医療費控除で入院給付金や通院給付金はどう扱う?差し引きのルールと計算例を解説
「入院給付金をもらったら医療費控除は受けられないのか」「通院給付金は医療費から差し引くのか」「給付金が医療費より多い場合はどう計算するのか」――確定申告で医療費控除を申請するとき、保険金や給付金の扱いは特に迷いやすいポイントです。
結論として、入院給付金、手術給付金、通院給付金など、医療費を補填する目的で支払われた給付金は、その給付の対象となった医療費から差し引きます。
ただし、給付金が対象の医療費を上回っても、余った金額を歯科治療費や家族の医療費など、別の医療費から差し引く必要はありません。
また、保険会社から受け取った給付金のすべてを差し引くわけではありません。傷病手当金のように休業中の収入を補う給付や、医療費の補填を目的としていない保険金は、医療費控除の計算から差し引かないのが原則です。
給付金の名称だけでは判断できないケースもあるため、保険会社の支払明細書や約款を確認し、「どのような事由に対して支払われた給付金か」を基準に判断することが重要です。
この記事では、入院給付金・手術給付金・通院給付金の差し引き方、給付金が医療費を上回った場合の取扱い、差し引く給付金と差し引かない給付金の違い、具体的な計算例、確定申告時の注意点を解説します。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 入院給付金は医療費から差し引く? | 入院にかかった医療費から差し引く | 入院給付金が対象とする入院医療費を上限として差し引きます。 |
| 通院給付金も差し引く? | 対象となった通院医療費から差し引く | 別の病気の通院費や入院費から一括して差し引くわけではありません。 |
| 給付金が医療費より多い場合は? | 超過分を他の医療費から差し引く必要はない | 対象となった医療費を0円として計算し、超過分は切り捨てます。 |
| がん診断一時金は差し引く? | 医療費を補填する目的かどうかで判断する | 診断事実に対する給付で、特定の医療費を補填するものではない場合は、差し引かないことがあります。 |
| 高額療養費も差し引く? | 医療費を補填する金額として差し引く | 窓口負担後に払い戻された高額療養費は、対象の医療費から差し引きます。 |
| 給付金が確定していない場合は? | 見込額を差し引いて申告する | 確定額と異なった場合は、修正申告または更正の請求で訂正します。 |
| 通院の交通費は対象? | 通常必要な公共交通機関の費用は対象 | タクシーは公共交通機関を利用できない事情がある場合などに限られます。 |
| 入院中の食事代は対象? | 病院から提供される通常の食事代は対象 | 出前、外食、身の回り品などの個人的費用は対象外です。 |
この記事でわかること
- 入院給付金・手術給付金・通院給付金を医療費から差し引く方法
- 給付金が対象医療費を上回った場合の取扱い
- 差し引く給付金と差し引かない給付金の判断基準
- 高額療養費や健康保険からの給付の取扱い
- 給付金が確定申告時点で未確定の場合の申告方法
- 入院費・通院費・歯科治療費がある場合の具体的な計算例
- 医療費控除の明細書と領収書の保存に関する手続き
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医療費控除では、給付金をどの医療費から差し引くかが重要です。加入中の医療保険の保障内容が家計に合っているかどうかも含め、専門スタッフが一緒に確認します。
医療費控除と保険給付金の基本ルール
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までに、自分または生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得から差し引ける制度です。
一般的な医療費控除額の計算式は、次のとおりです。
実際に支払った医療費-保険金などで補填される金額-10万円
その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく、総所得金額等の5%を差し引きます。
医療費控除額の上限は200万円です。
医療費控除額と還付額は異なる
医療費控除によって計算された金額が、そのまま現金で還付されるわけではありません。
医療費控除は所得控除であり、所得税の計算対象となる所得を減らす制度です。
所得税の還付額の概算は、次のように計算できます。
医療費控除額×適用される所得税率
このほか、翌年度の住民税が軽減される場合があります。
実際の還付額は、課税所得、源泉徴収された所得税、他の所得控除などによって異なります。
給付金を受け取っても医療費控除を受けられる
入院給付金などを受け取ったからといって、その年の医療費控除を一切受けられなくなるわけではありません。
対象となった医療費から給付金を差し引き、残った自己負担額を他の医療費と合計して医療費控除を計算します。
たとえば、入院費30万円に対して入院給付金20万円を受け取った場合、医療費控除に含められる入院分は10万円です。
給付金の受取り自体に所得税がかかるとは限らない
身体の傷害や疾病を原因として、被保険者本人や一定の親族が受け取る入院給付金・手術給付金などは、一般に所得税の非課税対象となることがあります。
ただし、「給付金が非課税であること」と「医療費控除で差し引くこと」は別の問題です。
給付金そのものが非課税でも、医療費を補填する目的で支払われたものであれば、医療費控除の計算では対象医療費から差し引きます。
入院給付金・手術給付金の差し引き方
入院給付金は、原則として、その給付の対象となった入院にかかった医療費から差し引きます。
手術給付金も、手術やその前後の入院治療に伴う医療費を補填する目的で支払われた場合は、その対象となる医療費から差し引きます。
入院給付金の基本的な計算例
- 入院時に支払った医療費:30万円
- 生命保険会社から受け取った入院給付金:18万円
医療費控除へ含める入院分の金額は、次のとおりです。
30万円-18万円=12万円
この12万円を、歯科治療費や家族の医療費など、他の対象医療費と合計します。
入院に関連する費用ごとに整理する
入院時には、病院へ支払った診療費以外にもさまざまな費用が発生します。
医療費控除の対象となる費用と、給付金を対応させる際には、次のように整理します。
- 診察料
- 検査費用
- 手術費用
- 投薬費用
- 病院から提供された食事の自己負担額
- 治療上通常必要な部屋代
- 入退院のために通常必要な交通費
入院給付金の支払事由や対象範囲によっては、どの医療費と対応させるか判断が難しいことがあります。
保険会社の支払明細書や保険約款を確認し、必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。
複数回入院した場合
同じ年に異なる病気やけがで複数回入院した場合は、入院ごとに医療費と給付金を対応させて計算するのが基本です。
たとえば、次のようなケースを考えます。
| 入院 | 支払った医療費 | 受け取った給付金 | 控除計算に含める金額 |
|---|---|---|---|
| A病院での入院 | 20万円 | 15万円 | 5万円 |
| B病院での入院 | 25万円 | 10万円 | 15万円 |
入院分として医療費控除の計算へ含める金額は、合計20万円です。
通院給付金の差し引き方
通院給付金も、医療費を補填する目的で支払われた場合は、その給付の対象となった通院医療費から差し引きます。
入院給付金と同様に、すべての医療費から一括して差し引くわけではありません。
通院給付金の計算例
- 退院後の通院治療費:8万円
- 通院給付金:3万円
医療費控除に含める通院分は、次のとおりです。
8万円-3万円=5万円
交通費も含めて考える場合がある
医師による診療を受けるために通常必要な電車・バスなどの交通費は、医療費控除の対象になります。
そのため、通院給付金が通院治療全体を補填する目的で支払われた場合は、診察費や薬代だけでなく、対象となる交通費を含めて対応関係を確認することがあります。
ただし、保険契約上の通院給付金がどの費用を補填するものかは、支払事由や約款によって異なります。
別の通院費からは差し引かない
がん治療後の通院に対して支払われた通院給付金を、同じ年に受けた歯科通院や眼科通院の費用から差し引く必要はありません。
給付金は、その給付の目的となった医療費と対応させて計算します。
給付金が医療費を上回った場合
給付金が対象となった医療費を上回った場合は、その対象医療費を0円として計算します。
給付金の超過分を、別の病院の医療費、歯科治療費、家族の医療費などから差し引く必要はありません。
入院給付金が入院費を上回る例
- 入院医療費:15万円
- 入院給付金:20万円
- 同じ年の歯科治療費:30万円
入院分は次のように計算します。
15万円-20万円=マイナス5万円
医療費控除の計算では、入院分をマイナス5万円とはせず、0円として扱います。
入院給付金の超過分5万円を、歯科治療費30万円から差し引く必要はありません。
したがって、医療費控除の計算へ含める金額は次のとおりです。
- 入院分:0円
- 歯科治療分:30万円
- 合計:30万円
総所得金額等が200万円以上で、ほかに補填金がなければ、医療費控除額は次のようになります。
30万円-10万円=20万円
医療費控除の明細書へ記載する金額
給付金が対象医療費を上回る場合、医療費控除の明細書や確定申告書等作成コーナーでは、対象医療費と同額までを補填金額として記載します。
たとえば、入院費15万円、入院給付金20万円の場合、医療費控除の計算上の補填金額は15万円を限度とします。
超過した5万円を、他の医療費の補填金額として入力しないように注意してください。
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医療費から差し引く給付金
医療費控除で差し引くのは、支払った医療費を補填する目的で支給された保険金・給付金などです。
代表的なものには、次のような給付があります。
- 医療保険の入院給付金
- 医療保険の手術給付金
- 医療保険の通院給付金
- 放射線治療給付金
- 健康保険の高額療養費
- 健康保険の家族療養費
- 出産育児一時金
- 医療費の補填を目的とする損害賠償金
- 自治体などから受ける医療費助成
- 勤務先や互助会から支払われる医療費補助
ただし、給付金の名称が同じでも、商品や制度によって支払事由が異なる場合があります。
医療費を補填する目的かどうかを、支払通知書や約款で確認しましょう。
手術給付金
手術を受けたことを条件に支払われる手術給付金は、一般に、その手術に関連する医療費を補填するものとして差し引くことがあります。
手術給付金が手術費を上回る場合でも、超過分を別の医療費から差し引く必要はありません。
放射線治療給付金
放射線治療を受けたことにより支払われる給付金は、その放射線治療に関連する医療費を補填するものであれば、対象医療費から差し引きます。
出産育児一時金
出産育児一時金は、出産にかかった医療費を補填する給付に該当するため、医療費控除の対象となる出産費用から差し引きます。
一方、出産手当金は、出産のために休業した期間の収入を補う給付であり、医療費を補填するものではないため、原則として差し引きません。
医療費から差し引かない給付金
保険会社や健康保険から受け取った金銭でも、医療費を補填する目的ではないものは、医療費控除の計算から差し引かないのが原則です。
代表的なものには、次のような給付があります。
- 傷病手当金
- 出産手当金
- 死亡保険金
- 高度障害保険金
- 休業損害を補填する損害賠償金
- 所得補償保険の給付金
- 就業不能保険の給付金
これらは、医療費そのものではなく、休業中の収入減少や死亡・障害などを補う性質の給付です。
がん診断一時金は支払目的を確認する
がん診断一時金は、がんと診断されたことを条件に支払われ、使い道が限定されていない商品が多くあります。
このように、特定の治療費や入院費を補填することを直接の目的としていない給付金であれば、医療費から差し引かないと考えられる場合があります。
ただし、「がん診断一時金」という名称だけで、必ず差し引かなくてよいと一律に判断することはできません。
次の内容を確認してください。
- 保険約款上の支払事由
- 給付金の使途が限定されているか
- 入院・治療・手術が支払条件になっているか
- 保険会社の支払明細書に記載された給付金の名称
- 給付金がどの医療費を補填するものか
三大疾病一時金・特定疾病保険金
三大疾病一時金や特定疾病保険金も、診断、所定の状態、手術、入院など、商品によって支払条件が異なります。
診断事実や所定の状態に対して支払われ、医療費の補填を直接の目的としていない場合は、差し引かないことがあります。
一方、特定の入院・手術費用を補填する性質が明確な場合は、差し引きの対象になる可能性があります。
名称ではなく給付の目的で判断する
差し引く必要があるかどうかは、「一時金」「給付金」「保険金」という名称ではなく、支給の原因と目的で判断します。
判断に迷う場合は、保険会社へ次のように確認しましょう。
「この給付金は、所得税の医療費控除において、医療費を補填する保険金等に該当する性質のものでしょうか」
最終的な税務判断については、税務署または税理士へ確認してください。
高額療養費の差し引き方
健康保険から支給される高額療養費は、医療費の自己負担を補填する給付であるため、医療費控除の計算では対象医療費から差し引きます。
後日払い戻された場合
- 病院の窓口で支払った医療費:30万円
- 後日支給された高額療養費:21万円
医療費控除へ含める金額は、次のとおりです。
30万円-21万円=9万円
窓口負担があらかじめ抑えられている場合
限度額適用認定証やオンライン資格確認を利用し、病院窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられている場合は、実際に支払った金額を医療費として計上します。
後から同じ医療費について高額療養費が支給されないのであれば、別途差し引く金額はありません。
付加給付にも注意する
健康保険組合によっては、高額療養費に加えて、組合独自の付加給付が支給される場合があります。
付加給付が医療費の自己負担を補填するものであれば、その金額も対象医療費から差し引きます。
医療費通知へ反映されない場合がある
医療費通知やマイナポータル連携で医療費情報を取得しても、生命保険の給付金、後日支給された高額療養費、自治体の医療費助成などが自動的に反映されていない場合があります。
補填された金額がある場合は、自分で医療費控除の明細書や確定申告書等作成コーナーへ入力してください。
給付金が確定申告時点で未確定の場合
確定申告書を提出する時点で、入院給付金や高額療養費の金額が確定していない場合は、補填される金額の見込額を対象医療費から差し引いて申告します。
見込額の確認方法
見込額は、次の資料や方法で確認できます。
- 保険証券
- 保険会社のウェブサイトやマイページ
- 入院給付金日額×対象入院日数
- 手術給付金の給付倍率
- 保険会社への問い合わせ
- 健康保険組合への問い合わせ
- 高額療養費支給申請の試算
免責期間、支払限度日数、対象外となる入院日、複数回の手術に関する制限などにより、単純計算と実際の給付額が異なることがあります。
可能であれば、保険会社や健康保険へ見込額を確認してください。
実際の給付額が見込額より多かった場合
実際に受け取った給付金が申告時の見込額より多く、結果として医療費控除を過大に受けていた場合は、原則として修正申告を行います。
追加で納付する所得税が発生することがあります。
実際の給付額が見込額より少なかった場合
実際の給付金が見込額より少なく、医療費控除額を少なく申告していた場合は、更正の請求によって訂正できる場合があります。
更正の請求には期限があるため、給付金額が確定したら早めに確認しましょう。
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通院交通費の医療費控除
医師や歯科医師による診療・治療を受けるために直接必要で、通常必要と認められる交通費は、医療費控除の対象になります。
対象となる交通費
- 電車代
- 路線バス代
- 通院に通常必要な公共交通機関の運賃
- 小さな子どもの通院に必要な保護者の交通費
- 患者が一人で移動できない場合に必要な付添人の交通費
交通系ICカードを使用して領収書がない場合でも、通院日、医療機関名、利用区間、運賃を記録しておきましょう。
タクシー代
タクシー代は、電車やバスなどの公共交通機関を利用できるにもかかわらず、単に便利だから利用した場合は、原則として医療費控除の対象になりません。
ただし、次のような事情があり、公共交通機関を利用することが困難な場合は、対象になる可能性があります。
- 緊急に受診する必要があった
- 陣痛が始まっていた
- 重い症状で電車やバスを利用できなかった
- 深夜で公共交通機関が運行していなかった
- 医師の指示により移動方法が制限されていた
タクシーを利用した理由と領収書を保存してください。
対象にならない交通費
- 自家用車のガソリン代
- 自家用車の駐車場代
- 高速道路料金
- 患者の見舞いだけを目的とする家族の交通費
- 入院中の患者の世話だけを目的とする家族の交通費
- 個人的な都合による帰宅費用
自家用車に関する費用は、医療機関へ人を運ぶサービスの対価ではないため、原則として医療費控除の対象になりません。
入院費用で医療費控除の対象になるもの
入院中に支払ったすべての費用が、医療費控除の対象になるわけではありません。
医師等の診療・治療を受けるために直接必要で、通常必要な費用かどうかで判断します。
対象になる主な費用
- 入院基本料
- 診察料
- 検査費用
- 手術費用
- 投薬費用
- 病院から提供される通常の食事代
- 治療上必要な部屋代
- 療養上必要な付添料
- 医師の指示で購入した一定の医療器具
- 入退院のために通常必要な交通費
病院の食事代
入院中に病院から提供される食事の自己負担額は、入院費用の一部として、通常必要な範囲で医療費控除の対象になります。
一方、病室へ出前を取った費用、外食費、おやつ代などは、病院での診療・治療に直接必要な費用ではないため対象外です。
差額ベッド代
本人や家族の希望だけで個室を選んだ場合の差額ベッド代は、原則として医療費控除の対象になりません。
一方、治療上の必要性、感染症対策、病院側の事情などによって個室へ入院した場合は、対象になる可能性があります。
個室利用の理由が分かる書類や病院からの説明を保存しておきましょう。
対象にならない主な費用
- 寝巻きやパジャマ
- 洗面用具
- テレビカード
- 冷蔵庫利用料
- 雑誌や新聞
- イヤホン
- 医師や看護師への謝礼
- 本人希望による差額ベッド代
- 家族の見舞い交通費
- 外食・出前・おやつ代
入院・通院・歯科治療がある場合の計算例
同じ年に入院、退院後の通院、歯科治療があり、それぞれ給付金を受け取ったケースを計算します。
前提条件
- 入院にかかった医療費:20万円
- 入院給付金:25万円
- 退院後の通院医療費:8万円
- 通院給付金:3万円
- 歯科治療費:15万円
- 歯科治療に対する給付金:なし
- 総所得金額等:300万円
入院分
20万円-25万円=マイナス5万円
入院分は0円として扱います。
超過した5万円を通院費や歯科治療費から差し引く必要はありません。
通院分
8万円-3万円=5万円
通院分として5万円を医療費控除の計算へ含めます。
歯科治療分
補填金がないため、15万円をそのまま医療費控除の計算へ含めます。
医療費控除の対象となる自己負担額
入院分0円+通院分5万円+歯科治療分15万円=20万円
医療費控除額
総所得金額等が200万円以上であるため、10万円を差し引きます。
20万円-10万円=10万円
医療費控除額は10万円です。
所得税の還付額の目安
適用される所得税率を10%と仮定した場合、所得税の軽減額の概算は次のとおりです。
10万円×10%=1万円
ただし、実際の還付額は、源泉徴収税額、課税所得、復興特別所得税、他の所得控除などによって異なります。
また、医療費控除により、翌年度の住民税が軽減される場合があります。
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医療費控除では、給付金をどの医療費から差し引くかが重要です。加入中の医療保険の保障内容が家計に合っているかどうかも含め、専門スタッフが一緒に確認します。
医療費控除の申告方法
会社員で年末調整を受けている場合でも、医療費控除を適用するには、原則として確定申告または還付申告が必要です。
年末調整だけで医療費控除を受けることはできません。
必要となる主な書類
- 所得税の確定申告書
- 医療費控除の明細書
- 給与所得の源泉徴収票に記載された情報
- 医療費通知
- マイナンバーに関する情報
- 還付金の振込先口座
確定申告書を書面で提出する場合でも、医療費の領収書を申告書へ添付するのではなく、医療費控除の明細書を提出するのが原則です。
領収書は5年間保存する
医療費控除の明細書に記載した医療費の領収書は、税務署から提出または提示を求められる場合に備えて、原則として5年間保存します。
次の書類も一緒に保存しておくと確認しやすくなります。
- 生命保険会社の給付金支払明細書
- 高額療養費の支給決定通知書
- 健康保険組合の付加給付通知書
- 自治体の医療費助成通知
- 通院交通費の記録
- 差額ベッド代が治療上必要だったことが分かる資料
マイナポータル連携を利用する場合
マイナポータル連携を利用すると、一定の医療費通知情報を確定申告書等作成コーナーへ取り込めます。
ただし、次のような情報は自動反映されない場合があります。
- 生命保険会社から受け取った入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 後日支給された高額療養費
- 健康保険組合の付加給付
- 公共交通機関による通院交通費
- 自由診療の一部
自動取得された内容だけで申告を完了せず、補填金額や不足している医療費を確認してください。
還付申告は翌年1月1日から提出できる
給与所得者などが所得税の還付を受けるために行う還付申告は、対象年の翌年1月1日から5年間提出できます。
還付申告だけであれば、通常の確定申告期間が始まるまで待つ必要はありません。
ただし、個人事業主など、もともと確定申告義務がある人は、法定申告期限までに申告してください。
医療費控除でよくある間違い
給付金を医療費全体から差し引く
入院給付金を、歯科治療費や家族の医療費を含む年間医療費全体から差し引くのは適切ではありません。
給付金は、その給付の対象となった医療費ごとに差し引きます。
給付金の超過分まで入力する
入院費15万円に対して入院給付金20万円を受け取った場合、補填金額として入力するのは15万円が上限です。
超過した5万円を他の医療費の補填金として入力しないようにしましょう。
給付金が非課税だから差し引かない
給付金が所得税の非課税対象であっても、医療費を補填する目的の給付であれば、医療費控除の計算では差し引きます。
診断一時金はすべて差し引かないと判断する
診断一時金という名称だけで、差し引き不要と判断するのは避けましょう。
実際の支払事由と、特定の医療費を補填する性質があるかどうかを確認します。
高額療養費の支給前に満額を申告する
高額療養費の金額が申告時点で確定していない場合でも、受給見込額を差し引いて申告します。
家族が受け取った給付金を無視する
医療費を支払った人と給付金を受け取った人が異なる場合でも、その給付金が対象医療費を補填する目的で支払われていれば、医療費から差し引く必要があります。
医療費控除額がそのまま還付されると思う
医療費控除額は、税金の計算対象となる所得から差し引く金額です。
控除額全額が還付されるわけではありません。
確定申告前の確認チェックリスト
- その年に実際に支払った医療費を集計したか
- 自分と生計を一にする家族の医療費を確認したか
- 入院ごとに給付金を対応させたか
- 通院給付金を対象通院費から差し引いたか
- 手術給付金の支払事由を確認したか
- 給付金の超過分を他の医療費から差し引いていないか
- 高額療養費を差し引いたか
- 健康保険組合の付加給付を確認したか
- 自治体の医療費助成を確認したか
- 給付金が未確定の場合に見込額を計算したか
- 診断一時金の支払目的を確認したか
- 通院交通費を記録したか
- 対象外のガソリン代や駐車場代を含めていないか
- 医療費控除の明細書を作成したか
- 領収書や給付金明細を保存したか
まとめ
入院給付金、手術給付金、通院給付金など、医療費を補填する目的で支払われた給付金は、医療費控除の計算で対象医療費から差し引きます。
最も重要な原則は、給付金を年間の医療費全体から一括して差し引くのではなく、その給付の目的となった医療費ごとに対応させることです。
入院給付金は対象となった入院医療費から、通院給付金は対象となった通院医療費から差し引きます。
給付金が対象医療費を上回った場合は、その医療費を0円として計算します。
超過分を歯科治療費、別の病気の治療費、家族の医療費などから差し引く必要はありません。
医療費から差し引く主な給付金は、次のとおりです。
- 入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 放射線治療給付金
- 高額療養費
- 健康保険組合の付加給付
- 出産育児一時金
- 医療費を補填する損害賠償金や助成金
一方、傷病手当金、出産手当金、就業不能保険の給付金など、休業中の収入を補う給付は、原則として医療費から差し引きません。
がん診断一時金や三大疾病一時金については、名称だけで判断せず、支払事由と医療費を補填する目的の有無を確認してください。
診断事実や所定の状態に対して支払われ、使途が限定されていない一時金であれば、医療費から差し引かない場合があります。
確定申告時点で給付金や高額療養費が確定していない場合は、受取見込額を対象医療費から差し引いて申告します。
後日確定した金額が見込額より多ければ修正申告、少なければ更正の請求によって訂正します。
通院に通常必要な電車・バス代は医療費控除の対象です。
一方、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象になりません。タクシー代は、緊急時や公共交通機関を利用できない事情がある場合などに限って対象になる可能性があります。
入院中に病院から提供される通常の食事代は対象ですが、出前、外食、身の回り品、本人希望による差額ベッド代などは原則として対象外です。
医療費控除を受けるには、確定申告書と医療費控除の明細書を提出します。
医療費の領収書や保険会社の給付金支払明細書などは、税務署から確認を求められた場合に備えて保存しておきましょう。
医療費控除の計算で迷った場合は、次の3点を順番に確認すると整理しやすくなります。
- その給付金は何を支払事由としているか
- どの医療費を補填する目的の給付か
- 対象医療費を超える金額がないか
個別の給付金が差し引き対象になるか判断できない場合は、保険会社の支払明細書や約款を用意し、税務署または税理士へ確認してください。