突発性難聴で保険はおりる?給付金の請求方法・加入の可否・公的制度まで徹底解説
ある日突然、片耳の聞こえが悪くなる突発性難聴。ストレスや過労がきっかけで発症するともいわれ、年齢を問わず誰にでも起こりうる病気です。治療のために入院が必要になることもあり、「加入している保険から給付金はおりるのか」と不安になる方も少なくありません。結論から言えば、医療保険に加入していれば突発性難聴による入院で給付金が支払われるのが一般的です。この記事では、突発性難聴で保険がおりるケースとおりないケース、給付金の請求方法、突発性難聴の経験後に新たに保険に加入できるか、活用できる公的制度までを網羅的に解説します。
突発性難聴とは?保険を考えるうえで知っておきたい基礎知識
突発性難聴の原因と症状
突発性難聴は、突然片耳(まれに両耳)の聴力が低下する感音性難聴の一種です。原因は明確にはわかっていませんが、内耳の血流障害やウイルス感染が関与していると考えられています。ストレス、過労、睡眠不足などが発症の引き金になるともいわれています。
主な症状は、耳の閉塞感(耳がつまった感じ)、耳鳴り、めまい、聴力の低下などです。発症年齢は40〜60代に多いとされていますが、近年は若い世代での発症も増加傾向にあります。
治療方法と入院の可能性
突発性難聴の治療は早期開始が非常に重要で、発症からできれば48時間以内、遅くとも2週間以内に耳鼻科を受診することが推奨されています。治療はステロイド薬の投与が中心で、軽症であれば通院治療、重症の場合はステロイドの点滴投与のために1〜2週間程度の入院が必要になることがあります。
治療の結果、完全に聴力が回復する方もいれば、聴力低下や耳鳴りが後遺症として残る方もいます。早期に適切な治療を受けることが回復のカギとなるため、異変を感じたらすぐに受診することが大切です。
突発性難聴で保険はおりる?給付金が受け取れるケース
入院した場合:入院給付金が支払われる
医療保険に加入している方が突発性難聴で入院した場合、契約内容に応じて入院給付金が支払われるのが一般的です。入院給付金は入院1日あたりの日額(たとえば5,000円や10,000円)が設定されており、入院日数に応じて給付金を受け取ることができます。
最近の医療保険では、日帰り入院(入院日と退院日が同日)でも給付金が支払われる商品や、短期入院でも一律10日分の給付金が支払われる商品も増えています。突発性難聴の入院期間は1〜2週間程度が一般的なため、加入中の保険で十分にカバーできるケースが多いでしょう。
通院のみの場合:通院給付金の対象になることも
突発性難聴の治療が通院のみで済んだ場合、通院給付金の支払い対象になるかどうかは保険の契約内容によって異なります。多くの医療保険では、通院給付金は「入院後の通院」を対象としているため、入院を伴わない通院のみの場合は給付金の対象外となるケースが一般的です。
ただし、ストレス性疾患に対する特約(ストレス性疾病特約)が付いている医療保険の場合、突発性難聴が保障対象に含まれていることがあり、通院でも給付金が受け取れる可能性があります。加入中の保険の特約内容を確認してみましょう。
手術を受けた場合:手術給付金の対象になることがある
突発性難聴の治療は主に薬物療法が中心であり、手術が行われるケースは限られています。しかし、重症例で鼓室内ステロイド注入療法などの処置が行われた場合、保険会社の定義する「手術」に該当すれば手術給付金の支払い対象となる可能性があります。
手術給付金の支払い対象かどうかは保険会社や契約内容によって判断が分かれるため、治療前に保険会社に確認しておくとスムーズです。
保険がおりないケース
突発性難聴で保険がおりない主なケースとしては、保険の責任開始日前に発症していた場合、告知義務違反により契約が解除された場合、「部位不担保」の条件で耳に関する疾病が保障対象外になっている場合があります。
また、保険に加入していても入院を伴わない通院治療のみで済んだ場合は、通院特約がない保険では給付金の支払い対象外となります。保険金の請求にあたっては、まず加入中の保険証券や約款を確認し、保障内容を把握しておくことが大切です。
突発性難聴で保険金を請求する方法
給付金請求の一般的な流れ
突発性難聴で入院や手術をした場合、保険会社に給付金を請求する手続きは一般的に次の流れで行います。まず、保険会社のコールセンターまたはWebサービスに連絡し、給付金の請求を申し出ます。保険会社から請求に必要な書類一式が届くので、必要事項を記入します。医師の診断書(保険会社所定の様式)を主治医に記入してもらい、請求書類とあわせて保険会社に提出します。書類に不備がなければ、通常5営業日〜2週間程度で給付金が振り込まれます。
最近では、少額の給付金請求であれば診断書の代わりに診療明細書や領収書で手続きできる保険会社も増えています。手続きの詳細は保険会社によって異なるため、まずは連絡してみましょう。
請求時に必要な書類
給付金の請求に一般的に必要な書類は、給付金請求書(保険会社所定の用紙)、医師の診断書(入院証明書)、保険証券(証券番号がわかるもの)、本人確認書類、振込先口座の情報です。
保険会社によっては、診療明細書や医療費の領収書で診断書を省略できるケースもあります。診断書の取得費用(5,000円〜10,000円程度が一般的)は自己負担となりますが、給付金の対象外だった場合に一部の保険会社では診断書取得費用を負担してくれるケースもあります。
請求漏れに注意
突発性難聴で入院した際に、加入している保険から給付金を請求し忘れるケースは意外と多いです。特に、勤務先の団体保険や共済に加入していることを忘れていたり、医療保険に付帯している特約の存在に気付いていなかったりすることがあります。
保険金の請求権には時効(一般的に3年)がありますので、過去に突発性難聴で入院した経験がある方は、加入中のすべての保険を確認し、請求漏れがないかチェックしてみましょう。
突発性難聴の経験後に保険に加入できる?
完治していれば通常の保険に加入できる可能性がある
突発性難聴を経験した後でも、治療が完了し聴力が回復していれば、通常の医療保険や生命保険に加入できる可能性があります。保険会社は告知の内容を基に審査を行いますが、突発性難聴に対する保険会社の見方は以前と比べて改善されてきている傾向があります。
完治後の経過年数や、CTやMRIなどの検査で重篤な疾患が否定されているかどうかが審査のポイントとなります。完治から数年が経過し、再発や後遺症がなければ、標準的な条件での加入が認められるケースもあります。
条件付き(部位不担保)での加入
突発性難聴の治療中や、完治後間もない段階では、「部位不担保」の条件が付くことがあります。これは、耳とその付属器官に関する疾病が一定期間(2年〜5年程度)保障対象外となる条件です。
部位不担保の期間中でも、耳以外の病気やケガについては通常どおり保障されます。不担保期間が過ぎれば、耳の疾病も含めてすべて保障対象となるため、長期的に見れば保障に大きな穴が空くわけではありません。
引受基準緩和型保険という選択肢
通常の保険への加入が難しい場合でも、引受基準緩和型保険(限定告知型保険)であれば加入しやすくなります。告知事項が少なく、たとえば「過去2年以内に入院・手術をしていないか」「過去5年以内にがんと診断されていないか」など、限られた質問に該当しなければ加入できます。
ただし、引受基準緩和型保険は通常の保険と比べて保険料が割高であること、契約後一定期間は給付金が削減される商品があることに注意が必要です。まずは通常の保険に申し込み、審査結果を見てから引受基準緩和型を検討するのが合理的な進め方です。
告知のポイント
突発性難聴の経験がある方が保険に加入する際は、告知書にありのままの情報を記載することが大切です。具体的には、発症時期、治療内容(入院の有無・治療期間・使用した薬)、現在の聴力の状態、通院や経過観察の状況、後遺症の有無などを正確に記載しましょう。
完治している場合は、完治時期と現在症状がないことを明記します。診断書や検査結果を添付すると、保険会社が正確に判断しやすくなり、審査が有利に進む可能性があります。
突発性難聴で活用できる公的保障制度
高額療養費制度
突発性難聴の治療で入院した場合、高額療養費制度を利用すれば1カ月あたりの医療費の自己負担額に上限が設けられます。たとえば、一般的な所得の方であれば月額約8万円程度が上限です。事前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口での支払いを上限額に抑えることができます。
突発性難聴の入院治療にかかる費用は、自己負担(3割)で数万円〜10万円程度が目安とされていますが、個室を利用した場合の差額ベッド代などは公的保険の対象外のため、別途自己負担が発生します。
傷病手当金(会社員・公務員の場合)
会社員や公務員の方が突発性難聴の治療のために仕事を連続して3日以上休んだ場合、4日目以降から傷病手当金を受け取ることができます。支給額は標準報酬月額の約3分の2で、最長1年6カ月間支給されます。
突発性難聴で入院や自宅療養が必要になり、長期間仕事を休まざるを得ない場合には、この制度を活用して収入の一部を補填することができます。勤務先の総務・人事部門や加入している健康保険組合に手続きを確認しましょう。
障害年金(重度の聴力低下が残った場合)
突発性難聴の後遺症として重度の聴力低下が残った場合、障害年金の対象となる可能性があります。障害年金の等級は聴力レベルに応じて判定され、両耳の聴力レベルが90デシベル以上で障害等級2級、両耳で通常の話し声を理解できない程度で障害等級3級(厚生年金の場合)に該当します。
片耳のみの聴力低下では障害年金の対象にならないケースが多いですが、両耳に症状がある場合や、他の障害と併合する場合は対象となることがあります。申請は複雑なため、社会保険労務士に相談することをおすすめします。
自治体独自の医療費助成
一部の自治体では、突発性難聴を含む難聴者に対して独自の医療費助成や補聴器購入費の補助を行っていることがあります。自治体によって制度の内容や対象者が異なるため、お住まいの市区町村の福祉窓口に問い合わせてみましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 突発性難聴で通院のみの場合、保険はおりますか?
多くの医療保険では、通院のみの場合は給付金の支払い対象外です。ただし、ストレス性疾病特約など特定の特約が付いている場合や、通院給付金が入院を伴わなくても支払われるタイプの保険であれば、対象になることがあります。加入中の保険の契約内容を確認するか、保険会社に問い合わせてみましょう。
Q. 突発性難聴が再発した場合も保険はおりますか?
突発性難聴は一般的に再発しないとされていますが、類似の症状が再度現れた場合は別の疾患(メニエール病など)と診断されることがあります。別の疾患として入院・手術が必要になった場合は、その疾患に対する給付金が支払われるのが一般的です。ただし、部位不担保の条件が付いている場合は耳に関する疾病全般が対象外となるため、注意が必要です。
Q. 突発性難聴の治療費はどのくらいかかりますか?
突発性難聴の治療費は、通院治療であれば数千円〜数万円程度、入院治療(1〜2週間程度)であれば自己負担額(3割負担)で数万円〜10万円程度が目安です。高額療養費制度を利用すれば自己負担額をさらに抑えることができます。ただし、差額ベッド代や食事代などは別途必要になります。
まとめ|突発性難聴で保険は基本的におりる。加入中の保険を確認しよう
突発性難聴で入院した場合、加入している医療保険から入院給付金が支払われるのが一般的です。通院のみの場合は保険の契約内容によって異なるため、加入中の保険証券や約款を確認し、不明な点は保険会社に問い合わせましょう。請求漏れがないよう、団体保険や共済を含めてすべての加入保険をチェックすることも大切です。
突発性難聴を経験した後に新たに保険に加入する場合は、完治してからの経過期間や検査結果がポイントになります。まずは通常の保険への申し込みを試み、難しい場合は引受基準緩和型保険も選択肢に入れましょう。保険の加入や給付金の請求について不安がある方は、ぜひお気軽に専門家にご相談ください。