保険・お金のコラム

持病があっても団信は通る?告知の仕組みと断られたときの5つの選択肢

住宅ローンを申し込むとき、多くの金融機関では団体信用生命保険(団信)への加入が条件になります。持病があると、この団信の審査が通るかどうかが最大の関門になります。

ただし、持病があると必ず断られるわけではありません。判断されるのは病名そのものではなく、治療がいつ終わったのか、現在の状態は安定しているのか、合併症があるのかといった中身です。同じ病名でも結果が分かれるのはこのためです。

この記事では、告知の仕組み、断られた場合に取れる5つの選択肢、それぞれの費用の差、病気ごとの見られ方の違いまでを順に整理します。

確認したいポイント 結論 詳細
持病があると団信は通らない? 病名だけで決まるわけではない 治療がいつ終わったか、数値が安定しているか、合併症があるかを含めて判断されます。
告知はどこまで必要? 3か月以内と3年以内が基準になる 直近3か月の治療や投薬、3年以内の手術や2週間以上の治療が問われます。期間を過ぎれば対象外です。
断られたらどうする? 5つの選択肢がある ワイド団信、フラット35、別の金融機関、配偶者名義、期間の経過を待つという道があります。
病気ごとに違いはある? 経過と数値の安定が共通の鍵 病名より、治療からの経過期間と現在の状態が見られます。合併症の有無も共通の判断材料です。

この記事でわかること

  • 住宅ローンの審査と団信の審査がどこで分かれているのか
  • 告知書で問われる3つの質問と、告知が不要になる期間の考え方
  • 団信に通らなかった場合に取れる5つの選択肢とその順序
  • ワイド団信の上乗せ金利と、団信なしで生命保険に入る場合の費用の差
  • 病気ごとに見られ方がどう違うかと、申し込み前に整えておくこと
持病があっても、住宅ローンの道筋は一緒に探せます
団信の引受基準は保険会社ごとに異なり、同じ状態でも結果が変わることがあります。複数の商品を扱う立場から、通る可能性のある方法をご提案します。

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持病があると団信はどうなるのか

最初に、どこで何が判断されているのかを整理します。ここを取り違えると、対策の方向がずれます。

ローンの審査と団信の審査は別

住宅ローンの審査で見られるのは、年収、勤続年数、他の借入の状況、購入する物件の担保としての価値などです。健康状態そのものは、ローン本体の審査項目ではありません。

健康状態が関わるのは団信の審査です。多くの金融機関が団信への加入を融資の条件にしているため、団信に入れないと結果としてローンが組めない、という流れになります。

裏を返せば、団信の加入が必須でない商品を選べば、健康状態の影響を小さくできるということです。この点は後の見出しで扱います。

何が見られているのか

保険会社は、加入を引き受けるかどうかを将来の給付の見込みから判断します。返済期間は数十年に及ぶため、その間に給付が生じる可能性が検討されます。

病名だけで一律に決まるものではありません。治療がいつ終わったか、通院や服薬が続いているか、検査の数値が安定しているか、合併症や他の病気があるか、休職や入院の経験があるか。こうした中身が判断の材料になります。

年齢や借入額、返済期間も関係します。同じ状態でも、借入期間が長ければその分だけ見積もられるリスクは大きくなります。

一度断られても終わりではない

団信の引受をしている保険会社は金融機関ごとに異なり、判断の基準にも差があります。ある金融機関で断られた人が、別の金融機関では通るということが実際に起こります。

断られた理由が開示されることは基本的にありません。そのため、一度の結果で全体を判断せず、次の選択肢に進むという考え方が現実的です。

告知の仕組みを正しく理解する

何を聞かれ、何が対象外になるのかを知っておくと、準備がしやすくなります。

告知書で問われる3つの質問

一般的な団信の告知書は、大きく3つの質問で構成されています。1つ目は、最近3か月以内に医師の診察や検査を受け、治療や投薬を受けたことがあるか。軽い風邪なども含めて問われる形式もあります。

2つ目は、過去3年以内に、所定の病気で手術を受けたか、または2週間以上にわたって医師の診察や治療、投薬を受けたことがあるかです。持病で通院を続けている場合、ここに該当します。

3つ目は、手足の欠損や機能の障害、視力や聴力、言語、そしゃく機能の障害があるかどうかです。

参照:住宅金融支援機構【フラット35】「ご加入の手続・ご注意点」
https://www.flat35.com/danshin_menu/shin-danshin/tetuduki.html

期間が過ぎれば告知の対象外になる

2つ目の質問は「過去3年以内」と期間が区切られています。つまり、治療が終わってから3年以上が経過していれば、この項目には該当しません。治療期間が2週間に満たなかった場合も同様です。

完治から時間が経っている持病であれば、告知が不要になっているケースは少なくありません。まずは自分の状況が質問文に当てはまるのかを、一つずつ確認します。

なお、告知の項目や期間は商品によって異なります。同じ団信という名前でも、金融機関や引受をする保険会社が変われば内容が違うため、申込先ごとの確認が必要です。

団信の種類によって基準が違う

同じ金融機関でも、選ぶ団信によって引受の判断は変わります。3大疾病や7大疾病を保障の対象に含む団信は、保障が手厚い分、通常の団信より引受の基準が厳しくなるのが一般的です。

疾病保障付きの団信で断られても、保障の範囲が狭い通常の団信であれば加入できる場合があります。フラット35でも、新3大疾病付機構団信に加入できない場合に、新機構団信へ切り替えて加入できることがあるとされています。

健康状態に不安があるなら、まず基本的な団信で通ることを優先し、上乗せの保障は別に考えるという順序が現実的です。

告知したあとの流れ

告知書を提出すると、保険会社が引受の可否を判断します。内容によっては、診断書や医師の意見書といった追加の書類を求められることがあります。

追加の書類が必要になると、医療機関に依頼して受け取るまでに時間がかかります。結果が出るまで数週間かかることもあるため、物件の引き渡し日から逆算して余裕を持って動きます。

結果は、加入できる、条件付きで加入できる、加入できない、のいずれかです。断られた場合でも理由は開示されないのが一般的です。

事実と違う告知をしてはいけない

該当する事実を書かなければ通るのではないか、と考えたくなる場面かもしれません。しかし、事実と違う告知は告知義務違反にあたります。

発覚すれば契約が解除される可能性があり、その場合、保険金は支払われません。本人に万一のことがあったときに保険金が出ず、ローンの残債をそのまま家族が背負うことになります。団信の目的そのものを損なう選択です。

該当する事実があるなら、正しく告知したうえで、次に説明する選択肢を検討するほうが確実です。

告知の書き方や必要な資料を、事前に整理できます
どこまで書くべきか、どの資料を用意すればよいかは状況によって変わります。手続きを進める前に整理しておくと、審査にかかる時間を短くできます。

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通らなかった場合の5つの選択肢

通常の団信で断られた場合に取れる方法を、検討しやすい順に挙げます。

1.ワイド団信を検討する

ワイド団信は、通常の団信より引受の基準を緩めた商品です。高血圧、糖尿病、精神疾患の既往などで通常の団信に入れなかった場合の、最初に検討すべき選択肢になります。

その分、金利に上乗せがあります。上乗せ幅は金融機関によって異なり、年0.2%から0.3%程度とされる例が多く見られます。取り扱っている金融機関と上乗せ幅には差があるため、複数を比べる価値があります。

2.フラット35を検討する

住宅金融支援機構と民間金融機関が提供するフラット35では、団信(新機構団信)への加入が任意とされています。健康上の理由で団信に入れない場合でも、借入ができる可能性があります。

新機構団信に加入しない場合、金利は年0.2%引き下げられます。保険料に相当する負担がなくなる一方、万一のときにローンが消える保障もなくなります。

3.別の金融機関に申し込む

前述のとおり、引受の判断は保険会社によって異なります。一つで断られても、別のところでは通ることがあります。

ただし、不動産の売買契約を先に結んでしまうと、ローンが組めなかった場合に手続きが複雑になります。健康状態に不安がある場合は、物件の契約に進む前に、複数の金融機関で見通しを確認しておくほうが安全です。

4.配偶者の名義で借りる

収入のある配偶者がいる場合、その方が債務者となって団信に加入するという方法もあります。名義人が変わることで、健康状態の問題は解消されます。

一方で、借入額は配偶者の収入を基準に決まるため、希望する金額に届かないことがあります。また、住宅の所有者や住宅ローン控除の適用も名義に応じて変わるため、税金の面も含めて確認が必要です。

5.告知の期間が過ぎるのを待つ

治療が終わっていて、あと少しで3年が経過するという場合、その時期を待つという判断もあります。期間が過ぎれば告知の対象から外れ、通常の団信で申し込める可能性が出てきます。

ただし、待っている間に金利や物件価格が変わる可能性もあります。待つことの費用も含めて比較したうえで決めます。治療中の持病であれば、数値が安定してから申し込むという考え方も同じ発想です。

5つのうち、どれが自分に合うかを一緒に絞り込めます
健康状態、借入希望額、購入の時期によって、優先すべき選択肢は変わります。状況をお聞かせいただければ、順序を整理してお伝えします。

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費用で比べるとどうなるか

判断の材料として、金利の上乗せがいくらの負担になるのかを具体的に見ておきます。

ワイド団信の上乗せ負担

3,000万円を35年で借りる場合で計算します。金利1.5%であれば、毎月の返済は約9万1,900円、総返済額は約3,858万円です。

0.3%上乗せされて1.8%になると、毎月は約9万6,300円、総返済額は約4,046万円となります。上乗せによる負担は35年で約188万円という計算です。毎月にすると約4,400円の差になります。

団信なしで生命保険に入る場合

団信に加入せず金利が0.2%下がって1.3%になれば、毎月は約8万8,900円、総返済額は約3,736万円です。1.5%の場合と比べて約122万円少なくなります。

この浮いた分を保険料に充てて、個人で生命保険に加入するという考え方ができます。死亡保険金でローンを返済できるようにしておけば、団信に近い形の備えになります。

時間の経過とともに保障額が減る収入保障保険は、返済が進むにつれて必要額が減る住宅ローンと相性が良い形です。ただし、生命保険の加入にも告知があるため、加入できるかどうかは別に確認が必要です。

借入額と返済期間を見直す

費用の話とあわせて考えたいのが、借入の条件そのものです。返済期間が長いほど、その間に給付が生じる可能性は高く見積もられます。

頭金を増やして借入額を下げる、返済期間を短くするといった調整をすると、毎月の負担は増えるものの、判断の材料としては別の見え方になります。上乗せ金利を受け入れる前に、借入条件を変えられる余地がないかも確認します。

どちらを選ぶかの考え方

判断の分かれ目は、代わりに加入できる保険の保険料です。健康状態によっては保険料が割高になり、上乗せ金利を払ったほうが安く済むこともあります。

両方を試算して比べるのが確実です。あわせて、団信なしで借りるなら、亡くなったときにローンが残ることを家族が理解している状態にしておきます。

病気ごとに見られ方はどう違うか

代表的な持病について、判断で重く見られる部分を整理します。詳細はそれぞれの病気ごとの記事で扱います。

高血圧

持病のなかでは比較的判断が分かれにくい部類とされています。程度が軽く、薬で数値が安定していて、合併症がない状態であれば、通常の団信に加入できている例は珍しくありません。

見られるのは、血圧の数値、服用している薬の名前と数、脳や心臓、腎臓への影響の有無です。複数の薬を使っても下がらない場合や、他の生活習慣病を併発している場合は慎重に見られます。

糖尿病

告知が病名だけで終わらないのが特徴です。HbA1cや空腹時血糖値、服用している薬、インスリン治療の有無、合併症の有無まで記入を求められます。

判断に強く関わるのは合併症です。網膜症、腎症、神経障害がない状態と、進行している状態とでは、まったく別の判断になります。数値が安定していて合併症がなければ、道が開ける余地があります。

うつ病などの精神疾患

治療が長期にわたる可能性や再発の可能性が考慮されるため、慎重に扱われる傾向があります。ただし、これも病名だけで決まるものではありません。

治療がいつ終わったか、通院や服薬が続いているか、休職や入院の経験があるかによって判断は変わります。治療が終わってから3年以上経過していれば、告知の対象から外れる場合もあります。

がんの既往

治療からの経過年数が重く見られます。治療が終わって一定の年数が経ち、再発がない状態であれば、ワイド団信で引き受けられる可能性が出てきます。

種類や進行度、治療の内容によって判断は大きく変わるため、経過が分かる資料をそろえて申し込むことになります。

経過観察中の病気

肝炎や子宮筋腫のように、治療はしていないが定期的に経過を見ている状態もあります。この場合、直近の受診が告知の項目に該当するかどうかがまず問題になります。

経過観察であることが分かる資料を添えると、状態を説明しやすくなります。判断に迷う場合は、記入する前に金融機関の担当者に確認します。

病気ごとの見通しについても、個別にご相談いただけます
同じ病名でも、経過や数値によって取るべき方法は変わります。診断や治療の状況をお聞かせいただければ、現実的な進め方をお伝えします。

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申し込みの前と申し込み中の注意点

手続きを進めるうえで押さえておきたい点を挙げます。

事前審査の段階で団信の告知も出す

金融機関によっては、事前審査の申し込みとあわせて団信の告知書を提出できる場合があります。健康状態に不安があるなら、この形をとれるかを確認します。

本審査まで進んでから団信を理由に断られると、物件の手続きが進んだ後で振り出しに戻ります。早い段階で見通しが立てば、通らなかった場合に別の選択肢へ切り替える時間も確保できます。

治療の経過を整理しておく

いつ受診を始め、いつ治療が終わったのか、通院の頻度はどうだったのか、服薬は続いているのかを時系列で書き出します。診察券やお薬手帳、健診の結果が手元にあれば確認しやすくなります。

告知書に正確な期間を書けるかどうかで、審査にかかる時間が変わります。記憶があいまいな場合は、通院していた医療機関に確認しておきます。

審査中に新たな借入や転職をしない

団信とは別に、ローン本体の審査にも影響する行動があります。審査の期間中に自動車ローンを組んだり、クレジットカードのリボ払いを増やしたりすると、返済の比率が変わって不利になります。

転職も同様です。勤続年数が基準を満たさなくなる可能性があります。審査が終わるまでは、収入と借入の状況を変えないようにします。

団信でカバーされない範囲を知っておく

団信が支払われるのは、死亡または所定の高度障害状態になった場合です。通院や服薬をしながら働いている状態や、療養で休職している状態は対象になりません。

働けない期間の返済をどうするかは、団信とは別に考える必要があります。健康保険の傷病手当金は支給を開始した日から通算して1年6か月とされており、それ以降は別の備えが必要になります。

参照:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html

まとめ

持病があっても、団信に加入できる可能性は残っています。判断されるのは病名ではなく、治療からの経過、現在の状態、合併症の有無といった中身です。同じ病名でも結果が分かれるのはこのためです。

告知では、直近3か月の治療や投薬、過去3年以内の手術や2週間以上の治療が問われます。期間を過ぎていれば対象外になることもあるため、まずは質問文に当てはまるかを確認します。事実と違う告知は、万一のときに家族が残債を負う結果につながります。

断られた場合は、ワイド団信、フラット35、別の金融機関、配偶者名義、告知期間の経過を待つという5つの道があります。費用の差を試算したうえで、自分の状況に合う順序を決めます。

一度の結果で諦める必要はありません。引受の判断は保険会社によって異なり、状態が安定すれば結果が変わることもあります。物件の契約に進む前に、複数の見通しを確認しておくことが何より確実です。

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