治体の窓口、医療機関の医療福祉相談室に確認しましょう。

パーキンソン病に民間の医療保険は必要?考え方

パーキンソン病は公的支援が手厚いため、「民間の医療保険は不要では」と感じるかもしれません。基本は、公的支援を土台として、それでも足りない部分を民間の保険で補うという考え方が大切です。

公的支援でカバーされない費用に目を向ける

入院時の差額ベッド代や食事代、通院の交通費、収入減への備えなどは公的制度の対象外です。また、パーキンソン病以外の病気やけがで入院した場合は、難病医療費助成の対象にはなりません。

こうした「公的制度の外側にある費用」がどのくらいになりそうかを見積もると、必要な保障額が具体的に見えてきます。まずは直近1年の実際の自己負担額を確認してみるのが早道です。

将来の進行への備えを考える

進行性の病気であるため、将来的な入院・手術や介護に伴う出費に備えておきたい場合があります。在宅療養が長期化した場合の住宅改修費や福祉用具、家族が付き添うための費用なども視野に入ります。

一方で、公的支援は症状が進んだ段階でこそ手厚くなる面もあります。「進行したら公的支援がどこまで及ぶのか」を確認したうえで、埋めたい部分を保険で補うと過不足のない設計になります。

家計とのバランスで判断する

加入しやすい保険は保険料が割高です。保険料の負担と必要な保障を比べ、無理のない範囲で備えることが重要です。長く払い続けられない保険料を設定すると、途中で失効して保障を失うことにもなりかねません。

公的支援と民間保険、それぞれの役割を理解したうえで、不足分を補う形で医療保険を検討するとよいでしょう。医療保険にこだわらず、貯蓄で備えるという判断も選択肢の一つです。

パーキンソン病の医療保険に関するよくある質問

Q. パーキンソン病だと医療保険には一切入れませんか?

通常の医療保険は難しい傾向がありますが、引受基準緩和型保険や無選択型保険、共済など、加入を検討できる選択肢があります。引受基準は会社ごとに異なるため、複数社を比較することが大切です。

Q. 診断前に加入した医療保険は使えますか?

パーキンソン病と診断される前にすでに加入していた医療保険は、契約内容に応じて入院・手術などの給付の対象になるのが一般的です。まずは加入中の保険の保障内容を確認しましょう。この契約は同じ条件では入り直せないため、安易に解約しないでください。

Q. 無選択型に入れば、パーキンソン病の入院も保障されますか?

保障されない可能性が高いです。無選択型医療保険では、加入前から患っている病気やそれに関連する病気による入院・手術は保障の対象外とされるのが一般的です。加入前に、既往症の扱いを必ず約款で確認してください。

Q. 公的支援だけで医療費は足りますか?

難病医療費助成や高額療養費で自己負担は大きく抑えられますが、差額ベッド代や食事代、収入減などは対象外です。これらの不足分に備えたい場合に、民間の医療保険が役立ちます。

Q. 難病医療費助成の対象にならないと言われました。もう申請できませんか?

重症度分類の要件に該当しない場合でも、医療費総額が33,330円を超える月が12か月以内に3回以上あれば「軽症高額該当」として対象になる可能性があります。また症状が進行して要件を満たした時点で改めて申請できます。主治医や保健所の窓口に確認してください。

Q. 一度断られた保険会社に、あとから再申し込みできますか?

可能な場合があります。状態が安定して一定期間が経過していれば、あらためて審査を受けられることもあります。断られた理由を分かる範囲で確認し、時期を置いて再挑戦するという方法も選択肢です。

Q. 就業不能保険やがん保険も検討したほうがよいですか?

収入減が心配な場合、働けなくなったときに備える保険も選択肢になりますが、パーキンソン病の診断後は引受が厳しくなる傾向があります。まずは傷病手当金や障害年金といった公的な所得保障の見通しを確認したうえで、不足分を検討するのが現実的です。

まとめ

パーキンソン病と診断されると通常の医療保険への加入は難しくなりますが、引受基準緩和型保険・無選択型保険・共済など、検討できる選択肢はあります。特に重要なのは、パーキンソン病そのものによる入院・手術が保障されるかという点です。無選択型は加入前からの病気が対象外となるのが一般的なため、通常の医療保険から順に検討しましょう。

また難病医療費助成制度・高額療養費制度・介護保険制度といった公的支援が手厚いため、まずはこれらの活用が基本です。そのうえで、差額ベッド代や食事代、収入減など公的支援でカバーしきれない費用に備えて医療保険を検討すると、安心して療養生活を送りやすくなります。