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「法人で生命保険に加入すると保険料を経費(損金)にできるのか」「2019年の税制改正で何が変わったのか」――法人契約の生命保険に関するこうした疑問は、経営者や経理担当者の間で非常に多く寄せられるテーマです。
法人が支払う生命保険料を損金算入できるかどうかは、保険の種類・最高解約返戻率・受取人の設定によって大きく異なります。2019年の法人税基本通達の改正により、従来「全額損金」として扱えた商品の多くで損金算入のルールが厳格化されました。現在は、最高解約返戻率に応じて資産計上と損金算入の割合が段階的に定められています。
この記事では、定期保険・終身保険・養老保険・医療保険など、保険種類ごとの損金算入ルールと経理処理の方法を、2019年改正後のルールに基づいて解説します。「30万円特例」など実務で押さえるべきポイントも取り上げていますので、法人保険の加入や見直しを検討中の方はぜひ参考にしてください。
| 確認したいポイント | 結論 | 詳細 |
|---|---|---|
| 法人保険の保険料は損金にできる? | 保険の種類と解約返戻率で損金割合が変わる | 定期保険は損金にしやすく、終身保険・養老保険は資産計上が原則です。 |
| 2019年の税制改正で何が変わった? | 最高解約返戻率に基づく損金算入ルールが導入された | 最高解約返戻率が50%を超える保険は、段階的な資産計上が必要になりました。 |
| 定期保険の損金算入はどうなる? | 最高解約返戻率に応じて4段階に区分される | 最高解約返戻率50%以下なら原則として全額損金、85%超なら保険期間の前半に大部分を資産計上します。 |
| 終身保険・養老保険は損金にできる? | 原則として資産計上し、受取人設定によって一部損金の例外がある | 一定の養老保険では、いわゆる「ハーフタックスプラン」により保険料の半額を損金算入できる場合があります。 |
| 医療保険・がん保険の経理処理は? | 定期タイプと終身タイプで処理方法が異なる | 終身タイプの短期払いは、一定の条件を満たすと30万円特例の対象になります。 |
| 30万円特例とは? | 一定の契約で年間保険料30万円以下なら全額損金にできる取扱い | 最高解約返戻率70%以下の定期保険等や、一定の第三分野保険が対象です。 |
| 保険金を受け取ったときの処理は? | 受取額を益金に算入し、資産計上分があれば取り崩す | 受取額と資産計上残高との差額を雑収入または雑損失として処理します。 |
| 法人保険を選ぶときの注意点は? | 損金算入だけでなく保障内容と出口戦略を総合的に判断する | 節税目的だけで加入せず、事業保障や退職金準備など、本来の目的を明確にすることが重要です。 |
この記事でわかること
- 法人契約の生命保険料が損金になるかどうかを判断する基本的な考え方
- 2019年の税制改正で変わった、最高解約返戻率に基づく損金算入の4段階ルール
- 定期保険・終身保険・養老保険・医療保険の保険種類別の経理処理方法
- 年間保険料30万円以下で全額損金にできる「30万円特例」の適用条件
- 保険金・解約返戻金を受け取ったときの経理処理と注意点
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法人保険の損金算入ルールは複雑で、保険の種類や契約形態によって処理方法が異なります。自社に適した法人保険の設計を、専門スタッフが一緒に考えます。
法人の生命保険料が損金になる・ならない基本的な判断基準
法人が支払う生命保険料を損金、いわゆる経費にできるかどうかは、主に「保険の貯蓄性」と「受取人の設定」の2つの軸で判断します。
貯蓄性が低い保険、たとえば掛け捨て型の定期保険などは損金算入しやすく、貯蓄性が高い終身保険や養老保険などは資産計上が原則です。これは、将来、保険金や解約返戻金として法人に戻ってくる可能性が高いお金については、その一部または全部を資産として計上すべきという考え方に基づいています。
受取人の設定も重要です。保険金の受取人が法人の場合は、保険料の一部または全部を資産計上するケースがあります。一方、受取人が役員や従業員の遺族である場合は、契約内容に応じて福利厚生費や給与として処理されることがあります。
同じ種類の保険でも、契約者・被保険者・受取人の設定によって経理処理が変わるため、契約前に税理士や保険の専門家へ確認しておくことが大切です。
法人契約の生命保険は、主に次のような目的で活用されています。
- 経営者の万一に備える事業保障
- 借入金の返済資金や運転資金の確保
- 役員退職金の準備
- 従業員の福利厚生
- 病気やケガによる事業への影響への備え
とくに中小企業では、社長に万一のことがあった場合、借入金の返済や当面の運転資金の確保が急務になります。そのため、経営者を被保険者とする定期保険が、事業保障を目的として利用されることがあります。
いずれの目的で加入する場合も、損金算入のルールを正しく理解しておくことが、適切な経理処理と税務リスクの回避につながります。
法人保険は個人保険とは税務上の取扱いが異なるため、個人の生命保険に関する知識を、そのまま法人契約に当てはめないよう注意しましょう。経理処理に迷った場合は、保険会社から提供される経理処理に関する資料を参照したうえで、顧問税理士に確認するのが確実です。
2019年の税制改正で変わった損金算入のルール
2019年7月8日以後に契約した法人向けの定期保険と、第三分野保険に該当する医療保険・がん保険などについては、法人税基本通達の改正後の取扱いが適用されます。
改正の大きなポイントは、保険商品の「最高解約返戻率」に基づいて、保険料の資産計上額と損金算入額を判断する仕組みが導入されたことです。
改正前は、一定の条件を満たすことで、解約返戻率が比較的高い保険でも保険料の全額または一部を損金算入できる商品がありました。しかし、改正後は、最高解約返戻率が高い商品ほど資産計上する割合が大きくなり、契約当初に損金算入できる金額が制限されるようになりました。
この改正の背景には、一部の法人向け生命保険が、本来の保障目的よりも課税の繰り延べを目的とする「節税商品」として過度に利用されていた事情があります。
たとえば、解約返戻率が高い時期に解約することを前提として、高額な保険料を損金算入しながら将来の解約返戻金を確保する設計が広く利用されていました。改正後は、返戻率が高い保険ほど契約当初の資産計上額が大きくなるため、このような方法による課税の繰り延べ効果が抑えられています。
なお、2019年7月8日より前に契約した保険については、原則として契約時点の取扱いが継続します。改正前の契約と改正後の契約では経理処理が異なる可能性があるため、法人が保有している保険契約について、契約日と適用ルールを整理しておきましょう。
30万円特例とは
いわゆる「30万円特例」とは、一定の法人保険について、被保険者1人あたりの年間支払保険料が30万円以下である場合に、支払保険料を全額損金算入できる取扱いです。
対象となる代表的な契約には、最高解約返戻率が70%以下の一定の定期保険や第三分野保険、解約返戻金がない、またはごく少額である終身タイプの第三分野保険の短期払いなどがあります。
ただし、30万円以下であれば、すべての法人保険に無条件で適用されるわけではありません。保険の種類、保険期間、最高解約返戻率、保険料払込期間などの条件を確認する必要があります。
また、同じ被保険者について複数の対象契約がある場合は、それぞれの年間支払保険料を合算して30万円以下かどうかを判定します。
合計額が30万円を超える場合は、30万円までを全額損金にして超過額だけを資産計上するのではなく、対象契約の保険料全体について通常のルールに基づく処理が必要になることがあります。
契約設計の段階では、単純に1契約あたりの保険料を見るのではなく、被保険者ごとの対象契約を確認することが実務上の重要なポイントです。
定期保険の損金算入ルール|最高解約返戻率で4段階に区分
法人向けの定期保険や一定の第三分野保険は、最高解約返戻率に応じて区分され、保険料の資産計上額と損金算入額が決まります。
最高解約返戻率50%以下
最高解約返戻率が50%以下である場合、支払保険料は原則として全額を損金算入します。
解約返戻金がない保険や、解約返戻率が低い掛け捨て型に近い定期保険が、この区分に該当します。経理処理は比較的シンプルで、支払った保険料を「保険料」などの勘定科目で費用計上します。
最高解約返戻率50%超70%以下
最高解約返戻率が50%を超え70%以下である場合、保険期間の開始から一定期間は、支払保険料の40%を資産計上し、残りの60%を損金算入します。
資産計上期間の終了後は、当期に支払った保険料を損金算入するとともに、過去に資産計上した金額を所定の期間で取り崩して損金算入します。
ただし、一定の契約について、被保険者1人あたりの年間支払保険料が30万円以下である場合は、30万円特例により全額損金算入できる可能性があります。
最高解約返戻率70%超85%以下
最高解約返戻率が70%を超え85%以下である場合、保険期間の開始から一定期間は、支払保険料の60%を資産計上し、残りの40%を損金算入します。
最高解約返戻率が50%超70%以下の区分よりも貯蓄性が高いため、契約当初に損金算入できる割合は小さくなります。
資産計上期間の終了後は、当期の支払保険料を損金算入しながら、過去に資産計上した金額を所定の期間で取り崩します。
最高解約返戻率85%超
最高解約返戻率が85%を超える場合は、最高解約返戻率や保険期間に応じて資産計上額を計算します。
一般的には、最高解約返戻率となる期間などに応じて、支払保険料に「最高解約返戻率×90%」または「最高解約返戻率×70%」を乗じた金額を資産計上し、残額を損金算入する仕組みです。
ただし、具体的な資産計上期間や計算方法は、最高解約返戻率となる時期や保険期間によって異なります。設計書や保険会社の経理処理資料を確認し、税理士へ相談したうえで処理することが重要です。
最高解約返戻率が高いほど契約当初の資産計上割合が大きくなるため、保険料の大部分をすぐに損金算入することはできません。
以前は、長期平準定期保険や逓増定期保険について、商品や契約条件に応じて保険料の半額または全額を損金算入する取扱いが利用されていました。2019年の改正後に契約した保険については、原則として商品名ではなく、最高解約返戻率などに基づいて経理処理を判断します。
新たに法人向け定期保険へ加入する場合は、保険会社から提示される設計書に記載された最高解約返戻率を確認し、どの区分に該当するのかを把握したうえで検討しましょう。
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終身保険・養老保険の損金算入ルール
終身保険の経理処理
終身保険は、被保険者が亡くなるまで保障が継続し、解約しない限り死亡保険金が支払われるため、貯蓄性の高い保険として取り扱われます。
法人が契約者となり、死亡保険金の受取人も法人である場合、支払保険料は原則として全額を「保険積立金」などの資産として計上します。
死亡保険金の受取人が役員や従業員の遺族である場合は、支払保険料を給与として処理することがあります。特定の役員や従業員だけを被保険者としている場合は、福利厚生費ではなく給与と判断される可能性があるため注意が必要です。
養老保険の経理処理
養老保険は、死亡保険金と満期保険金の受取人の設定によって、主に次の3つのパターンに分けられます。
| 受取人の設定 | 基本的な経理処理 |
|---|---|
| 死亡保険金・満期保険金ともに法人 | 支払保険料の全額を資産計上します。 |
| 死亡保険金・満期保険金ともに役員または従業員側 | 支払保険料を給与として処理します。一定の要件を満たす場合は福利厚生費となる可能性があります。 |
| 死亡保険金は役員・従業員の遺族、満期保険金は法人 | 支払保険料の2分の1を資産計上し、残りの2分の1を福利厚生費等として損金算入します。 |
死亡保険金の受取人を役員・従業員の遺族、満期保険金の受取人を法人とする設計は、一般に「ハーフタックスプラン」と呼ばれています。
ハーフタックスプランでは、保険料の半額を損金算入しながら、残りの半額を将来の満期保険金に対応する資産として計上します。福利厚生と退職金財源の準備を組み合わせた設計として利用されることがあります。
ただし、役員だけ、または特定の従業員だけを被保険者とするなど、加入対象者に合理性がない場合は、損金算入した部分が福利厚生費ではなく給与と判断される可能性があります。
給与として扱われると、法人側だけでなく、被保険者となる役員や従業員の所得税にも影響する可能性があります。導入時には、加入対象者、福利厚生規程、保険金の受取人などを税理士と十分に確認してください。
医療保険・がん保険など第三分野保険の経理処理
法人が役員や従業員を被保険者として加入する医療保険・がん保険は、定期型か終身型か、保険料の払込期間がどのように設定されているか、給付金の受取人が誰かによって経理処理が異なります。
定期タイプの医療保険・がん保険
定期タイプの医療保険・がん保険は、保険期間が定められ、満期保険金がない場合、支払保険料を損金算入するのが基本です。
ただし、解約返戻金があり、最高解約返戻率が50%を超える契約については、定期保険と同様に最高解約返戻率に基づく資産計上ルールが適用されます。
終身タイプの医療保険・がん保険
終身タイプの医療保険やがん保険のうち、保険料払込期間が保険期間よりも短い短期払いの契約は、経理処理に注意が必要です。
解約返戻金がない、またはごく少額である終身タイプの第三分野保険を短期払いで契約した場合、被保険者1人あたりの年間支払保険料が30万円以下であれば、一定の条件のもとで支払保険料を全額損金算入できる場合があります。
年間支払保険料が30万円を超える場合は、支払保険料を保険期間に応じて配分し、当期に対応する部分を損金算入します。将来の保障期間に対応する部分は、前払保険料として資産計上します。
給付金の受取人による違い
給付金の受取人が被保険者である役員や従業員本人の場合は、契約内容によって支払保険料が給与と判断される可能性があります。
法人を給付金の受取人とする場合、法人が受け取った入院給付金や診断給付金は、原則として雑収入などで益金算入します。その後、役員や従業員に見舞金を支給する場合は、社内規程や社会通念上相当な金額であることを前提として、支給額を福利厚生費等として損金算入できる場合があります。
医療保険やがん保険は、役員や従業員の福利厚生だけでなく、経営者が病気やケガで業務を行えなくなった場合の事業保障にも活用されます。
保険料の損金算入可否だけで判断せず、入院時の代替人員の人件費、売上減少、取引先対応など、自社が負担するリスクに保障内容が合っているかを検討しましょう。
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保険金・解約返戻金を受け取ったときの経理処理
法人が生命保険の死亡保険金、満期保険金、給付金または解約返戻金を受け取った場合は、受取額を原則として益金に算入します。
過去に支払った保険料の一部または全部を「保険積立金」「前払保険料」などの資産として計上していた場合は、保険金や解約返戻金の受取時に、その資産計上残高を取り崩します。
たとえば、死亡保険金1,000万円を受け取り、保険積立金として300万円を資産計上していた場合は、次のように考えます。
- 受け取った死亡保険金:1,000万円
- 取り崩す保険積立金:300万円
- 差額として益金算入する金額:700万円
反対に、受け取った解約返戻金が資産計上残高を下回る場合は、差額を雑損失などとして損金算入します。
保険料を全額損金算入していた定期保険から保険金や解約返戻金を受け取った場合は、取り崩す資産計上額がないため、受取額の全額が原則として益金になります。
このことからも、保険料の損金算入は、必ずしも法人税を永久に減らすものではないことがわかります。保険料の支払時に損金を計上できても、将来の解約返戻金や保険金の受取時には益金が発生するため、基本的には課税時期を将来へ移す効果として捉える必要があります。
役員退職金の財源として解約返戻金を活用する場合は、解約による益金と退職金の支給による損金を同一事業年度に計上することで、利益への影響を抑えられる可能性があります。
ただし、役員退職金は、金額が不相当に高額であると判断された場合、その一部または全部が損金として認められない可能性があります。役員の在任年数、最終報酬月額、役職、功績、同業他社の支給水準などを考慮し、適正な金額を設定する必要があります。
法人保険を選ぶときに押さえるべき3つのポイント
損金算入だけを目的にしない
2019年の改正以降、保険料の全額損金算入を前提とした、いわゆる「節税保険」の活用は大きく制限されています。
保険料を損金算入できても、将来、解約返戻金を受け取れば益金が発生します。解約時に対応する損金がなければ、多額の法人税が発生する可能性もあるため、損金算入だけを目的とした加入には注意が必要です。
法人保険の本来の目的は、経営者の死亡や病気に備える事業保障、借入金の返済資金、役員退職金の準備、従業員の福利厚生などです。損金算入は、こうした目的を実現する過程で得られる副次的な効果として考えましょう。
出口戦略をセットで考える
法人保険における「出口戦略」とは、将来受け取る保険金や解約返戻金を、いつ、何のために、どのように使うかという計画です。
たとえば、役員の退任予定時期に合わせて保険を解約し、受け取った解約返戻金を退職金の財源にする方法があります。解約による益金と退職金支給による損金を同じ事業年度に計上できれば、利益の急増を抑えられる可能性があります。
一方、解約返戻率が高い時期に解約しても、退職金、設備投資、修繕費などの損金がなければ、受け取った解約返戻金によって課税所得が大きく増えることがあります。
加入時には、解約返戻率のピークだけを見るのではなく、経営者の退任予定、設備投資計画、事業承継計画などと照らし合わせ、出口まで含めた資金計画を立てることが重要です。
契約前に税理士や専門家へ相談する
法人保険の税務処理は、保険の種類、最高解約返戻率、保険期間、契約日、保険料払込期間、受取人設定などによって異なります。
同じ商品名の保険でも、契約条件によって損金算入額や資産計上額が変わる可能性があるため、一般的な情報だけで経理処理を判断するのは危険です。
契約前には、少なくとも次の項目を確認しましょう。
- 法人保険へ加入する目的
- 必要な保障額と保障期間
- 最高解約返戻率
- 資産計上割合と損金算入割合
- 解約返戻率が高くなる時期
- 保険金・給付金・満期保険金の受取人
- 解約返戻金の具体的な使用目的
- 役員退職金や設備投資などの将来計画
- 解約時に発生する益金への対応方法
税務上の取扱いについては税理士へ確認し、保障内容や保険商品の比較については法人保険に詳しい専門家へ相談するなど、それぞれの専門領域を踏まえて検討しましょう。
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法人保険の損金算入ルールは複雑で、保険の種類や契約形態によって処理方法が異なります。自社に適した法人保険の設計を、専門スタッフが一緒に考えます。
まとめ
法人が支払う生命保険料を損金算入できるかどうかは、定期保険・終身保険・養老保険などの保険種類、最高解約返戻率、受取人の設定、保険料の払込期間などによって決まります。
2019年の法人税基本通達の改正後は、一定の定期保険や第三分野保険について、最高解約返戻率に基づく資産計上ルールが適用されています。最高解約返戻率が高い保険ほど、契約当初に資産計上する割合が大きくなり、損金算入できる割合は小さくなります。
最高解約返戻率が50%以下の定期保険は、原則として保険料を全額損金算入できます。また、一定の保険については、被保険者1人あたりの年間支払保険料が30万円以下であれば、30万円特例によって全額損金算入できる可能性があります。
ただし、30万円特例はすべての保険に適用されるわけではありません。同じ被保険者について複数の対象契約がある場合は、年間支払保険料を合算して判定する必要があります。
終身保険は、保険金の受取人が法人の場合、原則として保険料の全額を資産計上します。養老保険は死亡保険金と満期保険金の受取人設定によって処理が異なり、一定のハーフタックスプランでは、保険料の半額を資産計上し、残りの半額を損金算入します。
医療保険やがん保険についても、定期タイプ、終身タイプ、短期払い、受取人設定などによって経理処理が異なります。契約内容を確認せずに、医療保険だから全額損金になると判断しないよう注意しましょう。
また、保険料を損金算入しても、将来受け取る解約返戻金や保険金は、原則として益金に算入されます。法人保険による税務上の効果は、永久的な節税ではなく、課税時期の繰り延べとなるケースが中心です。
法人保険は「損金にできるから加入する」のではなく、事業保障、借入金対策、役員退職金の準備、従業員の福利厚生など、本来の目的を明確にしたうえで活用することが重要です。
加入時には、将来の解約時期や資金の使用目的まで含めた出口戦略を立て、保険会社の経理処理資料と契約内容を確認したうえで、税理士や法人保険の専門家へ相談しましょう。
とくに、2019年7月8日の改正前に契約した保険と、改正後に契約した保険では適用される取扱いが異なる可能性があります。既存契約と新規契約を混同せず、契約ごとに適切な経理処理を確認することが大切です。