保険・お金のコラム

共働き夫婦の生命保険はいくらが目安?必要保障額の考え方と選び方をわかりやすく解説

共働き夫婦は二人で収入を得ているため、「生命保険は必要ないのでは?」と考える方も少なくありません。確かに、片働き世帯と比べるとリスクは小さいかもしれません。しかし、子どもがいる家庭や住宅ローンを組んでいる家庭では、どちらかに万一のことがあると家計のバランスが大きく崩れる可能性があります。

さらに2028年4月からは遺族厚生年金の仕組みが変わり、共働き世帯の公的保障の前提そのものが見直されます。大切なのは、「共働きだから不要」と一律に判断するのではなく、自分たちの家庭の状況に合った保障額を把握することです。この記事では、共働き夫婦の生命保険の必要性から、保険料・保障額の目安、ライフステージ別の選び方までをわかりやすく解説します。

共働き夫婦に生命保険は本当にいらない?

「いらない」と言われる理由

共働き夫婦に生命保険がいらないと言われる主な理由は、夫婦のどちらかに万一のことがあっても、もう一人の収入で生活を維持できる可能性が高いからです。片働き世帯では大黒柱が倒れると収入がゼロになりますが、共働きであれば少なくとも一方の収入は確保されます。

また、遺族年金の制度により、一定の条件を満たせば残された配偶者や子どもに公的な給付が行われます。こうした公的保障を考慮すると、共働き世帯では民間の生命保険で備える必要性が相対的に低くなるのは事実です。

それでも保険が必要なケース

しかし、すべての共働き世帯で生命保険が不要というわけではありません。生命保険の必要性が高いケースとしては、子どもがいる家庭(教育費の確保が必要)、住宅ローンを組んでいる家庭(ペアローンの場合は特に注意)、ダブルインカムを前提に生活水準を設計している家庭、夫婦の収入に大きな差がある家庭、貯蓄がまだ十分でない家庭などが挙げられます。

これらに該当する場合は、夫婦それぞれの収入や役割に応じて、必要な保障をきちんと検討することが大切です。

「二人で稼いでいる」ことがリスクになる面もある

見落とされやすいのが、共働き世帯は二人の収入を前提に生活水準や返済計画を組み立てている場合が多いという点です。住居費や教育費などの固定費が世帯収入に合わせて設定されていると、一方の収入が失われた瞬間に家計が回らなくなります。片働き世帯はもともと一人の収入で生活が成り立つ設計です。共働き世帯の方が「収入が半分になったときの落差」は大きくなることもあるため、共働きだから安心とは言い切れません。

共働き夫婦の保険料の目安|平均データから見る

世帯の年間保険料の平均

生命保険文化センターの2024年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、世帯員2人以上の世帯における生命保険(個人年金保険を含む)の年間払込保険料は平均35.3万円、世帯加入率は89.2%です。世帯の普通死亡保険金額は平均1,936万円で、低下傾向が続いています。

家族構成別に見ると、「夫婦のみ(40歳未満)」の世帯は年間21.0万円(月額約1.7万円)程度と最も低く、子どもが就学を終えた世帯では40万円を超えます。子どもの有無と成長段階で保険料が大きく変わることが読み取れます。

保険料の目安は手取り収入の何%?

一般的に、生命保険料は手取り収入の3%〜7%程度が目安とされています。たとえば、世帯の手取り収入が月50万円であれば、保険料は月15,000円〜35,000円程度の範囲内が一つのめやすです。

ただし、共働き世帯では夫婦二人分の保険料を合算して管理する必要があります。保険料が家計を圧迫しないよう、他の固定費(住宅費・教育費・貯蓄など)とのバランスを考えて設定しましょう。必要以上に保険に加入して貯蓄や投資に回す余裕がなくなるのは本末転倒です。

平均よりも「自分たちの必要額」を優先する

平均データは自分たちの位置を確認する参考にはなりますが、目標にするものではありません。子どもの人数も住宅ローンの有無も勤務先の保障制度もすべて異なる世帯を混ぜた数字だからです。共働き世帯では特に、夫婦の収入比率や勤務先の福利厚生、住宅ローンの形態によって必要な保障が大きく変わります。「平均に足りているか」ではなく「うちの場合はいくら必要か」から考える順番が重要です。

共働き夫婦の必要保障額の考え方

必要保障額=遺族の支出−遺族の収入

生命保険の必要保障額は、万一の場合に残された家族が必要とするお金(支出)から、確保できるお金(収入)を差し引いて算出します。支出には生活費、子どもの教育費、住居費、葬儀費用などが含まれ、収入には残された配偶者の収入、遺族年金、貯蓄、退職金などが含まれます。

共働き世帯の場合、残された配偶者に自身の収入があるため、片働き世帯と比べて必要保障額は小さくなる傾向があります。ただし、子どもが小さいうちは一時的に就労を制限せざるを得ないケースもあるため、一定の保障は確保しておくべきです。

夫婦それぞれの収入比率で保障を按分する

共働き夫婦の保障額は、夫婦それぞれの収入が家計に占める割合に応じて按分して考えるのが合理的です。たとえば、世帯収入のうち夫が60%、妻が40%を担っている場合、必要保障額の比率もおおむねこの割合に近くなります。

収入の多い側に万一のことがあった場合のほうが家計へのダメージが大きいため、収入が多い側により手厚い保障を設定するのが一般的です。ただし、妻が出産・育児で一時的に収入が減少するリスクも考慮に入れて、妻側の保障も軽視しないことが大切です。

家事・育児の外注費用も支出に入れる

収入だけで按分すると見落としてしまうのが、家事や育児を担っている分の価値です。夫婦のどちらかが亡くなった場合、残された側は仕事を続けながら家事と育児をすべて担うことになります。

現実には、保育の延長利用、ベビーシッター、家事代行、学童保育、食事の外部化といった費用が新たに発生し、子どもが小さいうちは月数万円規模の追加支出になることも珍しくありません。収入の少ない側の保障を「収入比率が低いから少なくていい」と決めてしまうと、この部分が抜け落ちます。

子ども1人あたりの必要保障額の目安

子どもがいる共働き世帯の場合、子どもの教育費を確保するために追加の保障が必要になります。教育費の目安は、子ども1人あたり約1,000万円〜2,500万円程度(進学先によって大きく変動)です。

この教育費に加えて、子どもが独立するまでの生活費を考慮すると、子ども1人あたりの必要保障額の目安は2,000万円〜3,000万円程度と言われています。これを夫婦の収入比率で按分し、それぞれの死亡保障額に反映させるのが基本的な考え方です。

必要保障額は年々減っていく

必要保障額は、時間の経過とともに減っていく性質があります。子どもが成長すれば残りの教育費は減り、住宅ローンの残高も返済に応じて減るためです。この性質に合っているのが、保障額が期間の経過とともに減っていく収入保障保険です。必要な分だけを効率的に確保できるため、夫婦それぞれに保障を持つ共働き世帯がコストを抑える手段として有効です。

共働き夫婦が知っておきたい公的保障

遺族基礎年金と遺族厚生年金の基本

公的な遺族保障には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。遺族基礎年金は、18歳到達年度の末日までの子(一定の障害がある場合は20歳未満)がいる配偶者または子に支給されます。金額は基礎年金の満額に子の人数に応じた加算を加えた水準で、毎年度改定されます。

重要なのは、子どもがいない場合は遺族基礎年金が支給されないという点です。子どもがまだいない共働き夫婦は、この部分の公的保障がないことを前提に考える必要があります。

遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた方が亡くなった場合に報酬に応じて支給されます。逆にいえば、夫婦のどちらかが自営業やフリーランスで国民年金のみの場合、その方に万一のことがあっても遺族厚生年金は支給されません。働き方が異なる夫婦は、この差を確認しておきましょう。

2028年4月からの遺族厚生年金の見直し

2025年6月に成立した年金制度改正法により、遺族厚生年金の仕組みが2028年4月から大きく変わります。共働き世帯に直接関わる改正であるため、押さえておきたい内容です。

主な変更点は、18歳年度末までの子がいない60歳未満の配偶者について、遺族厚生年金が原則5年間の有期給付になることです。これまで性別によって異なっていた受給要件が統一され、これまで対象外だった60歳未満の男性も受給できるようになります。一方で、これまで無期給付を受けられていた女性の一部は、有期給付に切り替わることになります。

給付期間が短くなる代わりに、5年間は「有期給付加算」が上乗せされ、従来の遺族厚生年金額の約1.3倍に増額されます。また、年収850万円未満という収入要件は撤廃されます。5年経過後も、障害状態にある方や就労収入が一定額以下の方には継続して給付される仕組みが設けられ、亡くなった配偶者の厚生年金記録の一部を残された配偶者の老齢厚生年金に反映させる仕組みも新設されます。

移行は段階的で、男性には一斉に適用される一方、女性については長期間かけて移行する形が取られます。2028年4月より前から受給している方は影響を受けず、子どもがいる間も現行と同じ給付内容が続きます。

この改正は、特に子どものいない共働き夫婦にとって「公的な遺族保障が生涯続くとは限らない」ことを意味します。詳細は今後の政省令等で定まる部分もあるため、日本年金機構や厚生労働省の最新情報を確認しつつ、民間保険での備えを検討しましょう。

傷病手当金と高額療養費も含めて考える

死亡以外のリスクについても公的保障があります。会社員や公務員であれば、病気やケガで働けない期間について傷病手当金を受けられ、医療費は高額療養費制度によって1か月の自己負担額に上限が設けられます。

夫婦ともに会社員であれば、どちらが働けなくなってもこれらの給付を受けられます。一方、自営業やフリーランスが加入する国民健康保険には傷病手当金がないため、その働き方をしている側は就業不能保険などでの備えを検討する価値が高くなります。

【ライフステージ別】共働き夫婦のおすすめ保険の組み合わせ

子どもがいない共働き夫婦

子どもがいない共働き夫婦の場合、大きな死亡保障は必要ないことが多いです。葬儀費用程度(200万円〜300万円)の最低限の死亡保障と、病気やケガに備える医療保険を夫婦それぞれで準備しておくとよいでしょう。

ただし前述のとおり、この層は遺族基礎年金の対象外で、2028年4月以降は遺族厚生年金も原則5年間の有期給付になります。住宅ローンがある場合や、一人の収入では今の生活水準を維持できない場合は葬儀費用だけでは足りません。「一人になった後、いくらで暮らせるか」を試算して判断してください。

将来の妊娠・出産を視野に入れている場合は、女性側は妊娠前に医療保険を確保しておくことをおすすめします。妊娠後は加入に制限がかかることがあるためです。保険料を抑えたい場合は、掛け捨ての定期保険と終身型の医療保険を組み合わせるとコストパフォーマンスが高くなります。

子どもが小さい共働き夫婦

子どもが小さいうちは、夫婦ともに死亡保障の必要性が最も高い時期です。夫婦それぞれの収入比率に応じた死亡保障(収入保障保険や定期保険)に加え、医療保険・がん保険を夫婦で準備しましょう。

この時期は教育費の負担がこれから本格化するため、保障を手厚くする一方で保険料が家計を圧迫しないよう注意が必要です。保険料が安い収入保障保険は、死亡保障を効率的に確保する手段としておすすめです。また、どちらかが病気で長期間働けなくなるリスクに備えて、就業不能保険の加入も検討しましょう。

死亡だけでなく「働けなくなる」リスクにも目を向けたい時期です。亡くなった場合は生活費が一人分減りますが、働けなくなれば本人の生活費や治療費がかかり続けます。家計への影響はこちらのほうが長引くケースもあります。

子どもが独立した後の共働き夫婦

子どもが独立すると教育費の負担がなくなるため、死亡保障は大幅に減額できます。葬儀費用と配偶者のその後の生活費を最低限カバーできる程度に調整しましょう。

一方で、年齢とともに病気のリスクが高まるため、医療保険・がん保険・介護保険の重要性が増します。老後の医療費や介護費用に備える保障を維持しつつ、余裕があれば個人年金保険やiDeCoなどで老後資金の準備も進めましょう。

なお、60歳以降に配偶者を亡くした場合の遺族厚生年金は、改正後も無期給付とされています。この段階では「医療・介護」に軸足を移す設計が合理的です。

共働き夫婦の保険選びで押さえておきたいポイント

夫婦それぞれが保険に加入する

共働き世帯では、夫だけでなく妻もそれぞれ保険に加入しておくことが基本です。妻に万一のことがあった場合でも、子どもの養育費や家事・育児の外注費用などが必要になります。「保険は夫だけで十分」という考え方は、共働き世帯には当てはまりません。

夫婦それぞれの収入や役割を考慮し、それぞれに必要な保障をバランスよく設計しましょう。

住宅ローンと団信の関係を考慮する

住宅ローンを組んでいる場合、団体信用生命保険(団信)に加入していれば、契約者が亡くなった際にローン残高が保険金で完済されます。そのため、団信でカバーされる住宅費分は生命保険の保障額から差し引くことができます。

ペアローンの場合は、夫婦それぞれが自分のローン分の団信にしか加入していないため、配偶者のローン残高分を生命保険でカバーする必要があります。金融機関によっては、どちらか一方に万一のことがあれば夫婦2人分のローンが完済される「夫婦連生型」の団信を扱っている場合もあります。住宅ローンの形態と団信の内容を確認したうえで、生命保険の保障額を設定しましょう。

勤務先の保障制度を先に確認する

共働き世帯は、勤務先の福利厚生を2社分持っていることになります。死亡退職金や弔慰金、団体保険、健康保険組合の付加給付など、勤務先の制度でカバーされる部分は民間保険で重ねる必要がありません。

まず夫婦それぞれの勤務先の制度を確認し、そこで足りない分を民間保険で補うという順番にすると、重複を避けて保険料を抑えられます。ただし、団体保険は退職や転職で保障が終わることが多い点には注意してください。

受取人の設定と保険料の負担者に注意する

保険金にかかる税金は、契約者(保険料の負担者)・被保険者・受取人の関係で変わります。自分の収入で自分を被保険者とする保険料を払い、受取人を配偶者にしておけば、死亡保険金は相続税の対象となり「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を使えます。

一方、妻が契約者で夫が被保険者、受取人が妻という形にすると、保険金は所得税(一時所得)の対象になります。共働きでそれぞれに収入があるからこそ、「誰が保険料を払い、誰が受け取るのか」を意識して設定することが大切です。加入後に離婚や再婚があった場合の受取人変更も、忘れずに手続きしましょう。

定期的に見直しを行う

共働き夫婦のライフステージは変化が大きいため、定期的に保険の見直しを行うことが重要です。子どもの誕生、住宅購入、転職、子どもの独立、退職といったタイミングで、必要保障額と保険料のバランスを再確認しましょう。

特に子どもの成長に伴い必要保障額は年々減少していくため、保障の減額や保険料の削減が可能になるケースがあります。見直しをせずに放置していると、過剰な保険料を支払い続けることになりかねません。

よくある質問(FAQ)

Q. 共働きで子どもがいない場合、死亡保険は不要ですか?

高額な死亡保障は不要なことが多いですが、まったく不要と言い切れるわけではありません。葬儀費用や身辺整理費用として200万円〜300万円程度の保障は準備しておくと安心です。住宅ローンの残債がある場合や、パートナーの収入だけでは今の生活水準を維持できない場合は、追加の死亡保障を検討しましょう。2028年4月以降は子のない配偶者への遺族厚生年金が原則5年間の有期給付になるため、以前より慎重に判断すべき論点です。

Q. 共働き夫婦の保険料は夫婦で合わせていくらが目安ですか?

世帯の手取り収入の3%〜7%程度が保険料の目安です。たとえば世帯の手取りが月50万円であれば、夫婦合わせて月15,000円〜35,000円程度が一つの基準になります。ただし、家族構成や住宅ローンの有無、貯蓄状況によって適切な金額は異なるため、あくまで参考値として捉えてください。

Q. 妻がパートの場合も共働きとして保険を考えるべきですか?

パートやアルバイトで収入がある場合も、その収入が家計に貢献しているのであれば、妻に万一のことがあった場合の影響を考慮して保険を検討すべきです。特に、妻のパート収入がなくなった場合に家計がどのくらい影響を受けるかをシミュレーションし、必要に応じて妻自身の医療保険や就業不能保険を検討しましょう。家事や育児を多く担っている場合は、その外注費用も考慮に入れてください。

Q. 収入が増えたら保険も増やすべきですか?

収入が増えたこと自体は、保険を増やす理由にはなりません。判断の軸は、その収入を前提に生活水準や固定費が上がっているかどうかです。住居費や教育費が上がっているなら、失われたときに必要な金額も増えているため見直しが必要です。

Q. 育休中に保険料を払い続けるのが負担です。どうすればよいですか?

保険料の負担が重い場合、解約ではなく減額や払済保険への変更で対応できることがあります。また、払込猶予期間や自動振替貸付の仕組みを使って一時的にしのぐ方法もあります。解約すると同じ条件では戻れないため、まず保険会社に相談してください。

Q. どちらか一方が自営業の場合、注意すべき点はありますか?

はい、公的保障に差があるため注意が必要です。自営業やフリーランスが加入する国民年金には遺族厚生年金がなく、国民健康保険には傷病手当金がありません。その分、自営業側の死亡保障と就業不能への備えは、会社員側よりも厚めに設計する必要があります。

まとめ|共働きだからこそ夫婦それぞれに合った保障を

共働き夫婦は二人の収入で家計を支えているため、片働き世帯と比べて生命保険の必要性は低くなる傾向があります。しかし、子どもの教育費、住宅ローン、夫婦の収入格差など、状況によっては十分な保障が必要です。特に子どものいない世帯は、2028年4月からの遺族厚生年金の見直しによって公的保障の前提が変わることも押さえておきましょう。

「共働きだから保険はいらない」と一律に判断するのではなく、自分たちの家庭の状況に合った保障額を把握し、夫婦それぞれに適した保険を選ぶことが大切です。保険料は手取り収入の3%〜7%を目安にしつつ、ライフステージの変化に応じて定期的に見直しを行いましょう。保険選びに迷ったら、ぜひ専門家にご相談ください。