団信は甲状腺の病気でも通る?橋本病・バセドウ病の告知と借り換えの注意点
甲状腺の病気で通院や服薬を続けていると、住宅ローンの団体信用生命保険(団信)が通るか気になるところです。20代から40代の女性に多い病気でもあり、ちょうど住宅を検討する時期と重なります。
甲状腺の病気は、ひとくくりにできません。ホルモンが過剰になるバセドウ病、不足する橋本病、しこりを経過観察しているだけの状態、そして甲状腺がん。どれに当たるかで、団信での見られ方はまったく違います。
この記事では、病気の種類別の判断のポイント、告知で書く内容、そして見落とされやすい借り換えのときの注意点までを整理します。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
| 甲状腺の病気だと通らない? | 種類と状態によって変わる | 甲状腺の病気はひとくくりにできません。どの病気で、どういう状態かによって判断が分かれます。 |
| 病気ごとに違いはある? | 亢進・低下・腫瘍で扱いが違う | 橋本病、バセドウ病、結節の経過観察、甲状腺がんでは、見られ方がそれぞれ異なります。 |
| 告知では何を書く? | 病名・検査値・薬の内容を書く | 診断名に加えて、甲状腺ホルモンの検査値、服用している薬、手術歴まで求められます。 |
| 借り換えのときはどうなる? | 団信に入り直す必要がある | 借り換えは新規契約のため、団信も新たに加入します。購入後の発症が影響することがあります。 |
この記事でわかること
- 甲状腺の病気が団信の告知書でどの項目に該当するのか
- 橋本病、バセドウ病、結節の経過観察、甲状腺がんそれぞれの見られ方
- 治療をしていない橋本病の場合、告知が必要になるかどうか
- 告知で求められる検査値と、薬や手術歴の書き方
- 借り換えのときに団信へ入り直す必要があるという注意点
| 甲状腺の治療中でも、住宅ローンの選択肢は整理できます 病気の種類や治療の状況によって取れる方法は変わります。検査結果をお持ちのうえでご相談いただければ、現実的な進め方をお伝えします。 |
甲状腺の病気と団信の関係
まず、審査のどこで何が判断されているのかを整理します。
ローンの審査と団信の審査は別
住宅ローンの審査で見られるのは、年収、勤続年数、他の借入の状況、物件の担保としての価値などです。健康状態そのものは、ローン本体の審査項目ではありません。
健康状態が関わるのは団信の審査です。多くの金融機関が団信への加入を融資の条件にしているため、団信に入れないと結果としてローンが組めない、という流れになります。
甲状腺の病気はひとくくりにできない
甲状腺は、体の代謝を調整するホルモンをつくる臓器です。その働きが過剰になる病気、不足する病気、しこり(結節)ができる状態、そして悪性の腫瘍まで、性質の異なる病気がまとめて甲状腺の病気と呼ばれています。
団信の審査でも、この違いによって見られ方は大きく変わります。ホルモンを補充して数値が安定している状態と、悪性の腫瘍で治療中の状態とでは、別の判断になるのは当然といえます。
自分がどれに当たるのかを整理することが、最初の一歩になります。
住宅を検討する年代と重なりやすい
甲状腺の病気は女性に多く見られ、20代から40代で診断されることが少なくありません。妊娠や出産をきっかけに見つかることもあります。
つまり、住宅の購入を考える時期と、病気が見つかる時期が重なりやすいという事情があります。相談の現場でも、家を探し始めてから健診で指摘されたという方が一定数いらっしゃいます。特別な状況ではありません。
告知書ではどの項目に該当するか
一般的な団信の告知書では、過去3年以内に所定の病気で手術を受けたか、または2週間以上にわたって医師の診察や治療、投薬を受けたことがあるかが問われます。
バセドウ病、甲状腺機能低下症、橋本病は、ホルモンや免疫の異常による病気として告知の対象に挙げられていることが一般的です。通院や服薬を続けていれば、この項目で告知することになります。
告知の項目や期間は商品によって異なります。同じ団信という名前でも、金融機関や引受をする保険会社が変われば内容が違うため、申込先ごとの確認が必要です。
引き受けられている実績もある
金融機関のなかには、ワイド団信でどのような持病の人が加入できたのかという実績を公開しているところがあります。そうした一覧に、バセドウ病をはじめとするホルモンや免疫の異常による病気が挙げられている例があります。
実績があるからといって必ず通るわけではありませんが、はじめから諦める必要がないことは分かります。判断は病名だけでなく、状態を含めて行われます。
病気の種類別に見た判断のポイント
代表的な甲状腺の病気について、団信の場面で押さえておきたい点を整理します。
橋本病(甲状腺機能低下症)
橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれる自己免疫の病気で、甲状腺の働きが慢性的に弱まっていくことがあります。ホルモンが不足する場合は、合成T4製剤と呼ばれる薬を内服して不足分を補います。
ここで説明できるようにしておきたいのが、この内服は不足しているホルモンを補う治療であり、病気が進行しているから薬を増やしているという性質のものではないという点です。検査値が安定していることを数回分の推移で示せると、状態を説明しやすくなります。
参照:日本内分泌学会「橋本病(慢性甲状腺炎)」
https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=41
治療をしていない橋本病
見落とされやすいのがこのケースです。日本内分泌学会の解説では、甲状腺の機能が正常な橋本病では、原則として治療は必要ないとされています。抗体が陽性でもホルモンの数値が正常であれば、定期的な血液検査で様子を見るだけということがあります。
この場合、投薬も治療も受けていないため「2週間以上の治療」には該当しません。ただし、最近3か月以内に医師の診察や検査を受けたかという項目には該当する可能性があります。定期的な採血のために受診しているのであれば、その事実を書きます。
判断に迷ったら、記入する前に金融機関の担当者に確認します。
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
バセドウ病は甲状腺の働きが過剰になる自己免疫の病気です。200人から400人に1人程度とされ、女性に多く見られます。治療には、抗甲状腺薬の内服、アイソトープ治療、手術という選択肢があります。
内服治療は1年から2年程度で終えられることもあれば、長く続くこともあります。服薬中で数値が安定していない時期と、治療を終えて数値が落ち着いている時期とでは、説明できる内容が異なります。治療の経過と、現在の検査値の推移を整理しておきます。
結節や腫瘍で経過観察している場合
健診や人間ドックの超音波検査で甲状腺にしこりが見つかり、良性と判断されて定期的に大きさを見ているという状態もあります。治療は行っていないケースです。
良性であること、大きさに変化がないこと、経過観察の指示だけであることが分かる資料を添えると、状態を説明しやすくなります。細胞診などの検査を受けている場合は、その結果も確認しておきます。
一過性の甲状腺炎だった場合
甲状腺の炎症のなかには、一時的にホルモンが過剰になるものの、自然に治まるタイプがあります。日本内分泌学会の解説では、無痛性甲状腺炎は通常3か月以内におさまるとされています。出産後に起こることもあります。
この場合、症状が出た時期と、治まって通院が終わった時期を書きます。バセドウ病と紛らわしい症状が出るため、当初はバセドウ病を疑われて検査を受けているケースもあります。診断がどう確定したのかが分かる資料があると、経過を説明しやすくなります。
甲状腺がんの場合
悪性の腫瘍と診断されている場合は、甲状腺の病気としてではなく、がんの既往として扱われます。告知の項目も、判断のされ方も、これまでの内容とは別になります。
治療からの経過年数、再発や転移の有無、現在の通院状況が見られます。手術後にホルモンを補充している場合は、その内容もあわせて書きます。
| どの病気に当たるかで、進め方が変わります 診断名、検査値、治療の内容をお聞かせいただければ、どの選択肢から検討すべきかを整理してお伝えします。 |
告知で書く内容
該当する場合、何をどこまで書くのかを整理します。
病名と検査値を書く
記入するのは、診断された病名、診断された時期、通院の頻度、現在の治療の内容です。あわせて、甲状腺ホルモンに関する検査値の記入を求められることがあります。
直近の血液検査の結果を手元に用意し、数回分の推移が分かる形にしておくと、安定しているかどうかを示せます。健診の結果ではなく、通院先で受けた検査の結果を確認します。
服用している薬を書く
薬の名前と量を、お薬手帳を見ながら正確に書きます。ホルモンを補充する薬なのか、ホルモンの産生を抑える薬なのかで意味が異なるため、名称をあいまいにしないことが重要です。
量が変わっていないこと、あるいは減っていることが分かれば、状態が安定していることを示す材料になります。処方の履歴が分かる資料があれば、あわせて用意します。
手術やアイソトープ治療を受けた場合
バセドウ病や甲状腺の腫瘍で手術を受けている場合、時期と内容を書きます。過去3年以内であれば、手術に関する項目に該当します。
甲状腺を摘出した後にホルモンを補充している場合は、その内容も記載します。手術によって数値が安定した状態になっているのであれば、その経過が分かるようにしておきます。アイソトープ治療を受けた場合も同様です。
告知したあとの流れ
告知書を提出すると、保険会社が引受の可否を判断します。内容によっては、診断書や医師の意見書といった追加の書類を求められることがあります。
追加の書類が必要になると、医療機関に依頼して受け取るまでに時間がかかります。結果が出るまで数週間かかることもあるため、物件の引き渡し日から逆算して余裕を持って動きます。
結果は、加入できる、条件付きで加入できる、加入できない、のいずれかです。断られた場合でも理由は開示されないのが一般的なため、次の選択肢へ進むことになります。
事実と違う告知をしてはいけない
通院していることを書かなければ通るのではないか、と考えたくなるかもしれません。しかし、事実と違う告知は告知義務違反にあたります。
発覚すれば契約が解除される可能性があり、その場合、保険金は支払われません。残された家族がローンの残債をそのまま背負うことになります。甲状腺の病気は状態によって道が開けることも多いため、正しく告知して判断を受けるほうが確実です。
| 告知に添える資料の準備からご相談いただけます どの検査結果を用意し、どこまで書けば説明しやすいかは病気の種類によって変わります。申し込みの前に整理しておくと、審査にかかる時間を短くできます。 |
通らなかった場合の選択肢
通常の団信で断られた場合の方法を、要点に絞って整理します。持病全般に共通する内容です。
ワイド団信とフラット35
ワイド団信は、通常の団信より引受の基準を緩めた商品です。金利には年0.2%から0.3%程度の上乗せがある例が多く見られます。
もう一つが、団信への加入が任意とされているフラット35です。新機構団信に加入しない場合、金利は年0.2%引き下げられます。保険料に相当する負担がなくなる一方、万一のときにローンが消える保障もなくなります。
参照:住宅金融支援機構【フラット35】「ご加入の手続・ご注意点」
https://www.flat35.com/danshin_menu/shin-danshin/tetuduki.html
別の金融機関に申し込む
団信の引受をしている保険会社は金融機関ごとに異なり、判断の基準にも差があります。一つで断られても、別のところでは通ることがあります。
ただし、引受をしている保険会社が同じであれば、別の金融機関に申し込んでも結果が変わらない可能性があります。申し込む前に、どこの保険会社が引き受けているのかを確認しておくと、無駄な申し込みを減らせます。
団信なしで借りる場合の備え
団信に加入せずに借りる場合、契約者が亡くなってもローンは消えません。残された家族が返済を続けるか、住宅を売却して返済に充てるかを選ぶことになります。
代わりに個人で生命保険に加入する方法もありますが、生命保険にも告知があるため、団信で断られた場合は同じ結果になることもあります。引受の基準を緩めた商品を含めて探すことになります。
借り換えのときも団信に入り直す
見落とされやすいのがこの点です。すでに住宅ローンを組んでいる方にも関わります。
借り換えは新しいローンを組み直す手続き
借り換えは、今のローンを完済して、新しい住宅ローンを組み直す手続きです。つまり、借換先の審査だけでなく、借換先の団信にも新規で加入し直す必要があります。今の団信は完済と同時に終了します。
このとき、あらためて健康状態の告知が求められます。最初にローンを組んだときは健康でも、その後に病気が見つかっていれば、今度は告知が必要になります。
購入後に発症した場合の影響
甲状腺の病気は20代から40代の女性に多く、住宅を購入した後に見つかることも珍しくありません。妊娠や出産をきっかけに発見されるケースもあります。
この場合、金利が下がる商品に借り換えたいと思っても、団信の審査で止まることがあります。借り換えの検討を始める段階で、団信に通る見込みがあるかを先に確認しておくと、手続きを進めてから断られる事態を避けられます。
今の団信の保障内容も確認しておく
借り換えを検討するときは、金利だけでなく、今加入している団信の内容も確認します。疾病保障が付いた団信に入っている場合、借り換えによってその保障が失われることがあります。
借換先で同じ水準の保障を付けようとしても、健康状態によっては加入できないことがあります。金利が下がる分と、失う保障の価値を並べて比べたうえで判断します。
借り換え以外で負担を下げる方法
団信の審査が不安な場合、借り換え以外の方法も検討できます。同じ金融機関の中で金利タイプを変更する、繰り上げ返済で総返済額を減らす、といった手段です。
団信に入り直さずに済む方法であれば、健康状態の影響を受けません。どの方法でどれだけ負担が減るのかを比べたうえで判断します。
| 借り換えを検討する前に、団信の見通しを確認できます 手続きを進めてから断られると、時間も費用も無駄になります。現在の健康状態をお聞かせいただければ、先に見通しを整理します。 |
返済中に発症した場合の備え
すでにローンを返済している途中で診断されることもあります。
団信の支払対象にはならない
団信が支払われるのは、死亡または所定の高度障害状態になった場合です。通院や服薬をしながら働いている状態は、高度障害には該当しません。
つまり、団信に加入していても、治療をしながらの返済は自分で続けることになります。ここは団信の保障範囲として見落とされやすい部分です。
働けない期間は傷病手当金で補う
会社員として健康保険に加入していれば、業務外の病気で働けない期間について傷病手当金を受け取れます。連続する3日間を含めて4日以上仕事を休んだ場合が対象です。
1日あたりの金額は、支給を開始する日以前の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2に相当する額です。支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月とされています。
参照:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html
返済が苦しくなったら延滞する前に相談する
収入が減って返済が難しくなった場合、最も避けたいのは連絡をしないまま延滞することです。延滞が続くと、一括での返済を求められる段階に進む可能性があります。
返済が厳しくなりそうだと分かった時点で、借入先の金融機関に相談します。返済期間を延ばす、一定期間は元金の返済を据え置くといった条件の変更に応じてもらえる場合があります。
まとめ
甲状腺の病気は種類が幅広く、団信での見られ方もそれぞれ異なります。まず自分がどの病気に当たり、現在どういう状態なのかを整理することが出発点になります。
バセドウ病、甲状腺機能低下症、橋本病は、ホルモンや免疫の異常による病気として告知の対象に挙げられているのが一般的です。一方、甲状腺の機能が正常な橋本病では治療を行わないこともあり、その場合は該当する項目が変わります。
告知では、病名、診断の時期、検査値、薬の名前と量、手術やアイソトープ治療の有無を書きます。数値が安定していること、薬の量が変わっていないことを推移で示せると、説明の材料になります。
あわせて押さえておきたいのが借り換えです。借り換えは新しいローンを組み直す手続きのため、団信にも入り直すことになります。購入後に病気が見つかっている場合、借り換えの検討を始める段階で見通しを確認しておきます。
| 甲状腺の病気と住宅ローンの関係は、一緒に整理できます 告知の書き方、病気の種類別の見通し、借り換え時の注意点まで対応しています。まずは無料相談か、保険料シミュレーションからご確認ください。 |