団信は高血圧でも通る?告知で書く数値と通過の可能性を上げる進め方
健康診断で血圧を指摘され、降圧薬を飲んでいる。この状態で住宅ローンを申し込むとき、団体信用生命保険(団信)の審査が気がかりになる方は多くいます。
高血圧は団信の告知対象になりますが、告知したから加入できないという性質のものではありません。血圧がどの程度なのか、薬でコントロールできているか、合併症があるかによって判断は分かれます。
この記事では、告知で何を書くのか、通る可能性を上げるために申し込み前にできることは何か、返済中に脳卒中や心疾患が起きた場合はどうなるのかを整理します。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
| 高血圧だと団信は通らない? | 告知対象だが加入不可とは限らない | 血圧の程度と薬でコントロールできているかによって判断が分かれます。合併症の有無も見られます。 |
| 告知では何を書く? | 血圧の数値と薬の内容まで書く | 最近の血圧値、服用している薬の名前と数、合併症や他の生活習慣病の有無まで求められます。 |
| 通る可能性を上げるには? | 数値を安定させてから申し込む | 家庭血圧を記録し、治療で落ち着いた状態を示せるようにしてから手続きを進めます。 |
| 返済中に脳卒中になったら? | 団信の種類によって扱いが違う | 一般の団信は高度障害の定義で判断され、疾病保障付きの団信では別の基準が設けられています。 |
この記事でわかること
- 高血圧が団信の審査でどう位置づけられているのか
- 告知書で求められる血圧の数値、薬の内容、合併症に関する項目
- 家庭血圧の記録など、申し込み前に準備しておくと説明しやすくなること
- 通らなかった場合の選択肢と、上乗せ金利の実際の負担額
- 返済中に脳卒中や心筋梗塞が起きた場合の団信の扱いと公的な制度
| 健康状態に不安がある場合の住宅ローンもご相談いただけます 団信の引受基準は保険会社ごとに異なり、同じ状態でも結果が変わることがあります。複数の商品を扱う立場から、通る可能性のある道筋を一緒に探します。 |
高血圧と団信の関係
まず、高血圧が審査のどこで、どのように扱われているのかを整理します。
ローンの審査と団信の審査は別
住宅ローンの審査で見られるのは、年収、勤続年数、他の借入の状況、購入する物件の担保としての価値などです。健康状態そのものは、ローン本体の審査項目ではありません。
健康状態が関わるのは団信の審査です。多くの金融機関が団信への加入を融資の条件にしているため、団信に入れないと結果としてローンが組めない、という流れになります。
告知対象ではあるが、加入できないとは限らない
高血圧で通院や服薬を続けていれば、告知書の項目に該当します。ただし、告知したから断られるという関係ではありません。
程度が軽く、薬で数値が安定していて、合併症がない状態であれば、通常の団信に加入できている例は珍しくありません。持病のなかでは比較的判断が分かれにくい部類とされています。
一方で、血圧が高い水準のまま推移している場合や、複数の薬を使っても下がらない場合、他の生活習慣病を併発している場合は、慎重に見られます。
年齢と借入期間も判断に関わる
高血圧は年齢が上がるほど該当する人が増えます。そのため、同じ血圧の状態でも、申し込む年齢によって見られ方が変わることがあります。
団信には加入できる年齢の制限もあり、借入時の年齢と完済時の年齢の両方に上限が設けられているのが一般的です。上限は保険会社や商品によって異なるため、申込先ごとの確認が必要です。
借入期間が長いほど、その間に給付が生じる可能性は高く見積もられます。返済期間を短くすると毎月の負担は増えますが、判断の材料としては別の見え方になります。
高血圧の分類と審査での位置づけ
高血圧は、診察室で測った血圧が140/90mmHg以上、家庭で測った血圧が135/85mmHg以上の場合とされています。血圧値によって、I度(140から159/90から99)、II度(160から179/100から109)、III度(180/110以上)に分類されます。
この分類のどこに位置するかは、判断の材料の一つになります。I度で薬による管理ができている状態と、III度で数値が下がっていない状態とでは、見られ方が変わります。
参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」高血圧に関する記述
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586583.pdf
ただし、保険会社が引受の基準を公表することはありません。数値だけで決まるものではなく、年齢、罹病期間、治療の内容、他の病気の有無、借入額と期間を含めて総合的に判断されます。
告知で書く内容
高血圧の場合、病名を書いて終わりにはなりません。求められる項目を確認します。
血圧の数値は必ず記入する
一般的な団信の告知書では、過去3年以内に2週間以上にわたって医師の診察や治療、投薬を受けたことがあるかが問われます。降圧薬を継続して飲んでいれば、この項目に該当します。
該当する場合、最近の血圧の数値を記入する欄が設けられています。収縮期血圧と拡張期血圧の両方を、直近の測定値で書きます。健診の結果や、通院時に測った値を確認しておきます。
薬の名前と数を書く
服用している降圧薬の名前も記入します。薬の種類だけでなく、何種類を併用しているかも判断の材料になります。1種類でコントロールできている状態と、3種類を使ってようやく下がっている状態では、意味が異なるためです。
お薬手帳を見ながら、薬の名前と量を正確に書きます。名称があいまいだと確認に時間がかかり、手続きが長引きます。
合併症や臓器の障害の有無
高血圧が続くと、脳、心臓、腎臓、眼などに影響が出ることがあります。脳卒中の既往、心肥大や狭心症、腎機能の低下といった所見があるかどうかは、判断に強く関わります。
合併症がなく、定期的な検査で経過が確認されている状態であれば、その事実自体が説明の材料になります。心電図や血液検査、尿検査の結果を確認しておきます。
他の生活習慣病との併存
糖尿病や脂質異常症を併発している場合、それぞれについても告知が必要です。高血圧単独の場合と、複数の生活習慣病が重なっている場合とでは、見られ方が変わります。
血管に関わる病気が重なるほど、将来のリスクは高く見積もられます。併存している病気がある場合は、それぞれの数値と治療の状況を整理しておきます。
健診で指摘されただけの場合
まだ治療を始めておらず、健康診断で「血圧が高い」と指摘されている段階のこともあります。この場合の扱いは、告知書の質問文によって変わります。
治療も投薬も受けていなければ「2週間以上の治療」には該当しません。ただし、最近3か月以内に医師の診察や検査を受け、治療や投薬をすすめられたかという項目に該当する可能性があります。健診の結果を渡され、受診をすすめられた場合が典型です。
判断に迷ったら、記入する前に金融機関の担当者に確認します。
事実と違う告知をしてはいけない
血圧のことを書かなければ通るのではないか、と考えたくなるかもしれません。しかし、事実と違う告知は告知義務違反にあたります。
発覚すれば契約が解除される可能性があり、その場合、保険金は支払われません。残された家族がローンの残債をそのまま背負うことになります。高血圧は比較的判断が分かれにくい部類でもあるため、正しく告知して結果を待つほうが確実です。
| 告知の書き方や必要な資料を、事前に整理できます どの数値を書くのか、どの資料を添えると説明しやすいのかは状況によって変わります。申し込みの前に整理しておくと、審査にかかる時間を短くできます。 |
通る可能性を上げるための進め方
高血圧は、申し込みの前にできることがある持病です。順を追って整理します。
家庭血圧を記録しておく
血圧は1回の測定では判断できません。日本高血圧学会は、家庭血圧について5日から7日以上測定した平均値で判断するとしています。
朝と夜の決まった時間に測り、記録を残しておくと、安定している状態を数値で示せます。血圧計に記録が残る機種であれば、そのまま持参できます。告知書に書く数値の裏づけにもなります。
診察室と家庭で数値が違う場合
診察室では緊張によって血圧が高く出ることがあります。診察室で高く、家庭では基準内に収まる状態は白衣高血圧と呼ばれます。
日本高血圧学会は、診察室血圧と家庭血圧が食い違う場合は家庭血圧を優先して用いるとしています。健診で高く出た数値だけで判断せず、家庭での測定を続けて実際の状態を把握しておくことが、説明のうえでも役立ちます。
治療で数値が落ち着いてから申し込む
治療を始めたばかりで数値が安定していない時期に申し込むより、薬で落ち着いた状態が一定期間続いてから申し込むほうが、説明できる材料は増えます。
購入の時期をずらせる事情であれば、無理にその時点で進めない選択肢もあるということです。主治医と相談しながら、治療と住宅購入の計画を並べて考えます。
一度断られた場合も、その後に数値が安定したのであれば、あらためて申し込む価値があります。
主治医の資料を添える
告知の内容によっては、診断書や医師の意見書を求められることがあります。求められる前に、経過が安定していることを示す資料を用意しておく方法もあります。
通院の頻度、直近数回分の血圧の推移、合併症に関する検査結果、就業に支障がないことが分かる形にしておくと、判断の材料が増えます。書類の取得には日数がかかるため、早めに主治医へ相談します。
| 申し込む前に、どこまで準備すべきかをお伝えします 血圧の記録、健診結果、主治医の資料。どこまで揃えれば説明しやすいかは、状況によって変わります。手続きに入る前にご相談ください。 |
通らなかった場合の選択肢とコスト
一つの金融機関で断られても、そこで終わりではありません。選択肢と、それぞれの負担を整理します。
ワイド団信とフラット35
ワイド団信は、通常の団信より引受の基準を緩めた商品です。高血圧や糖尿病などで通常の団信に入れなかった場合の、最初の選択肢になります。金利には上乗せがあり、幅は金融機関によって異なります。
もう一つが、団信への加入が任意とされているフラット35です。新機構団信に加入しない場合、金利は年0.2%引き下げられます。保険料に相当する負担がなくなる一方、万一のときにローンが消える保障もなくなります。
参照:住宅金融支援機構【フラット35】「ご加入の手続・ご注意点」
https://www.flat35.com/danshin_menu/shin-danshin/tetuduki.html
別の金融機関に申し込む
団信の引受をしている保険会社は金融機関ごとに異なり、判断の基準にも差があります。一つで断られても、別のところでは通ることがあります。
ただし、不動産の売買契約を先に結んでしまうと、ローンが組めなかった場合に手続きが複雑になります。物件の契約に進む前に、複数の金融機関で見通しを確認しておくほうが安全です。
上乗せ金利は実際いくらの負担か
3,000万円を35年で借りる場合で計算します。金利1.5%であれば毎月の返済は約9万1,900円、総返済額は約3,858万円です。
0.3%上乗せされて1.8%になると、毎月は約9万6,300円、総返済額は約4,046万円となり、上乗せによる負担は35年で約188万円という計算になります。団信なしで1.3%になれば、総返済額は約3,736万円です。
団信なしなら残債は家族に残る
団信に加入していなければ、契約者が亡くなってもローンは消えません。残された家族が返済を続けるか、住宅を売却して返済に充てるかを選ぶことになります。
代わりに個人で生命保険に加入する方法もあります。団信なしで浮いた分を保険料に充てるという考え方ですが、生命保険にも告知があるため、加入できるかどうかは別に確認が必要です。
返済中に脳卒中や心疾患が起きた場合
高血圧そのものより、その先に起こりうる病気への備えが実務的な論点になります。
高血圧そのものは支払いの対象にならない
団信が支払われるのは、死亡または所定の高度障害状態になった場合です。通院や服薬をしながら働いている状態は、高度障害には該当しません。
つまり、団信に加入していても、治療をしながらの返済は自分で続けることになります。
脳卒中や心筋梗塞になった場合
高血圧が続くと、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まるとされています。これらを発症した場合、一般の団信では、約款で定められた高度障害状態に該当するかどうかで判断されます。
後遺症が残っても、高度障害の定義に当てはまらなければ支払いの対象になりません。働けなくなっても返済は続く、という状況が起こりうるという点は理解しておく必要があります。
なお、フラット35の新機構団信は、身体障害者福祉法に定める1級または2級の障害に該当して手帳の交付を受けたときが要件とされており、一般の団信の高度障害とは基準が異なります。
疾病保障付き団信という考え方
3大疾病を保障の対象に含む団信では、がん、急性心筋梗塞、脳卒中について、所定の状態になったときにローン残高が保障されます。7大疾病や11疾病に対応した商品もあります。
高血圧の先にあるリスクに直接備えられる形ですが、すでに高血圧の治療を受けている場合、こうした団信への加入は通常の団信より難しくなります。健康なうちに検討しておくか、後から個人で保険に入るかという判断になります。
働けない期間は傷病手当金で補う
会社員として健康保険に加入していれば、業務外の病気で働けない期間について傷病手当金を受け取れます。連続する3日間を含めて4日以上仕事を休んだ場合が対象です。
1日あたりの金額は、支給を開始する日以前の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2に相当する額です。支給される期間は、支給を開始した日から通算して1年6か月とされています。
参照:全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html
返済が苦しくなったら延滞する前に相談する
収入が減って返済が難しくなった場合、最も避けたいのは連絡をしないまま延滞することです。延滞が続くと、一括での返済を求められる段階に進む可能性があります。
返済が厳しくなりそうだと分かった時点で、借入先の金融機関に相談します。返済期間を延ばす、一定期間は元金の返済を据え置くといった条件の変更に応じてもらえる場合があります。
| 返済中の収入減に備える方法も、あわせて確認できます 団信ではカバーされない範囲を、就業不能保険などで補う設計が可能です。公的な制度でどこまで賄えるかを整理したうえでご提案します。 |
申し込みの前に準備しておくこと
動き出す前に整えておくと、手続きが進めやすくなる項目を挙げます。
直近の健診結果と血圧の記録をそろえる
直近の健康診断の結果、通院時に測った血圧、家庭で測った記録を確認します。数回分の推移が分かる形にしておくと、安定しているかどうかを示せます。
お薬手帳も一緒に用意します。薬の名前と量を正確に書けるかどうかで、審査にかかる時間が変わります。
物件の契約前に見通しを立てる
健康状態に不安がある場合、通常より審査に時間がかかることがあります。売買契約の期限に間に合わず、慌てて条件の悪い商品を選ぶ流れは避けたいところです。
物件を探し始める段階で、ローンの見通しを先に確認しておくと、落ち着いて選べます。事前審査を複数の金融機関で受けておくのも一つの方法です。
事前審査の段階で団信の告知も出す
金融機関によっては、事前審査の申し込みとあわせて団信の告知書を提出できる場合があります。健康状態に不安があるなら、この形をとれるかを確認します。
本審査まで進んでから団信を理由に断られると、物件の手続きが進んだ後で振り出しに戻ります。早い段階で団信の見通しが立てば、通らなかった場合にワイド団信やフラット35へ切り替える時間も確保できます。
家族と方針を共有しておく
団信に加入するのか、加入せずに別の保険で備えるのかは、万一のときに家族の生活を左右する判断です。本人だけで決めずに共有しておきます。
団信なしで借りるなら、亡くなったときにローンが残ることを家族が理解している状態にしておくことが前提です。加入している保険の内容と保険金額、その保険で残債をどこまで賄えるのかを、書き出して一緒に確認します。
まとめ
高血圧は団信の告知対象ですが、告知したから加入できないという関係ではありません。血圧の程度、薬でコントロールできているか、合併症や他の生活習慣病があるかによって判断が分かれます。
告知では、血圧の数値、服用している薬の名前と数、合併症の有無まで求められます。直近の結果とお薬手帳を用意し、事実のとおりに記入します。
高血圧は、申し込みの前にできることがある持病でもあります。家庭血圧を記録し、治療で数値が落ち着いた状態を示せるようにしてから進めると、説明できる材料が増えます。
返済中に脳卒中や心筋梗塞が起きても、後遺症が高度障害の定義に当てはまらなければ団信は支払われません。働けない期間の収入をどう補うかは、住宅ローンを組むタイミングであわせて考えておく部分です。
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